番外編⑥-3 陽菜ねぇって夏休みより太った?(陽菜視点)

 ど、ど、ど、どうしてこうなった~!!

 心愛ちゃんとの意地の張り合い? から流れで恭介くんとお風呂に入ることになってしまった。しかも、恭介くんのお家で……だ。

 うう、今日は私のお父さんが帰って来ているから恭介くんと一緒に寝るのも止めておこうって2人で話して久しぶりに1人で寂しく寝ようって思っていたのに、まさかの家出小学生・心愛ちゃんの襲来から恭介くんのお家で一緒にお風呂に入ることになるなんて。


 どう考えてもおかしい。私が心愛ちゃんと入ってもいいし、日奈子さんが心愛ちゃんと入ってもいいはず。心愛ちゃんと恭介くんが一緒に入るという選択肢自体がおかしいのだ。

 と、ここまで考えて元の世界でのことを思い出す。恭介くんと私は小学校を卒業するころまで結構普通に一緒にお風呂に入っていた。あれってひょっとしてめちゃくちゃエッチなことだったんだろうか? いや、そんなことはないはず。


 それに確か小学校6年生の時に雨の中私を連れて帰ってくれた恭介くんを元の世界のお母さんが一緒にお風呂に入れてあげたことだってあったし。

 あの時は私はそのことに疑問なんて抱かなかった。心愛ちゃんはまだ小学5年生、あの時の恭介くんよりも一つ年下なわけだし、恋人の恭介くんが女の子とお風呂に入るからって意識してる私がエッチに考えすぎなだけなのかもしれない。

 頭がグルグルしてる間に恭介くんが先に入っている浴室にすっぽんぽんになった心愛ちゃんが突撃していく。ああ、待ってってば……心の準備も出来ないままに急いで服を脱いでタオルを巻くようにして浴室に飛び込む。


 そこには心愛ちゃんの髪をシャンプーしてあげている私の恋人の姿があった。ちらっと腰に巻いてるタオルごしにおちんちんを確認するけど全然元気がない状態で、心愛ちゃん相手に興奮していないことが分かってちょっと安心する。って何を心配してたの? 私!?


 カラカラカラ ピシャンッ


 後ろ手に浴室と脱衣所の間の戸を閉める。すりガラスになっているサッシの引き戸。

 その音を聞いて恭介くんが振り向く。私が入ってくるを知っているはずだからビックリしたわけじゃないだろうけど私の方を見て目を見開く。

 そのまま、おちんちんがビクビクって反応してムクムクって大きくなっちゃった!?

 ああ! ひょっとしなくても全然エッチじゃないシチュエーションをエッチにしちゃったのって全部私のせい!?

 さっきまでの仲の良い従妹同士の微笑ましいふれあいの一場面を一気に18禁のしずくちゃんワールドにしちゃった!? (考えてみると私もしずくちゃんも18歳以下だけど)


 バカバカバカ、私のバカ~……しかし時は戻ってくれない。ここで私が逃げたところで恭介くんのおっきくなったおちんちんがどうにかなるわけじゃないし。

 とにかく心愛ちゃんの教育に悪い大きくなったを見せないようにしないと。

 いや、おためごかしの言い訳は止めよう。私は誰にも恭介くんのおちんちんを見せたくなんかないのだ(しずくちゃんたちはともかくとしてだけど)。


 幸い今は心愛ちゃんはシャンプーされてるからギュって目をつぶっている。しかしこうしてみると本当に綺麗な肌をしてるなぁ。水をはじく素肌にまだ少し夏の名残の残るスクール水着の日焼け跡。

