クリスマスSS-② 赤と緑のクリスマスカラーのリボン

 今日は12月24日、最近はイベント事はみおのマンションに集まることが多くなっている。

 陽菜の家でクリスマス会をしてもいいんだけどやっぱり防音性だったり、何よりキングサイズベッドの大きさだったりが快適でみんなの満足度とその後のもろもろの楽さが全然違う。


 クリスマスにさちえさんを一人っきりにして寂しがってないかって? 単身赴任の旦那さんが冬休みで今日からお正月の3日まで結構長く帰ってくるらしく嬉々として送り出されてしまった。

「いってらっしゃい、陽菜ちゃん。恭介くん、陽菜ちゃんのことを頼むわね」

 明るい声に送り出されて陽菜と駅まで歩く。寒い時期は風邪をひかないようにしないと陽菜と会うことが出来なくなっちゃうから俺も陽菜も全力防寒。陽菜が風邪をひいたら俺はお見舞いに行けるけど、俺が風邪をひいたら免疫抑制剤を飲んでる陽菜はお見舞いも看護も危険度が高いから。

 お洒落さんの陽菜もこの時期から先はパンツスタイル。タイツの上から裏起毛のジーンズを履いている。上着は白のダウンジャケットに手袋まで装備して本当にモコモコだ。


 そんな陽菜の手を掴んで俺のグレーのコートのポケットに2人の手を突っ込む。

「こうしてたら温かいでしょ?」

 陽菜の顔が真っ赤になってる。車道側の左を俺が歩いてるから俺の右と手と陽菜の左手の手袋を外しての恋人繋ぎ……思い起こせば小学生の頃の冬場は恋人繋ぎじゃないけど陽菜と手を繋いでいつでも一緒だった。

「な、なんだかすごく注目を浴びてるような気が……」

 みおの部屋までは一駅移動する必要があるので駅のホームで電車を待つ間、結構注目を浴びていた気がする。俺がこの世界の男子としては積極的過ぎるから目立つんだよなぁ。


 みおの家に着くとみんなはもうサンタさんの格好をして俺たちを待っていた。もっともサンタの格好にエプロンしてるのが凄く違和感なんだけど。

「いらっしゃい、恭っち、陽菜っち。それぞれの着替えがお風呂場の脱衣場と配信室に用意してるから着替えちゃって」

 18時にスタート予定のクリスマスパーティーに合わせて30分前に来たけどしずくたちは早くから準備してくれてたみたいだな。俺の方は左手で下げていたケーキの箱を差し出す。

「これ、陽菜とさちえさんで作ったクリスマスケーキ。ブッシュ・ド・ノエルだから最初は切り分けないでそのままお皿に出して欲しいって。みお的にも映えるからそのまま並べた方がいいでしょ?」


 クリスマスの料理ってオーブンはフル活用(キッチンでは今もローストチキンを焼いている最中)だし、厨房はどうしてもゴタつくからケーキ担当は陽菜ってことにして姫川家で作って持ってくることにしたのだ。

「それじゃあ私は着替えてくるから。恭介くんも着替えたらお料理をちょっとだけ手伝ってね」

 そう言われて陽菜に見送られて浴室の扉を開いたのだが……脱衣籠の中に置かれてるはずの衣装はなくて、赤と緑のクリスマスカラーのリボンが置かれている。幅が15㎝くらいもあって……いや、これをどうしろって言うのか分かっちゃうのがイヤなんだけど。


 一旦着替えずに脱衣場を出てみおを捕まえる。

「みお、何のつもりだ?」

「え? 部屋も温めてあるし大丈夫でしょ? あ、ひょっとして1人だと結ぶのが難しかった? じゃあリボン結ぶの手伝うから」

 そう言いながら背中を押されるようにして脱衣場に連れ込まれる。

「ちょっと待って……男が裸にリボン巻くとか需要ないから!? 男が『プレゼントはお・れ♡』とか言っても誰得だから」


「恭っち、分かってない。分かってないよ……最高すぎて鼻血出そうなのに。

 しずくにこのアイディア聞いたときこれだって思ったもん。一生のお願い! 今回だけ、今回だけでいいから初めてのみんなで祝うクリスマスで私たちのためのプレゼントになって」

 なんで土下座せんばかりの勢いでみおがお願いしてくるのか……ちょっと想像してみる。

 う~ん、元の世界で陽菜に裸リボンをして貰う初めてのクリスマス……うん、土下座する。一生のお願いって頼み込む。気持ちが分かってしまったら断りにくい。


 しずくにもみおにも……もちろんひよりにのどかにも今年一年恐ろしくお世話になった。お互い様って言ってくれるとは思うけど、こっちの世界に来てこうして楽しく過ごせているのは陽菜がいてくれたことはもちろんだけどみんなが俺のことを好きになってくれたからだ。

 覚悟を決めよう、いや、裸リボンをする覚悟を決めるって何だろうって思うけど……


「めりーくりすま~す!」

 覚悟を決めてパーティーの準備が済んだリビングに飛び出す。

 もうやけくそに近い……ゲームや漫画、アニメなんかで出てくる裸リボンの女の子。今までは笑ってみていたけど実際に自分でやるとめちゃくちゃ恥ずかしいぞ!? 全裸の方が確実に楽。

