☆1000個達成記念SS 「エッチな方のみどりの」

 パンッパンパンパンッ パンッ


「「「「「陽菜((ちゃん))(っち)(ちん)1000個おめでとう!」」」」」

 姫川家のドアを開けて家に入ったら、クラッカーの音とともに陽菜の頭の上からリボンが舞い降りてくる。


「び、びっくりしたー。

 あ、ありがとうみんな。

 まさかみんなからカクヨムに書いてる小説でこうしてお祝いして貰える日が来るとは思わなかったよ」

 流石の陽菜もサプライズでのみんなからの祝福にビックリしている。

 一昨日の金曜日にみんなでカクヨムコンの話をしていたと思ったらその2日後の今日に☆1000個とか想定外もいいところだろう。SSを書く方の身にもなって欲しい。


「いやいや、陽菜っち……調べてみたけど☆1000個ってカクヨム全体の中だと上位0.46%、ラブコメってジャンルに限っても上位1.4%ってことらしいじゃん。デビュー作で☆1000個とかどれだけ恵まれてるのかって話だよ」

 みおが興奮気味に話をしている。相変わらず数学に弱いくせに数字の分析が大好きなところがみおっぽいと思う。


「陽菜ちゃんが日頃から日記を書き続けて来たことが文章修業となっていたのだろう。剣の道も文の道も結局は地道な努力の積み重ね。つまりは修行することこそが偉大な成果を上げるための近道なのだ」

 ひよりに関しては精神論にも感じられるが流石に説得力がある。天才なんて言葉を簡単に使いたくはないがひよりも陽菜も俺からすると天才なんだろうと思うし通じ合うものがあるのかもしれない。


「師匠は凄いんだよ。まるは小説なんて書けないし、半年間コツコツと連載を続けて本(文庫本)7冊分の文章を書くとか信じられないんだよ。でもそれができるから最後まで書き切って評価されることに繋がるんだからやっぱり諦めない師匠はカッコいいんだよ」

 飽きっぽいまるからしたら本当に陽菜のしたことはびっくりするようなことなんだろうなぁ。毎日毎日コツコツ公開して、少しでも読みやすい文章を書くことを心掛けてきたからこそここまで伸びたんだろうって思うし。


「陽菜ちゃんにコメントのことを聞かれた時も思ったけど、陽菜ちゃんが読者のコメントを見てどうしたら読者が楽しんでもらえるかをずっと考えてきた結果だから。読者に正面から向き合ったからこその結果だもんね。本当におめでとう」

 しずくの祝福の言葉はいつだったかの陽菜のコメント返信に関しての話だ。一件一件のコメントを受け止めて、時にはコメントの内容に合わせて文章を分かりやすくしたり工夫を繰り返していた。

 陽菜自身もコメントが連載の力になって、それがこの結果に繋がったことを喜んでいる。


「姫川さん、本当に姫川さんをカクヨムに誘った私の目は間違っていなかった。姫川さんの世界観がみんなに読まれたんだと思う。今回ので私の今までのカクヨムでの記録をあっさり抜かれちゃったけど、私だってまだまだこれから伸びるから。カクヨム歴4年で小学生の頃から書いて来た。カクヨムコンで勝負しよう」

 いつものメンバーに加えて今日は芥川が来ている。そもそも陽菜をカクヨムに誘ってくれてこういう結果を導き出してくれた切っ掛けは芥川だから。芥川の書く小説もこれからもっと読まれたらいいなと思う。