 少しだけど膨らんで(少なくともひよりちゃんより膨らんでる)女の子であることを一生懸命主張している胸。先っぽは肌の色とあんまり変わらなくて……

 目をギュってつぶってるのにその表情は凄く楽しそう。恭介くんのことを本当に信頼してるんだなって分かる。夏休みに凄く懐いちゃったもんね。


「きょ、恭介くん。頭を洗い終わったら私が心愛ちゃんの背中を洗ってあげようと思うからその間に自分の頭を洗っておいてよ」

 幸い恭介くんの家の浴室の洗い場は少し広めなので私が心愛ちゃんの背中を流していても恭介くんがシャワーで髪の毛を洗うくらいの余裕がある。とにかく恭介くんが落ち付けるように目をつぶってシャンプーしてて貰おう。


 心愛ちゃんの髪の毛を流し終わって恭介くんが自分の髪の毛を洗っている間に、私が心愛ちゃんの背中をタオルでアワアワにして擦ってあげていたら心愛ちゃんが嬉しそうに声をあげる。

「陽菜ねぇ、お背中流し合いっこしよう」

 心愛ちゃん、久しぶりに会ったときは挑発的だったが夏休みの距離感を思い出してきたのか甘えてくれる。こうなると本当に可愛い。う~ん、私の方が篭絡されそう。


 私は今日は頭を洗うつもりがないから髪の毛をアップにまとめている。くるっと振り返ると今度は心愛ちゃんが泡まみれのままで私の背中にタオルを当てて洗ってくれる。

 恭介くんほど上手じゃないけどしっかりと綺麗にしようと頑張ってくれるのが伝わってくる。

 その間に恭介くんが自分の背中まで洗い流して湯船に浸かったのでちょっと安心する。

 恭介くんが湯船からじーっと洗いっこしてる私たちを見てるので私は真っ赤になっちゃってるけど。

 うう、心愛ちゃんはこの世界の女の子だから見られても恥ずかしくないかもしれないけど私は恥ずかしいから。心愛ちゃんの手前、不審に思われたらいけないしあんまり露骨に隠すことも出来ないし……


「こうしてると仲のいい姉妹みたいで凄くほのぼのしてていいなぁって思うよ」

 恭介くんが私たちを見ながら凄く幸せそうにつぶやく。うわぁ……本当にエッチなことを考えてるのって私だけなの?

 恭介くんは間違いなくエッチなことを考えているって思っていたのに、うう、私ってもう貞操逆転女子頭の中ピンク色になっちゃってるんじゃ!?

 お互いに背中を洗い終わったので正面を向き合って胸やお腹を洗うことにする。こしょぐったいのか心愛ちゃんがキャッキャ声をあげている。

 次は私の番。胸の傷への心愛ちゃんの反応が怖いけど。


「陽菜ねぇのおっぱい大きい~」

 私の胸を洗いながら心愛ちゃんがびっくりしている。恭介くんが視界の端でうんうんって頷いてるの見えてるからね!

「ちょ、心愛ちゃん!? 触り方がちょっと……ダメだってば、んんっ……そんな先っぽばっかり洗わなくていいから」

「いや、なんかちゃんと洗わないとって思っちゃって……あれ? 胸の谷間に傷跡?」

「うん、私は心臓の手術をしたからその時の跡なんだ」

「ふ~ん、病気はよくなったの?」

「うん」

「良かったね」

 にっこり笑ってくれる。本当に恭介くんの周りにいる子たちはいい子ばっかりだなって思う。それはそれとして……ちょっとおへその周りはこそばゆいから。


「ねぇ陽菜ねぇ? ちょっと気になったんだけど……言っちゃっていいのかな?」

 心愛ちゃんがちょっと気まずそうにしている。

「え? なにかな? いいよ、心愛ちゃんが気になるんだったら言ってくれていいからお話して」

「うん、それだったら……陽菜ねぇって夏休みより太った? お腹がポヨポヨなんだけど」

 ガ~ン!! って頭の中にショックで大きな音がしてるのに、視界の隅で恭介くんがうんうんって頷いてるの見えた。ちょっと待って、緊急事態発生だよ!

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 今週は毎日18:00に番外編を公開予定。

 全5話になります。


 やっと本題に入れました! 今回のテーマはです!

 うう、太っちゃってるのに誰も教えてくれないんだもん……

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