 俺とか元の世界の男子基準だから裸を見られても局部以外はそこまで恥ずかしくないのに一から十まで恥ずかしい。この格好ならこっちの貞操逆転世界の女子にも恥じらいの表情をして貰えると思えるくらい恥ずかしい。


「「「「「メリークリスマス!」」」」」

「きょ、恭介くんその格好はどうなの!? うう、私の彼氏がエッチすぎるよぉ」

「着替えを手伝ったけどやっぱり恭っち最高! 『プレゼントはお・れ♡』って言ってサービスしてよ」

「きょ、恭介さん……ありがとう。、好きな人の裸リボンが叶うなんて。一生の思い出にするね」

「きょーちん、凄いんだよ。プレゼントがきょーちんだなんて聞いてなかったからこれ以上のプレゼントはないんだよ」

というのはこんなになんだな。恭介といると新しいことばかりだ」

 みんなものすごく喜んでる。目の前のテーブルにドーンと置いてあるチキンのローストや陽菜渾身のブッシュ・ド・ノエル、オードブルにスープといったクリスマスのディナーよりも俺にくぎ付けである。


 特に……くるくるって可愛くリボンを巻かれてラッピングされたアソコに視線が集まっているのを凄く感じる。何度か書いたけどエッチな視線ってすごく分かるんだよ。

 みおが手伝ってガチガチに大きくしてから巻いてくれたリボンのかかったおちんちん。

 何だろう……変な扉が開きそう。


 そのまま、エッチに流されることもなく、なんとかクリスマスディナーに突入することが出来た。ほぼ全裸だけど。周りのみんなはサンタさん、俺だけプレゼント(ラッピング済み)。

 他のみんながガン見してくる中、陽菜だけはチラッチラッてこっそり見ようとしてるのが凄く可愛い。

 丸鶏のローストの切り分けはしずくがやってくれた。手際がよくモモ肉や手羽、ササミを部分に分けてそれぞれのお皿によそってくれる。次からは俺も出来るように少し教えてもらう。俺が動くたびにみんなの視線が腹筋やお尻に注がれてめちゃくちゃ恥ずかしい……うう、恥ずかしいのに大きくなっちゃう。もうダメかもしれない。


 料理は全部美味しくって食べ終わった後は総出で軽く片付けてブッシュ・ド・ノエルを切り分けてみんなの前に置いてプレゼント交換。

 しずくの手編みマフラー、みおのお下がりの交換レンズ、のどかの手袋、ひよりからは新品のふんどしだった。赤ふんである。

「恭介が持っているの白い六尺褌ばかりだから、だし赤の越中褌もよいのではないかと思って……」

 絶対ひよりの趣味じゃん、いや、越中褌の前垂れがひより的にはツボなのかもしれないけど。


「それじゃあ俺と陽菜からは今年一年間の感謝の気持ちを込めて4人にプレゼントです」

 陽菜と2人でいろいろと考えた挙句にみんなが一番喜んでくれると思うものをプレゼントする。なんだか今の俺の格好とプレゼントの内容がぴったりマッチしちゃってて恥ずかしいくらいだけど……

「はい、1人に1枚。『恭介くんと1日2人っきりで過ごせる権利』だよ。本当に24時間ずっと恭介くんと2人っきりになれる権利になってるから。

 一応形としてはチケットみたいになってるけど、譲ったりしたらダメだからね。本人以外無効だから」

 陽菜から皆に1枚1枚チケットが手渡される。陽菜と俺はいつでも一緒にいるからみんなが本当の意味でイチャイチャしたりデートって難しいんじゃないかって話になって陽菜と作ったデート券。

 みんながびっくりしている。

「陽菜ちゃんいいの? 2人っきりになれるなんて私たちは嬉しいけど」

「陽菜っちってたまに異常に気前がいいよね。何にしてもありがとう」

「陽菜ちん、きょーちんと一緒にいないと元気がなくなっちゃったりしない?」

「陽菜ちゃんは本当に恭介のことを大事にしているのが分かっているから、この券は有意義に使わせて貰おう」

 それぞれが喜んで受け取ってくれて、陽菜も幸せそうに微笑んでいる。

「みんなのことは私がわがままで巻き込んじゃった部分もあるから。こういう機会でもないと恭介くんを独占するチャンスってなかなかないもんね。使うタイミングとかはまた相談しながら何をしたいかを決めてね」


 パンッ


「ということで、ケーキを食べ終わったらみんなでクリスマスを楽しもう」

 俺が手をたたいてそう言うと女性陣の目がちょっと見える。夜のクリスマスに期待されてるんだろうなぁ……俺ももちろん期待してるけど。

 生まれて初めての6は夢のような時間でした。

 -----------------------------------------------

 次の更新は大晦日12月31日18:00になります。


 ただいま12/24の17:15です。実際にローストチキンを焼きながら校正しています。

期間限定公開(26日に消そうと思います) チキンのローストの画像

https://kakuyomu.jp/users/badtasetedog/news/16817330668908286056


 各人のイチャイチャは突発イベントで番外編を書きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る