番外編⑲ 女子剣道四天王合宿①(陽菜視点)
修学旅行から帰って来てからみんなの生活はかなり忙しくなってきた。あ、修学旅行の話を聞きたいって思ってくれてるかもしれないけど5月の連休のすぐ後に無事に終了したので報告だけ。
上野と横浜を周って、みんなで楽しんだよ。恭介くんとそれぞれ一時間ずつデートの時間も作れたし、みんな大満足の修学旅行だった。
ちなみに私は参加してないけど第一高校との合コンは開催されたけどカップル成立はしなかったみたい。みんなで合コン練習したのにね。
それで修学旅行後のみんなの様子なんだけど、恭介くんは剣道に打ち込みつつも受験勉強もしっかり進めている。何しろ剣道を始めたばっかりなので実績に乏しいから今年の竜王旗剣道大会と夏のインターハイ次第で推薦を貰えるかどうかが決まるらしいし。
ただ、ひよりちゃんに言わせると筋がいいらしく初めて1年ちょっとの初心者とは思えないということだった。
しずくちゃんは受験勉強一直線。生徒会の活動も主だったところは全部終わって後は夏休み直前の次期生徒会長選挙の準備だけ。
流石に同人活動は自粛してるみたいだけど、たまにドロップロック先生のX(旧Twitter)が更新されているのでストレス発散にイラストを描いたりしているらしい。
みおちゃんは卒業アルバム委員長として卒業アルバムの制作の追い込み。この後のイベントのページを少し残してほぼ完成状態まで1学期中に持って行くらしい。
自分の配信もあったりして忙しいけど、進学先はメイクの学校なので進学に関する部分でちょっと余裕がある。
まるちゃんは恭介くんと一緒で剣道と勉強なんだけど、まるちゃんの場合は進学に関してはもう剣道にかけるしかないというか、実績さえ出せば石動さんの大学が受け入れてくれることが内定しているので剣道にほぼ全力投球。
勉強は中間期末の定期テストで赤点を取らないために頑張る感じ。
ゆうきくんはアイドル活動が本格化してきてる。まだ配信とイベントが中心なんだけど明らかにイベントが増えてきてインディーズアイドルとしての
ゆうかちゃんはこのままゆうきくんに留年して貰って高校生アイドル売りしたいらしいけど、ゆうきくんは恭介くんと一緒に卒業したいので断固拒否している状態。
ひよりちゃんは……
恭介くんがよくひよりちゃんのことを『剣道バカ』って言ってるけど本当に剣道が好きなんだろうなって思う。
今回はそんなひよりちゃんを中心とした剣道の話。
「さて、竜王旗剣道大会まであと半月とちょっとなわけだが……」
ひよりちゃんが切り出す。今回の竜王旗剣道大会は、スケジュール被りしている近郷練習会もうちの高校がホストじゃないので参加しようと思えば女子剣道部員も参加できる。
というのは事実なんだけど、いろいろあった結果出場メンバーはひよりちゃん、まるちゃん、恭介くん、石動さん、石川さんの5人で提出されている。
私、みおちゃん、しずくちゃんは去年と同じくサポートメンバーでついていくつもりだけど、一番驚きなのは大学生2年生の石動さんと石川さんが参加してくれることだよね。
「うちの大学は去年の準優勝が失態扱いされて、本気のレギュラーメンバーが出場することになってるんだよ。あの先輩たちが出るってなったら私らの枠はないって追い出されちまったよ」
「まあ、おかげで顧問と掛け合って
今日は5月24日。金土日の3日間で石動さんたちは泊り込みで打ち合わせと稽古に来たのだ。
GWはお互いに大会もあったりして忙しかったしね。
石動さんと石川さんは大学の午後の授業を自主休講して早めに来てくれたので、まずは碧野高校に来てもらって女子剣道部員とも一緒に稽古に参加して貰う。
2年前のインターハイ優勝と準優勝した2人に稽古して貰えるなんてありがたいと、剣道部員もやる気になっている。
「ありがとうございます、石動さん、石川さん。俺たちの学校の剣道部の方まで付き合って貰っちゃって」
恭介くんが感謝の言葉を述べている。
「ああ、いいって。多々良たちも自分たちが大会出るからって部の方をないがしろにしたらギクシャクしちまうだろ? こういうのはきちんと筋を通したうえできっちりとやっときゃいいんだよ」
