お正月蔵出し① ヒナちゃんクエスト(仮) (陽菜視点)

※サポーター限定SS(11月18日公開)をお正月なので開放。


「陽菜っちがヒーラーで、しずくっちがウィッチ、ひよりっちがサムライでまるっちが武闘家、あーしが勇者でいいんじゃない?」

 今日は土曜日だからみおちゃんのマンションでのお泊り会。一通りみんながエッチして満足した後、ベッドで寝てしまった恭介くんを見ながら女の子同士でお話中。

 と言っても早寝のひよりちゃんが恭介くんを抱き枕にして寝ちゃっているし、それをマネしてまるちゃんまで抱きついて寝てるけどそれはもう仕方ないよね。

 三人でスヤスヤ安眠しちゃってるのを見るとなんとなくホッコリする。


「ちょっと待って。みおちゃんは遊び人でしょ? 私か陽菜ちゃんが賢者になってどっちかが勇者になれば問題ないんじゃないの?」

 しずくちゃんが反論している。今は雑談というか私のカクヨムでの作品のアイディア出しに付き合ってもらっていたところだ。

 今のカクヨムでは異世界ファンタジーの冒険ものが流行っているという話をしたらそれぞれの職業をどうするかという話になってみおちゃんとしずくちゃんが言い合いになっている。

 どうにもドラ〇エとかF〇とかをイメージしてお話しているみたい。


「2人ともどう考えても魔王を倒しに行くパーティーを想定してるよね? そして囚われの王子様が恭介くんっていうのを考えてるでしょ?」

 一応確認して見る。大魔王はヒナちゃんかな? ヒナちゃんクエスト(仮)だね。


「「そうだよ。当然助けた勇者が王子様と結ばれるんだよね?」」

 うんうん、分かるよ。こっちの世界だとゲームとかって王子様が攫われてて女の子の勇者が助けに行ってそのまま結ばれるって多いもんね。

 でもね、そのパターンって今のカクヨムだと全然流行っていないから。こう見えてもこの一週間くらいカクヨムを読んで研究したのだ。私はあんまりファンタジーに詳しくないからしずくちゃんとみおちゃんの話を聞いてみようと思ったんだけど2人の方がもっと詳しくなかったみたい。


「今どきはレベル1からコツコツとレベルアップしていくファンタジーは流行らないんだよ。最初は追放されるか、実力を隠してるんだけど実は主人公の女の子だけが秘められた特別な力やスキルを持っていてその力で追放した仲間や周りを見返すの。

 そしたら、周りにいる男の子にどんどん惚れられてハーレムが出来ちゃったり世界に影響を与えるようになったり……」

 しずくちゃんとみおちゃんがちょっとポカンとした顔をしている。


「それと現代ダンジョンで配信するのも欠かせないの。こっちは異世界ファンタジーじゃなくて現代ファンタジーってジャンルになるんだけど突然現実世界に発生したダンジョンの中から配信してる最中にトラブルに巻き込まれてバズって有名になるっていうのがきっかけで……」

 私がこの一週間の研究の成果を発表すればするほど2人の顔が驚愕の色に染まっていく。


「今の時代ってそういうのが流行ってるんだ……」

「あーしの知ってるファンタジーと違う……」

 そうかもしれないね。2人とも同人誌とか淫スタとか頑張っててあんまりアニメとか見ないから。

 まるちゃんなら意外と深夜アニメを見るからそういう展開のカクヨムネット小説発のアニメを見てると思うんだけど。


「それじゃあ、やっぱり陽菜ちゃんはミステリーが好きなんだからミステリーのジャンルで書くべきなんじゃないの?」

「そうだよ、陽菜っちの極門島での謎解きは見事だったしここはミステリーっしょ」

 うんうん、そう思うよね。だけどミステリーとSFはカクヨムでは不人気ジャンルなのだ。

 今はSFはVRMMOものの発表場所だし、ミステリーは一話ずつ公開していくネット小説という発表方法と実は相性が良くないのだ。読んでみて分かったけど自分のペースで読んで推理したいのに次の話の公開を待つのは結構なストレスになりそう。


「貞操逆転世界の恋愛話を書けるのが陽菜の武器でしょ? もちろんこっちの世界での恋愛を書いてもいいけどいきなり書いたら身バレが怖いからやっぱり貞操逆転世界からかな」

 いつの間にか目を覚まして私たちの話を聞いていたらしい恭介くんが口を挟む。ひよりちゃんに抱き枕にされているから相変わらず身動きは取れないみたいだけど。


 そうだね。恭介くんから聞いた向こうの世界、貞操逆転世界と言われる私たちの元いた世界に入れ替わってしまったヒナちゃんの物語を恭介くんの視点から描くのが一番正解かもしれない。

 恭介くんがこっちの世界に来た後のことをハッピーエンドの物語にして少しでも恭介くんの後悔を軽くしてあげたいっていうのもあるし……

 

「そうだね。じゃあ私が書く小説にこういうタイトルはどうかな? 『幼馴染と生き別れたが貞操逆転世界で友達を作って幸せになりたいと思う』……」

「陽菜が望むならヒナのこともいっぱい話すから」

「「わたし(あーし)達も向こうに行ったヒナちゃん(っち)のことを聞きたいかな」」

 その夜は遅くまで恭介くんから見たヒナちゃんの話を聞くことになったのだった。

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ということでお正月特別編(サポーター限定SS公開)でした。

明日も18時に一話公開します。


新作というかノンフィクション公開しています。

現実世界のモフモフはチートがなくてもご主人様のために猛獣に立ち向かう

https://kakuyomu.jp/works/16817330669155556360

朝のランニングの時に会うアイちゃんという猟犬のお話です。


追記 読者の方は地震は大丈夫でしたか? 何事もないことを祈っております。

みどりのは小説の通り、瀬戸内に住んでいますので影響はありませんでした。

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