第315話 ⑨白いハイソックスと上履き
その日は朝から薄曇りでまだ冬の寒さが感じられる一日だった。3月が近づいているのでそろそろ暖かくなって欲しいと思っているが雲の向こうの太陽は明るさだけは感じさせるものの暖かさを伝えてくることはなかった。
お母さんに車で送ってもらい、保健室に入ると保健室の中は暖房がしっかりと効いていて暖かかった。みんなの登校時間と少しずらしてもう授業が始まっているはずの時間。
だけどこの時間が私の登校時間だ。
「おはようございます。橋口先生、今日は寒いですね」
「そうね、姫川さん。こっちに電気ストーブがあるから手足が冷たかったら温めていいわよ」
そんないつもの会話を交わしながら私は自分のために区切られたパーティションの奥に引っ込む。
そろそろ中学の参考書のほとんどが理解できるようになってきた。教科によっては高校1年生の頭を勉強している。もっともそれでもほぼ1年遅れなんだけど。
でも、高校に入ってすぐに躓いた英語や数学が理解できるようになっている。つまり私には中学時代の勉強という土台がなかったから積み重ねることが出来なかったのだ。
カラカラカラカラ……
「先生、すみません。体育のサッカーの授業中に男子2人がぶつかって倒れちゃって。頭が痛いって言っててひょっとしたら救急車を呼んだ方がいいかもって……」
慌てた男子の言葉に橋口先生が白衣の上から上着を着こんでとにかく運動場に向かうらしい。
「君、案内してくれる? 姫川さん、そういうことだからちょっと出てきます」
バタバタと橋口先生が出ていって保健室の中には暖房の音と私がシャープペンシルを滑らす音だけがカリカリと響く。
カラカラカラカラ……カチャッ
ん? 橋口先生が帰って来たにしては早いな。それに今の音は鍵をかけたんだろうか。
この保健室は特に危ない薬品があるわけでもなく、養護教諭が席を外している間にも緊急性の高い要件で使われることがあるので基本的に鍵はかけないことになっている。
そこまで気にすることだとは思わなかったのでそのまま教科書に向かう。
ガシッ グィッ
いきなり後ろから羽交い絞めされて体を持ち上げられるようにして運ばれる。私の両脇を後ろからロックするようにしている男子が1人、暴れようと思ったところで両足をまとめるようにもう1人に掴まれてパーティションから引きずり出される。
そのままカーテンが開かれていたベッドに放り出されるように押し倒される。
「ヒナが学校に来てるって聞いていたけど本当に来てるじゃねぇか」
「へへ、多々良も死んで西田もいなくなってご無沙汰してるんだろ、俺たちがまた楽しませてやるぜ」
3年生だっただろうか、私がヤッたことのある男子でラグビー部の豪田とサッカー部の村繁という名前だったと思う。
「あんたたちみたいなヘタクソとシタくなんかないから。これ以上何かしたら人を呼ぶわよ」
「はっ、橋口のデブがちゃんと戻ってこれないようにラグビー部の後輩に精々痛がるように命令してあるからな。心配しなくてもお前を満足させるくらいの時間はたっぷりあるから安心しろよ」
「そうだぜ、西田と付き合っているのに浮気したお前が誘って来た時のハメ撮り動画だってあるんだ、今回も誰がどう見たって同意ってことになるだろうぜ。抵抗するならこの動画をネットに流すから覚悟しろよ。これからお前は俺たちのいいなりになるしかないんだ」
そう言って村繁がスマホを取り出してテーブルに置いて録画する準備をしている。
「変なマスクを付けやがってコスプレか? まあどうでもいいか。お前の体を楽しみたくてもうこんなになってるんだからよ」
豪田がそう言いながら私の手に無理やり大きくなったものを握らせる。昔はどんな男のものでも興味があったのは事実だ。豪田と村繁も自分から誘ったし跨って腰を振ったのも全部本当のことだ。
だが今はこの2人に興味なんてないし、ついでに言えば2人とのセックスが気持ちよかった記憶もない。ただ、体を重ねてみただけの相手だろう。
向こうからしたら自分から誘って腰を振るような淫乱女が登校して来たならちょっと誘って保健室で気持ちよくなろうというレクリエーションくらいの感覚なんだろう。ついでにこれから先の性処理用の女としてキープしたいってところか。
昔の自分の文字通り身から出た錆としか言いようがない状況だ。
剥ぎ取るようにニットのベストを脱がされて制服のブラウスのボタンを引きちぎるように外されてブラが2人の眼前に晒される。欲望に満ちてぎらぎらと血走った2人の目。
今の私には不快でしかないがベッドに押し倒されて腕を押さえつけられている私に抵抗するすべはない。
「へへ、御開帳だ。相変わらずいやらしいいい乳をしてるじゃないか」
ブラが押し上げられて私の胸が二人の眼前にさらけ出される。2人で私の片腕ずつを押さえつけて両方の胸にむしゃぶりつくようにしゃぶられる。
「止めて……本当にイヤだから……」
保健室に響くいやらしくしゃぶる音。豪田の太い指が私のパンツをめくるようにして大事な場所を弄り始める。
「ンッ、クッ……」
くちゅっ
刺激により濡れてしまっている私自身の音に真っ赤になってしまう。好きでも無い男から触られる性的刺激でも快感を感じてしまう自分の体に嫌気がさす。少し涙が流れてしまっているかもしれない。こんな奴らに負けたくない。私はどうにか言葉を絞り出す。
「ま、待って。してあげるから手を離して、私のフェラ好きだったでしょ?」
そう言って私は2人の手を離させると自分からスカートを脱いでパンツだけになった。白いハイソックスと上履きを履いたまま保健室のベッドに座るようにして二人を招き寄せた。
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ヒナの物語第9話となります。
ここで切るときついので10話をほぼ同時に投稿しています。そちらも合わせてお読みください。
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