石動さんは体育会系なだけあってそういう空気を作るのが上手いみたい。根回し大事だよね。
「それにしても、恭介以外に男子はろくなのがいないな」
マネージャーの真似事をしている私のところでスポーツドリンクを飲みながら石川さんがつぶやいている。聞こえないように気を使っているみたいだけど結構きついこと言うね。
「みんな頑張ってるんですけどね。恭介くんが一年での成長が著しすぎるらしくて顧問の近藤先生も驚いちゃってるくらいです」
「ああ、恭介はなぁ……陽菜ちゃんは恭介と付き合ってるんだっけ? 凄いよなぁ……夜も強いんじゃない?」
とんでもないことを聞かれて真っ赤になってしまう。いつものことだけど私はこういう話をかわすのが苦手だ。人狼ゲーム最強は恋愛関係では発揮されないらしい。
確かに恭介くんの夜は強い。正直私一人だったら受け止め来たかどうか。って、一人だったら恭介くんもあんなに頑張らないと思うけどね。他の女の子とエッチしたいとは思わないって言ってくれたし。
「全然関係ないですけど、石川さんって下の名前なんていうんですか?」
石動さんの下の名前が裕子さんなのはいつだったか恭介くんが言っていた気がするけど、石川さんの名前って聞いたことがない。
恭介くんはたいがい一日にあったことや、お出かけした間に何があったかを全部私に話してくれるけど石川さんの名前については話に出てきたことがなかった。
「ん、アタシ? アタシの名前はあすみだよ。石川あすみ、よろしくね」
あすみ、あすみと頭の中で何回か繰り返して覚える。今日の夜ちゃんと日記に書いておこう。
「今回は恭介くんたちと
「ああ、大学からは選手の出場枠が増えたみたいなものだから喜ばれたくらいだよ。うちの大学に勝つのは大変だよ。私たちでも10回やって3回勝てるかどうかって先輩もいっぱいいるし」
2年連続優勝への道は厳しいなぁ。去年は出会いがしらというか、恭介くんなんて決勝戦の大将戦しか出てないから不意打ちの突きで優勝できたけど、今年は去年の優勝チームだから絶対警戒されてるもんね。
「でも、皆諦めてないみたいですよ」
剣道部に混ざって大きな声を上げているひよりちゃんやまるちゃん、恭介くんと打ち合っている石動さんを見ながら石川さんに言う。
「まあ、アイツらは剣道バカだから。さて、休憩終わり。それじゃあアタシもバカになってきますか」
そういうと私に向かって二カッと笑う石川さん。その笑顔は恭介くんたちと同じ、剣道が心から好きという笑顔だった。
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ちょっとした小話
剣道部部活にて練習の休憩中の一コマ
陽菜「恭介くん、そろそろお暇しようと思うんだけど今日は何が食べたい?」
恭介「う~ん、じゃあハンバーグにして貰おうかな」
陽菜「じゃあ、ひよりちゃんも好きな和風ハンバーグにしちゃおうか」
石動「ちょっと待て、お前ら同棲でもしてるのか?」
恭介&陽菜「「えっ!? いや、違います///」」
石川「声をハモらせて真っ赤になりながら言ってもしょうがないでしょ? 付き合ってるのはバレバレなんだし」
陽菜「ち、違うんです。今日から土日まで
ひより「おさんどんさんとか陽菜ちゃんは古い言葉を知っているんだな」
石動「なあ、多々良。おさんどんさんってどういう意味だ?」
恭介「おさんどんさんっていうのは台所仕事をする人というか台所仕事っていうか、そういう意味だったと思います」
石川「へぇ、夜のお世話とかじゃないんだ」
まる「エロねーちんは下品なんだよ」
石動「アハハハハ、エロねーちん(笑) ちびっこがぴったりな名前を付けてくれたな」
まる「ゴリねーちんに褒められたんだよ」
石動&石川 ((あとでめちゃくちゃシゴく))
という会話があったとかなかったとか。
多分明後日の5月26日がカクヨムデビュー1周年です。
1年間この作品を書いてたんだなぁと感慨深いです。
毎週金曜日に番外編を更新するように変更しました。
次回は5月31日です。
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