第281話 そういえば生理の方は大丈夫なの?
ゆうきの日焼け止めを塗り終わって立ち上がる。もう一つのビーチパラソルでは大人組がビーチチェアを3つ並べてくつろいでいた。
それぞれ手には涼しげなカクテルグラスを持っているがどうやらノンアルで雰囲気を楽しんでいるらしい。
「多々良~、アタシのためにノンアルのカシスオレンジ作って~。そこのクーラーボックスにオレンジジュースもカシスシロップも入ってるから」
ちさと先生が空になったグラスを掲げて俺にオーダーしてくる。俺がバイトしていた居酒屋のドリンクカウンターにそんなしゃれたものはない!
ちさと先生の格好はみおがさっき晒してくれたが、ヒョウ柄のクロスホルタービキニで胸の谷間がバッチリ強調されて眼福だった。汗の粒がいくつも胸の間に浮いていて思わず引き寄せられそうになる。下もヒョウ柄だがかなりのローライズできわどい水着。間違いなくアンダーへアの処理とかしないと着れないだろうって感じ。
本当に他に男がいないビーチで誰を誘惑しようとしてるんだか。
シェイカーにカシスシロップを少しとオレンジジュース、氷を入れてシャカシャカ振る。
「どうぞ。ノンアルコールのカシスオレンジになります」
そう言いながらちさと先生のビーチチェアの横に跪いてグラスに注ぐ。全く関係ない光画部の臨時顧問を引き受けてくれたんだからこのくらいのサービスはしてあげてもいいと思う。
「ちさと、これ最高じゃない。男子高生のお酌付きで浜辺のリゾートなんて、今日ほどちさとの友達をしてて良かったと思ったことはなかったかも」
そう言いながらグラスで俺のお酌するノンアルカシスオレンジを受けているのはみなもさん。
みなもさんの水着は昨日見せて貰ったけど強い日差しの下で見るとまた印象が違う。真っ赤なビキニが鍛えられた肉体美を飾っている。
この人刑事だからなのか本当に鍛えてるんだよ。スレンダーな中にしなやかな筋肉を感じるひよりと違ってどちらかというとボディビル的な鍛え方。動くことも大事だけど制圧するための力強い筋肉。
腹筋なんてシックスパックできっちり割れちゃってるから。特にそのツーパック(※注)、触らせて貰っちゃダメかな? いや、あくまでの筋肉への興味だから。やましいことなんて考えてないからね!
それに日焼けするためにサンオイルを塗っているらしくヌラヌラした質感の肌がエッチすぎる。これって日焼けしたらこのビキニの形に日焼け跡が残るってことだよね。
うう……エッチだ。エッチな刑事さんがいる。
「恭介君、カクテルありがとう。もうすっかり顔色もよくなったみたいだね。船酔いしてる姿も可愛かったけどそうやってかいがいしくお世話して貰っちゃうと本当にマリンリゾート感があって楽しいわ」
あさかさんは競泳水着みたいなタイプで紺色に赤のラインが入った水着なんだけど何故か胸の谷間からおへそにかけて割れるみたいに布地がなくっていてお腹の肌が全部見えちゃってる。胸の谷間からおへそまでまる見えのハイレグ競泳水着だった。
エッチなグラビアみたいで思わずガン見してしまう。
「うう、久しぶりに海に来たから水着を買おうと思ったんだんだけど、通販で間違って隣のを買っちゃったの。流石にこれは恥ずかしいからあんまり見ないで」
流石はドジっ子属性付きの白衣の天使である俺のあさかさん! 期待以上です。かなりきわどいエッチな水着を恥ずかしそうに来てるところもポイント高い。この貞操逆転世界の女性としては俺が知るなかで一番奥ゆかしくて清楚なあさかさんだからこそエロさが際立つ。
その胸の谷間からおへそまで日焼け止め塗ったんですよね? もしドジっ子で塗り忘れてたら俺が塗ってあげますって妄想して見ていたら後ろからちさと先生が「多々良~」と怖い声で俺を呼ぶので俺は逃げ出した。ダダダダダッ 無事回り込まれずに逃げきれた。
はぁ~、大人組に捕まると大変なことになるけどとりあえずアルコールが入ってないから今は大丈夫。しかしあの人たち本当に大人の色気が凄いから大変だ。
俺の天使、マイスイートハートの陽菜と一緒に癒しの時間にしよう。
陽菜たちはビーチボールでビーチバレーの真似事をしているみたいだった。一応ポールが立ててあって紐だけ張ってある。
ぽーん、ぽーんと軽い音を立ててみんなが返している中でいきなりのどかのトスをひよりがものすごいジャンプでアタックしている。
「これでどうだ!」
あれ!? ひよりさん結構本気?
ビーチボールとはいえそれなりのスピードが出てるそれをさんご先輩がダイビングレシーブで拾う。すごい、ひよりと張り合ってる。流石に身長が低くてアタックは出来ないみたいだけど。
「うわっ、重っ。本当にビーチボールなんだよね?
今度は普通にレシーブしたさんご先輩が驚いてる。2人でチーム組んだらメチャクチャ強いんじゃなかろうか。浜辺で最強タッグ結成!?