「みんな本当にありがとう。いろんなきっかけがあったけど恭介くんやみんなと出会ってなかったらこんなに嬉しい思いは出来なかったと思う。

 それに……何よりも応援してくれた読者の皆さんがいなかったらこれだけの評価をして貰うことは絶対できなかったから。

 みんなにありがとうっていうのと一緒に読者の皆さんにもありがとうって言いたいな」

 陽菜がちょっと涙ぐんでいる。陽菜はこの半年間本当に読者のことを考えながら一生懸命パソコンに向かっていたから。

 思わず頑張った陽菜の頭をなでなでしてしまう。


「今日はみんながお祝いしてくれるってことでサプライズのために一緒に出掛けてから。陽菜が本当に幸せそうで嬉しいよ。

 やっぱり作品がたくさん読まれて評価されるって嬉しいものなの?」

 思わずとしての作家の陽菜に聞いてしまう。


「もちろんだよ。だって元々こんな変な話NTRからの両片思いを誰かが読んでくれるかどうかなんて確証は全くなくって、それでも思い付いちゃったから形にしたくて筆をとったんだもん。

 私が最後まで書かないと恭介くんと私の、恭介くんとみんなの、恭介くんとヒナちゃんの……本当に幸せなハッピーエンドは絶対に来ないって知っていたから。

 そんな作品を最後まで応援してくれてこんな望外の評価の☆1000なんて祝福まで貰えるなんて本当に最後まで書けたことが誇りだと思ってるよ。

 みんなや読者の皆さんの応援がなかったら絶対書けなかったから。本当にありがとうございました」

 陽菜が深々と頭を下げる。


「俺は読者としては俺が好きなタイプの物語だったから本当に幸せな読書の時間を貰ったって思ってるけど。

 出来たらこれからも陽菜にはとして書き続けて欲しいかな。もちろんカクヨムコンに出しているこの作品だけじゃなくて、新しい作品に挑戦している陽菜も見てみたいかな」

 まあ、余計なことを言わなくても書く喜びを覚えた陽菜ならきっとまた何かを書き始めるだろうって思う。

 俺はそれまでのんびりと待つことにしようかな。陽菜ならきっと大丈夫だから。


ピロンピロンピロン♪


「ところで、さっきから姫川さんのスマホの通知が止まらないけど……多分クラスのみんなや学校のみんな。

 私がさっき2年5組の姫川さんがみどりののペンネームでカクヨムで☆1000個とったって公表したから。祝福のメールやメッセージがいっぱい届いてる」

 芥川がドヤ顔で言う。芥川……陽菜はお前やしずく変態同人作家たちとは違うんだぞ!?


「えっ!? うちの学校って……みどりのの作品そんなに読まれてるの?」

「学校の名前をペンネームに流用してるから碧野みどりの高校の学生はみんなみどりの姫川さんのことを気にしていた。これから姫川さんは学内でもっと有名になると思う」

 陽菜の顔が真っ赤になっている。あ~、分かるよ。ちょっとエッチな小説を書いちゃったことがバレたって恥ずかしいよね。

 いくらエッチな俺がモデルだからって結構きわどいシーン書いちゃってるし。


「もうダメ~、私明日から学校に行けない~」

 その後、暴露リーク犯(悪気はない)の芥川を家に帰し、みおの情報操作でエッチなシーンは俺が書いたことにして貰ってどうにか騒ぎが一件落着した。

 翌日から俺のあだ名が「エッチな方のみどりの」「官能小説家・多々良恭介」になったのは悲しい現実だった。

 でも、ゆでたまごとか岡島二人みたいで共著の作家ってカッコよくない?

 陽菜と一緒に小説を書いてるって思われるのはありと言えばありだから、俺はちょっとだけ気に入ってたりする。

 陽菜もますますみんなから人気になってるし結果オーライってことで陽菜がまた新しい作品を書くのを楽しみにしたいと思う。

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 毎週日曜日18:00番外編公開


 いつも応援していただいて本当にありがとうございます。

 もう陽菜ちゃんカクヨムデビュー編は封印って宣言した翌々日にまたカクヨムネタで申し訳ありません。

 でもたまたま本当に今日で☆1002個になってついに☆が1000個を超えました(予想外過ぎて1時間でこのSSを書くハメに)。


 本当にここまで応援していただいてありがとうございます。みどりのは本当に幸せな作家だと思います。

 カクヨムコンまで毎週日曜日の18:00より番外編など公開していく予定なのでよろしくお願いします。

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