第286話 再会してから部活も含めてずっと一緒にいた

※男の娘のちょっと性的なシーンがあります! 注意をお願いします。

 ご理解のある方のみお読みください。


 ゆうきが逃げ込んだのは島の西側の岩場の方だった。

 この島は周りを岩で囲まれるようになっていて北側には蝋燭岩や針孔岩をはじめとした奇岩群、船着き場になっている西側と東側(俺たちが上陸した側だ)にも少し岩場がある。


 南側は元々浜になっていて近年、琴乃刀自が孫や遊びに来る人達のために砂を運んできて砂浜に入れ替えたらしい。

 2棟の別荘は東側の青猫館と対照的に赤い瓦で葺かれた赤猫館という和洋折衷様式の洋館が建っているそうだ。島全体がネコの顔の形をしていて衛星写真で見ると赤猫館と青猫館がネコの瞳に見えてオッドアイのネコに砂浜が黄色い首輪をしているように見えるらしい。


 ごつごつした岩場をゆうきを探して歩く。俺もサンダルだしゆうきもサンダルだから怪我とかしていなければいいけど。

 それにゆうきはフリチンだから、何かあったら大変だ。

 岩場の影を覗き込むようにしながら歩く。女子や先生たちがどこにいるか分からない別荘の方へ帰るには水着も隠すものもないゆうきにはハードルが高いから心細い思いをしてもこっちの岩場の方にいると思うのだが。


 北側の岩場の方は洞窟や陥没して穴になっている場所もあり危険なので行って欲しくないんだけどと思いながら西側の岩場を探していると……見つけた。

 岩場の陰に体育座りをしてひざに顔を押し付けるようにして泣いているようだ。後ろから見つけたからゆうきのプリンとした可愛いお尻の曲線は見えているけどさっき握ってしまったおちんちんは見えていない。

 そっと後ろから近づいて驚かせないように少し距離を取って声をかける。


「ゆうき、迎えに来たぞ。みんなも心配しているから帰ろう」

「グスンッ……きょーすけ。ゴメンね……きょーすけのためにモデルを頑張ろうって思ったのに迷惑をかけちゃって」

「ばか、迷惑だなんて思ってないから。それに親友のゆうきにだったらいくら迷惑をかけられたって迷惑だなんて思わないから」

 そう言いながら近づいてバスタオルを背中にかけてやる。岩場の陰になっていたおかげで太陽にさらされて炎天下で熱中症になるなんてことがなくてよかった。


「事故をそんなに気にするなよ。謝らなくちゃいけないことなんてゆうきには何もないんだから……」

 ブンブンと首を振るゆうき。俺の目の前で射精してしまったことが相当こたえているらしい。寄り添うように隣に座った俺の顔を見てもくれない。


「あのさ……今ここで話すつもりじゃなかったんだけど俺の秘密を聞いて欲しい」

 秘密という言葉で俺の方に目を向けるゆうき。その目は泣きはらして真っ赤になっている。ひょっとしたらここで話すことでゆうきとの友情が一生失われるかもしれない不安と恐怖。

 でもこれ以上ゆうきを騙すようにして過ごすのはイヤだった。


「俺さ……実は教室でこの写真旅行の話をゆうきから聞いたとき全然心当たりもなかったし覚えてなかったんだ。入院中にゆうきから来たメールも村上祐樹って自分の友達から来たメールだってことさえ分からなくてスルーしてた」

 ゆうきが俺のことを怪訝な目で見つめている。


「川に溺れて記憶喪失になったってこと?」

「いや、記憶は確かに無くなってるんだけど正確には違うんだ。俺はあの川でおぼれた日までとその後で別の人間なんだ。

 こんな事を言っても頭がおかしくなったとしか思われないかもしれないけど、俺はあの日別の世界で死んでこの世界の多々良恭介の体に入れ替わった……元々は別の世界で生きてきた多々良恭介なんだ」

「どういうこと? じゃあ僕と写真旅行の約束をした恭介はどこに行ったの?」


「正直に言うと分からない。元の世界に残してきた俺の体に入れ替わって生きているかもしれないし死んでいるかもしれない。

 こっちの世界で死んだ直後にこの世界の多々良恭介の体に入り込んで生きているのが今の俺ってことだけが俺に分かることなんだ。だからゆうきのことを騙してたっていわれても仕方ない。

 俺は元の世界でも村上祐樹の友達だったからゆうきとも友達になりたいと思ってて、ずっとこの世界にずっといた多々良恭介のフリをして騙していたんだ。

 でも、ゆうきにだけは……親友にこれ以上隠し事をしたくないから今こうして話したんだ」

 ゆうきはじっと俺の目を見ている。再会してから部活も含めてずっと一緒にいたゆうきなら俺が嘘をついていないって分かってくれるはず。


「確かに恭介がきょーすけになってからいろいろと違う所が増えたとは思っていたけど……あれだけ嫌っていた藤岡さんと凄く仲良くなったし。姫川さんのこともずっと避けてたのにあれから急に仲良くなったよね?

