番外編⑤ 陽菜ちゃん、カクヨムコンに挑戦する(陽菜視点)

「え!? 陽菜ちゃん、カクヨムコンに挑戦する気がないの?」

 今日は12月1日の金曜日。みおちゃんのマンションでみんなで集まって晩ご飯を食べた後、恭介くんがお風呂に入っている間にみんなで話をしている。

 しずくちゃんから私がカクヨムに掲載している小説について聞かれたところから話題が私のカクヨムコン挑戦の話になる。


「あーしは小説とか読まないからわかんないけど、カクヨムコンってその陽菜ちゃんが小説を掲載しているカクヨムってサイトでやってるお祭りかなんかなの?」

 みおちゃんが質問する。そうだよね。小説サイトでコンテストしてるなんて一般の人は知らないかもしれない。


「カクヨムコンっていうのは『カクヨムWebコンテスト』の略称でカクヨムで連載されてる小説がそれぞれのジャンルで評価されて大賞に賞金100万円、書籍化がされるっていうイベントなの。年に一回のお祭りってことだね」

「100万円なんて凄いじゃないか! 私の刀剣女士のインスタもだいぶ収益化が出来て来たが陽菜ちゃんの小説もお金になる可能性があるんだな」

「師匠が大賞を獲ったら師匠からになるんだよ!」

 ひよりちゃんもまるちゃんもそう簡単に大賞なんてとれないから。

 あと、まるちゃんから「大将」って呼ばれるのは居酒屋さんとかみたいで凄く微妙な気がするから勘弁してほしい。


「う~ん、そうなんだけどね。私の小説『幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う』は小説っていうより恭介くんやみんなとの日常を文章に起こしただけでだから……。みんなの名前を弄ったりそういうところ以外はけっこうそのままだからなんとなくズルみたいな気がして気が引けちゃって」

 みたいな場違い感があるのだ。

 あ、でもこれをノンフィクションだって出品しちゃうと逆にこれが現実なの!? って追及されても困るんだけど。


 あと、ここはだから書き始めの時間のズレは大目に見て欲しいけどすでに69万字も書いて完結したことになっちゃってるし。

「ああ、完結済みの作品は不利だっていう話みたいだもんね。そうか~、読者選考があるのに完結してたらそれ以上☆なんて増やしようがないから、結局読者選考で不利になるってことなんだね」

「そうなんだよ。たとえ☆が1000個あっても過去の評価だし関係ないみたいなんだよね。そう考えるとカクヨムコンにちゃんと参加するつもりの人は最初からピークをカクヨムコンに持って来てるはずなんだけど、私の場合は書きたいように書いちゃったし、本編はもう弄りようがないくらい完全に終わっちゃってそこに手を加えたら蛇足どころかやぶ蛇みたいなことになっちゃいそうだし……」


「後はメインヒロインはギャルが良かったのに、幼馴染を中心にしたハーレムエンドはいただけないよね」

「いや、やっぱり今の時代は貧乳風紀委員の刀剣女士がメインじゃないと」

「やっぱりまるみたいな無条件に愛してくれる妹系じゃないとダメだったんだよ」

 む、みんな勝手なことを言って……そう思いながらしずくちゃんを見る。

「ムッツリメガネ委員長って需要ないかな?」

 お嬢様キャラになったのにいまだにしずくちゃんの中ではそっちがアイデンティティなの!?


「ヒロインがどうとか以前に恭介くんのタイプがまずカクヨムの主人公として向いてないと思うんだよね。あとあと、書籍化とかはなから無理そうな展開だらけで……主にしずくちゃんとみおちゃんのせいで各所からクレームが来そうで」

 盗撮ヒロインがセクハラ上等で、オタクヒロインが主人公と同人誌でのエッチシーンを一般公開した挙句、疑似精液フェイクザーメンごっくん展開とかどう考えても書籍化前に大幅改稿待ったなしな気がする。

 あと、恭介くんのみおちゃんへのお仕置きアイアンクローも今どきは許されない気もするし……目立たないウェブ小説で細々とやっているから許されてることなきがするんだよね。

 っていうか、これが私たちの日常だからそのまま書いちゃった私が一番悪いのか!? ああっ、もっとまともな物語に改変して書けばよかったんだ? 私のバカバカバカ!

 思わず後悔で頭を抱える。


「ああ、また陽菜ちゃんが変な妄想と後悔モードに入ってしまったぞ。こうなると恭介が慰めないとどうしようもないからな」

「まるがきょーちんを呼んでくるんだよ」

「ちょっと待ちなって、まるっち。恭っちを呼ぶのは家主であるあーしの役目だから」

「ちょっと、2人とも恭介さんのお風呂を覗きに行きたいだけでしょ!? もうお風呂から上がって来たいみたいだから手遅れよ」

 相変わらず隙があれば恭介くんのお風呂を覗きに行こうとするみんな。こういう所はやっぱり貞操逆転女子で変わらないなぁって思う。


 ガチャッ


「ふんふんふ~ん♪ おふろ~おふろ~お~ふ~ろ~♪」

 お風呂上がりの恭介くんが陽気に鼻歌を歌いながら頭をバスタオルで拭きながら現れる。歌は……うん、相変わらず元気があってよろしい(←音痴とは言わない)。

「あれ!? みんなでどうしたの? 陽菜が頭を抱えてるし。何かあった?」

 恭介くんが心配してない感じで聞いてくる。うう、私がこうなってる時の扱いが地味にひどい雑だ。確かに本気で悩んでる時は頭を抱えたりしないけど。




 そこからの話は早かった。恭介くんにカクヨムコンの話をしたら一言で返されて方針が決定してしまった。

「別に出して損することなんて何もないんでしょ? 読者選考で落ちたら作品を消さなきゃいけないとか作品が評価されなかったって話でもないんだし。その『特別審査委員賞』っていうのに陽菜の作品が選ばれる可能性があるなら可能性0%でもないんだし登録だけしとけばいいでしょ?」


 はい、恭介くんは恭介くんでした。 そしてその発言内容のあまりの正しさにみんなでうんうんと頷いてしまった。


 ということでカクヨムコン9、本日参戦したので応援よろしくお願いします!

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 流石にカクヨムコンの読者選考を通りたいっていうのは虫が良すぎると思いますが、本日カクヨムコン9エントリーいたしました。

 カクヨムコン期間中は毎週日曜日18:00に新しいエピソードを公開していきます。


 ということでよろしければ☆やコメントなどで応援ください。


 あとコメント欄、ヒナアフター以外は改変済みです。以前のコメントの返信も色々と変わってますので興味のある方は眺めてみて下さい。陽菜が全部返信してます。


 あとあと、陽菜ちゃんとカクヨムシリーズこれで打ち止めの予定なんですけど、☆1000記念SSが来ちゃったらごめんなさい。

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