陽菜はひよりとのどかの後ろでずっとワタワタしてるだけだから借りていっても大丈夫だろう。
「陽菜を連れて行っていいかな?」
そう言いながら浮き輪と陽菜のために準備した白いフード付きのラッシュガードを陽菜にかぶせる。海でぷかぷかしてる間、ずっと日よけもなしに日光にさらされることを考えたらフード付きのラッシュガードくらいは着せておきたい。本当なら浮き輪にビーチパラソルを取り付けたいくらいだ。
アームリング(腕につける浮き輪)も装着させる。陽菜は泳げないから。
「ありがとう恭介くん。これって水に浮くやつ?」
陽菜の質問に頷いておく。そういえば陽菜も冬の川で溺れたんだけど水が怖くなったりしてないかな? 怖そうだったらやめておこう。
浮き輪と言ってもゴムでできた本格的でタイヤのチューブみたいな大きな浮き輪。大きいので陽菜のお尻から腰まですっぽり入るくらい。海水は目に染みるからちゃんとゴーグルしておかないと。
決して水中から陽菜のお尻を観察するためではない。俺も薄手のだけどライフジャケット付けてるからあんまり潜れなさそうなのが難点かな。
「陽菜、ちょっと沖までいくから怖かったら言ってくれよ」
おしりを浮き輪に入れて両手と両足で浮き輪に乗っかるようにしている陽菜を浮き輪についている紐でグイグイ沖の方に引っ張っていく。
頭上からは眩しい太陽。海はどこまでも青く今日の空を反射している。
「恭介くん、速~い。やっぱり泳ぐの上手だね」
早いっていわれるとショックだけど速いって言われるのは大歓迎。
「陽菜はあの冬の日、俺を助けるために飛び込んで溺れちゃったわけだけど水が怖くなってたりはしない?」
念のために一応聞いてみる。
「平気だよ。だってすぐに恭ちゃんが……恭介くんが助けてくれたから」
そう言いながら陽菜が浮き輪にしがみついてぷかぷか浮いている俺の頭を撫でてくれる。
「あの時ね、恭ちゃんだって思ったんだよ。今思えば『力を抜け』って言われて素直に言うことを聞けたのは恭ちゃんだと思えたからなんだよね」
懐かしむように陽菜が言う。俺も懐かしいかも。まだ1年もたってないんだけどね。
ずいぶん沖に出た。砂浜のみんなが小さく見えている。
「2人っきりだね……この旅行中は俺たちもなかなか2人にはなれないだろうから貴重な時間かもしれないね」
「男の子は恭介くんとゆうきくんの2人だけだから大変だもんね。それに写真撮ったりバーベキューしたりって忙しいもんね」
「それもあるしせっかくしずくたちとも海に来れたんだからめいいっぱい楽しみたいし楽しんで欲しいからね」
「うん、私もみんなとも楽しむから恭介くんは無理しないでね。明日はひよりちゃんとまるちゃんと一緒にしずくちゃんに習いながら磯釣りに挑戦してみようって話もしてるから。写真撮影が終わったら美味しいお刺身を食べさせてあげるね」
陽菜が釣った魚を食べられる日が来るなんて夢みたいだ。
あんなに体が小さくてちょっと動いたら息切れして満足に遊べなかった女の子がこうしてみんなと一緒にワイワイやっている。そのことだけでも胸がいっぱいで涙が出そうで誤魔化すようにして海水で顔を洗ってしまう。
「そういえば生理の方は大丈夫なの? プールとかでも生理だって欠席する子が結構いるけど海なら平気なの?」
「あ、うん。生理が重めのしずくちゃんに紹介して貰ったスムース・インのタンポンを使ってるから大丈夫だよ。初めて使ったけど上手に挿ったし。しずくちゃんは中学生の頃に初めて使ったって言っていたけど」
タンポン!? タンポンって生理用品のことは知っているけどあまりなじみがないから気になってしまう。俺、気になります!
それにしずくってついこの間まで処女だったよね? 処女は俺が貰ったし変な言い方だけどする前に膜の確認までさせてもらっちゃったし。
処女でドキドキしながらタンポンを挿れてた中学生のしずくさん(三つ編み委員長スタイル)も気になります!
「
「恭介くん!? なんで気持ちいいとかそういう話になるの? 繊維でできてる吸収体が
「紐で引っ張るの? わたし、気になります!」
「ダメだからね!? 流石に恥ずかしいから見せてあげないからね! 私も古典部の千反田えるちゃんは好きだけど口真似しても絶対にダメだから」
浮き輪の上から陽菜にポカポカ叩かれた。うん、流石にこれは見たいって思った俺が悪いからこれ以上は何も言うまい。
陽菜じゃなければ激怒されてたかもしれないもんね。あ、でもドMのみおならワンチャン……なんて考えたるのがバレたのか、陽菜から「恭ちゃん!!」ってかみなりを落とされた。
生理用品のことが気になるなんて生理の女の子に失礼だから考えちゃダメだった。
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押せば引っ張れそうな陽菜さん。
※ツーパックは腹直筋下部のこと。シックスパックを鍛える際に作りにくい側の筋肉なので恭介は興味津々です。本当だよ。
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次回更新は9月18日です。
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