 でも、あの時再会してから変わったきょーすけがカッコよくて大好きだったからずっと気にしないようにしてた。

 ひょっとしたら薄情なのかもしれないけど恭介がきょーすけになってすごく楽しかったんだ。だからきょーすけが入れ替わりかどうかなんて気にしないよ。ずっとそばにいて欲しい。きょーすけがいた世界ってどんな世界だったの?」


「ああ、こっちの世界とあっちの世界は貞操逆転世界って思うくらい男女の価値観が違っていて、むこうの世界では男の性欲が強くて女はどっちかというと性に消極的なんだ。信じられないだろ?」

「信じられないけどきょーすけの性欲の強さを見たらそれが証拠かも。異世界との入れ替わりなんて信じられないことがあって今の僕ときょーすけはこうやって一緒にいるんだね」

 会話を始めて初めてゆうきがちょっとだけ笑ってくれた。


「そうだな。本当に奇跡みたいな確率でこっちの世界に来たんだと思う。

 それにゆうきのいう通り俺は多分この世界の男子の中じゃ特別ドスケベな男子だよ。

 今だってゆうきが下半身裸だって思ったら勃起しちゃうくらいだし」

 ゆうきが真っ赤になる。

「きょーすけは僕みたいな男から好きになられて平気なの? 気持ち悪くないの」

「うーん、ゆうきはゆうきだからなぁ。男なのは分かってるしあくまでも友情であって、エッチしたいとかそういう感情じゃないんだけど可愛いとは本気で思ってるから」


「か、可愛いって……もう、きょーすけのバカ。これでも僕は本当に男の子なんだからね」

「知ってるよ。ゆうきは男で俺の親友。実は元の世界の村上も俺の親友だったんだよ。それもあってゆうきとは親友になりたかったんだ」

「むぅ……僕以外にも親友がいたんだ? きょーすけの親友は僕だけだと思っていたのに」


「あはは、自分で自分に嫉妬してるの? まあ、むこうの村上はゆうきとは全く別人だったからなぁ……ゆうきは別世界の自分が筋肉ムキムキだったって言われたら信じられる?」

「きょーすけが入れ替わりっていうのより信じられない。僕がムキムキだなんて」

「事実は小説よりも奇なりだな。だから……俺はこれからもこういう俺だけどそれでも親友としてそばにいてくれるならずっと親友でいて欲しい」

「うん、僕はきょーすけの親友だから。きょーすけに彼女がいても、奥さんがいても親友だったらそばにいても問題ないよね?」


 ん!? なんだか選択肢を間違えたらゲームオーバーになりそうな空気感?

「ああ、俺とゆうきは親友だろ。ずっと俺の親友のゆうきでいてくれよな」

 そう言ってゆうきの前に右こぶしを突き出す。ゆうきが自分の右手を握って俺のこぶしにコツンとぶつけてくれる。元の世界でも村上とよくやっていたフィストバンプ。


「それじゃあ帰ろうか……あ、これ。ビキニの下とパレオ持ってきたから」

 ゆうきに渡そうとするが首を振られる。

「その前に……前にきょーすけが僕が読んでた少年マンガを見ながら『って言いながら殴り合う展開ってないの?』って僕に聞いてきたよね、覚えてる?」

 ああ、マンガの中で殴られた親友同士が殴り返さないから気になって聞いたやつだ。

 元の世界だとああやって殴り合って絆を深めたりしてたのにこっちの世界の男子にはああいう展開はないみたい。


「殴ったり殴り返したりっていうのが友情で貸し借りなしっていうのが元の世界では漫画とかでよく見る価値観だったから」

 ゆうきが悪戯っぽく笑う。

「だったらさ、『』で僕の射精を見たんだからきょーすけも僕に射精を見せてくれるべきじゃないのかな~」

 小悪魔の笑みを浮かべる親友。あれ? ゆうきってこういう子だったっけ? きっと村上(妹)の悪い影響を受けたに違いない。


 さっきは事故で触っちゃったけど流石に触らせたらラインを越えてると思うし、元の世界でだって村上となにをオカズで抜いたとかアホみたいなオナネタ報告はし合ったことがあるけど見せ合いっこはしたことないぞ。

