番外編⑯ 貞操逆転世界の合コンの話①
3年生に上がってもクラスのメンバーが同じなのでうちのクラスは仲が良い。ちょうど1年くらい前のあの『
ちなみに
東京フリーきっぷの範囲内ならグループで基本どこに行ってもいいことになっている。
「やっぱりディズニーランド!」
「浅草の浅草寺に言ってみたい! おみくじで本当に『凶』が出るか試したい」
「スカイツリーから人がゴミのようなのを確認したい」
「隅田川川下り!」
「東京タワーも外せないよね」
「原宿の竹下通りでショッピング」
「なら、
「あ、あのよく見る渋谷の交差点は行ってみたいかも」
「足を延ばして横浜でランドマークタワー!」
「国立科学博物館!」
「上野動物園でパンダが見てみたい!」
「上野に行くなら上野恩賜公園だな。幕末に上野では……」
「横浜中華街で満漢全席なんだよ!」
みんながお
流石に満漢全席は無理だけど2日目は横浜って言うのはいいかもしれない。
陽菜はパンダが見たいのか……見せてあげたいなぁ。ひよりもなんだか幕末史をずっと語っちゃっているが1日目は到着したあと上野に行くのもありなのかなぁ。
今回の東京への移動は飛行機じゃなくて新幹線だから。東京駅からなら上野駅も近いはずだし。
いまいち東京の土地勘ってないから不安だけど、俺たちのメンバーの中だとみおが結構東京に出ることが多いので少しは安心。そのみおは東京で特に見てみたいものがないらしく皆に合わせて回るつもりらしい。
ひよりも新幹線なら飛行機みたいにぶっ壊れることもないだろうから安心して旅行できる。
「楽しみだね、恭介くん。恭介くんはなにか東京でやりたいことはないの?」
「あ~、俺も横浜に行ってみたいかな。陽菜に教えてもらって読んだミステリーの名探偵が事務所を構えてる馬車道に行ってみたい」
「ああ、あのちょっと名前が面白い探偵さんだね。横浜は先生に申請したら行っていいんだっけ?」
席替えで今は隣の席に座っている陽菜が話しかけてくる。横浜は切符代が自腹になるけど「横浜に行く」と申請してからグループで向かうことになる。
ちなみにグループもかなり自由に作っていいので今回はみんなと離れることはないはずだ。
「合コンがやりたい!」
ん!? 誰だ? 誰が言ったか分からないけど修学旅行とは思えないほどズレた希望が飛び出した気がする。
「「「「合コン! だって新幹線もホテルも男子校と同じなんでしょ? こんなの運命じゃん」」」」
そう言っているのは一部のチャラい女子。俺が最初にこの世界に来たころには下ネタをいっぱいフッてきた積極的な
「確かに今回の修学旅行って
県内唯一の男子校の第一高等学校は県庁所在地にある高校だけど、県内だと剣道の強豪でもあるのでたまに練習試合に出かけている。
その時に俺は修学旅行の日程がうちの高校と同じであることを聞かされていた。
修学旅行なんかだと新幹線を何両か貸切ることがあるらしいんだけど今回は近隣複数の高校が相乗りして修学旅行列車が特別ダイヤで出るらしいのだ。
「あ、私が聞いてきたの。塾が一緒の幼馴染がいるから。それで、男子校の子たちと新幹線も宿も一緒って話をしたらみんなが盛り上がっちゃって……」
三人娘の1人である野田雅美さんがちょっと申し訳なさそうに発言する。
その言葉を皮切りに
貞操逆転しているこの世界では男子校=憧れの花園、なのである。
元の世界だと
共学女子からは高嶺の花、それが男子高生徒なのだ……というのは、しずくからの受け売りだけど。
つまり、うちのクラスの女子たちは俺と陽菜、田中くんと早川さんという2つのカップルが出来たのに当てられて、恋人が欲しくなったってことのようだった。
せっかく東京で同じ宿に泊まるならそこで一緒に食事をして、ワンチャン翌日の自由時間の約束を取り付けたい。あわよくばワンナイトラブも……(絶対無理!)
そんなことから一高との合コンを希望しているってことだった。
う~ん、剣道部での付き合いもあるししずくをはじめとする生徒会同士の交流もあるみたいだから
「ところでみんなは合コンの経験はあるの?」
何気なく俺が女子に質問したら「「「「「「「あるわけないでしょ!」」」」」」」というクラス女子全体からめちゃくちゃツッコまれた。
うう、確かに日頃から合コンできてれば修学旅行当日に合コンしたいなんて泥縄みたいな話にならないよね。
「じゃあ、クラスのみんなで合コンをして練習してみましょう。そうしたらみんなも緊張しなくなるし。その練習でみんながちゃんと合コン出来るって分かったら私が責任を持て一高の生徒に夕食を一緒に出来るようにセッティングするから」
しずくの鶴の一声でクラスの女子は歓声に包まれた。
男子は若干のお通夜モード、一つは自分たちが今度クラスの女子と合コンしなくちゃいけないってことがイヤってパターン、もう一つは一緒にいろいろやって来て、なんだかんだ言って仲のいいうちのクラスの女子が他の高校の男子に浮かれているってことに対する嫉妬だと俺は見ている。
「恭介さんがアルバイトしていた居酒屋さんがあったわよね? あそこを借りられるか聞いてみて貰っていい? というか私も一緒に
修学旅行前に居酒屋で合コン練習!? いや、いいけど……日程はみんなの都合を合わせてGWの連休の合間に挟まった4月最後の日になった。
チリンチリン……
居酒屋の扉を開いて外に出る……4月の終わりが近いだけあって温かくなって来たなぁ。
若干の現実逃避中の俺。隣のしずくさんはホクホク顔だ。
「上手く話しがまとまってよかったわね、恭介さん。当日は
しずくによる交渉の結果、俺たちはお店の二階の日頃は使われていない宴会場を使わせて貰えることになった。
団体客が忘年会や送別会をする時に使える大広間で、通常営業では使わないので4月30日も俺たちが格安で借りることが出来た。
食べ物は出さないプランで(!?)飲み放題120分1000円(税別)!! 何その破格すぎる条件?
飲食店で働いた経験がある人間には分かるかもしれないが、ソフトドリンクの原価は安い。多分俺たちがどんどんお替りしても原価的にお店は十分に元が取れる。
俺が一応スタッフの格好をして二階席とドリンクカウンターを行ったり来たりしてみんなドリンクを準備することになるので
食べ物は持ち込みOK。う~ん、ウインウインだけど俺たちが有利すぎないかって?
もちろんそれだけじゃない。GW中、俺がお店でバイトすることと今後西園寺グループの宴会でお店を使うことを店長の前田さんと約束したから店長もホクホクなのだ。
あれ!? 俺一人が
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次回更新は5/12です。
新作始めました。
「転生したらイケオジ宮廷魔術師の黒猫使い魔でした~猫かわいがりで溺愛されてます~」
https://kakuyomu.jp/works/16818093076664574579
今回は女の子がゲーム世界に黒猫として転生しちゃうお話です。
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