「大丈夫、恭介はお外でオナニーしたくなっちゃってそれを僕が見ちゃっただけだから。僕も死ぬほど恥ずかしかったんだからきょーすけも同じくらい恥ずかしい思いをしてくれるよね」


「それを言われると弱いけど……だけどいきなりオナニーしろって言われても」

 流石の俺も口ごもる。するとゆうきが自分の背中に手を回しマイクロビキニのブラを取り自分の手で乳首を隠す。考えてみると水泳部で一緒に着替えたりしてきてるのにゆうきの乳首って見たことがないなぁなんてことを思い出してしまう。


 だけどその手ブラの煽情的な姿、体育座りを崩すようにして正面から股間が見えないようにされていてまるっきり可愛い女の子が目の前にいるようにしか見えない。

 目の前にがいた……俺のだった。

 俺は海の方まで歩かされて岩場から少し海に足首までつかる場所……ゆうきから正面で見える場所まで移動させられる。


「僕がオカズになってあげるから……きょーすけのおちんちん、もうギンギンになってるんでしょ。水着を下ろして僕に見せてよ」

 覚悟を決めて水着を下ろす。ボロンっ……ビンッ!

 すでに上を向いてちゃっているし。

「じゃあ、始めるから。そんなにまじまじ見ないで……」

「ゴクッ……大きい。僕の三倍くらいありそう。きょーすけのすごい」



 そのまま、全力で扱いて海に精を解き放った。太陽が照り付ける中での射精は頭がおかしくなりそうな開放感。こんなのにハマったら性癖が歪みそう。

 この背徳感は屋外で露出しているせいだと信じたい。


「きょーすけ、凄かったよ。きょーすけはそんなに激しく擦るんだ。参考になったよ」

 そういうと後ろを向いてコソコソと水着をつけてパレオを巻くゆうき。ゆうきのパレオごしでもゆうきのの部分が自己主張をしてるのが分かった。


 俺ははぁはぁと荒い息を整えて海水で下半身を洗い海パンのトランクスを履いた。流れていくゼリーはゆうきの3倍くらいあったかも。

「ずーっと親友だからね、きょーすけ。それじゃあみんなのところに帰ろう」

 そういうとゆうきは俺の腕を掴んでマイクロビキニの胸を押し付けてくる。


 後で陽菜に報告したら怒られそうだなぁって思いながら砂浜に戻るのだった。

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 ちょっとした小話


「というようなことがゆうきとの間でありました」

 陽菜が驚いたのか呆れたのかあんぐりと口を開けている。

「恭介くん、今回はゆうきくんの心の傷になるかもしれないところだったし恭介くんなりに誠実に対応したってことなんだろうけど、ちょっと確認するから目をつぶって」

 陽菜に言われて素直に目を閉じる。

「心理テストです。今、恭介くんの目の前には恭介くんがゴリマッチョって呼ぶ元の世界の村上くんがいます。その村上くんの一大事なら村上くんの前でオナニーできますか」

 想像する。ゴリマッチョの前でオナニー……たぶんできる。ゆっくり頷く。ゆうきの場合と違ってオカズは何か別に必要だけど。ゆうきみたいに体でオカズを提供して貰うのはムリ。

「次の質問です。村上くんのピンチです! おちんちんを握ってあげることはできますか?」

 うう、握りたくないなぁ……でも頑張って握るな。ゴリマッチョのピンチだし。二つ目の質問にも頷く。

「最後の質問です。村上くんがエッチして欲しいって言ってきました。おちんちんをしゃぶってあげたりしゃぶって貰ったり、お尻でエッチをしちゃいますか?」

 想像する……ムリムリムリムリムリィ!!! いくら親友でもエッチ出来るかどうかは別だから。ゴメン村上。

 首を横に振った。

「分かりました。目を開けて下さい。

 分かったよね? 恭介くん。恭介くんの親友の範囲に今回のことは入ってるからセーフ! これ以上はアウトで浮気とみなすから。許さないんだからね。

 お、お尻でどうしてもしたいなら、わ、私がしてあげるんだからよその人でしちゃダメだからね。私のあとだったらみおちゃん達ならいいけど」

 最後にとんでもないことを告げられて俺の頭がフリーズしました。今日のことは許してもらえてよかったけど、ゆうきとの仲にしっかり釘を刺されたのかな。


 という会話が夕食のバーベキューの後にあったとかなかったとか。

 (キスを飛ばすあたり陽菜は策士? それとも天然?)


 ※9/21にタンテイパパ様よりファンアートいただきました。

 陽菜を描いてもらいましたので近況ノートに掲載させていただいています。

 https://kakuyomu.jp/users/badtasetedog/news/16817330664072294832


 毎日18時に最新話公開中

 次回更新は9月23日です。

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