第280話 そんなペースじゃ終わらないから……
いつまでも起き上がらない俺に向かってぴょこぴょことのどかが近づいてくる。
いや、そろそろ起きようと思ってるんだよ。背中の日焼け止めも塗ってもらい終わったしみんなをローアングルで見られて幸せとかそいうやましい気持ちはちょっとしかないから。
「きょーちんはカニとヤドカリ、どっちが好き?」
捕まえたカニとヤドカリを持って来てくれたらしい。右手にはカニ、左手にはヤドカリを持っている。その辺の磯に住むカニとヤドカリだから小さいやつだけど。
のどかの格好はまさかのスクール水着だった。しかも胸のところに「6-3 まるかわ」と2行で書かれた白い布が縫い付けられてる。
「ま、まる!? まるの水着って?」
「うん、小学校で使ってた水着なんだよ。まだ着れるからみんなが水着を買いに行こうって言ったけどこれでいいって」
紺色のスクール水着。それも小学生用。なんだろう、自分がこの子とエッチしたことがあるって思うとめちゃくちゃ悪いことをしたような背徳感で逆に興奮しちゃいそう。少しだけパツンパツンになってる食い込んでるところがまたエッチぃ。
陽菜がむぅって小さく声を上げる。ヤバイ。これは陽菜が小学生の頃のスク水を家で探して着ようとしてむちむちで動けなくなるフラグが立ってる。
仕方ないこととはいえ、陽菜にだって嫉妬心はあるからね。その上でみんなと家族になろうとしてるのに家族にあるまじき背徳感とかで興奮しちゃったら許せないよね。
「ま、まあ、似合ってるからいいんじゃないか。とりあえずカニよりヤドカリの方が興味あるかな、日頃あんまり見ないし」
俺がそういうとのどかはニパァと笑って俺の手にヤドカリを握らせてどこかに行ってしまった。うう、手のひらがもぞもぞしてエッチな気分がどこかに行っちゃったよ。
最後にやってきたのはゆうきと村上の兄妹だった。村上の方はそのCカップくらいの本当にほどほどの綺麗なおっぱいを白と水色の縞模様のトライアングル・ビキニで包んでいた。下乳からブラ紐までを覆う三角形が綺麗なおわん型の曲線を描いている。
うん、この子も後輩で慕ってくれて可愛いし褒めてあげよう。
と思った瞬間にゆうきの水着姿が飛び込んでくる。デザインだけなら妹の村上のビキニにそっくりなその水着。問題は布面積だった。
俺が贈ったことになっているマイクロビキニ。白と水色のストライプのマイクロビキニが申し訳程度にゆうきの乳首を隠している。男だから多分乳輪が大きかったりしないし、胸もペッタンコだから乳首の上に乗っかった小さな三角形がそこに乳首があることを如実に示していた。
今までは全身タイプの競泳水着をいつも着ていたゆうきだから意識してなかったけどそうやって隠されると男の乳首のはずなのにドキドキしてしまう。
(冷静になれ! あれはゴリマッチョと同じもの! ゴリマッチョの毛まみれの乳首なら元の世界で嫌ってほど見て来ただろ!)
親友のゆうきを変な目で見ないように全力で心の中でゴリマッチョのことを思い出す。同じ遺伝子で同じ人間なんだから、違いは全身脱毛をしているかどうかだけ。
下半身を見ると下は水色のパレオを巻いているので本当にマイクロビキニを履いているのか確認できなかった。全身脱毛で毛はつるつるのはずだけど、そっちはゴリマッチョのものも見たことがないので実際のサイズは分からない。
このマイクロビキニを購入したのは前の多々良恭介だけど購入履歴が残っていたから俺はこのマイクロビキニの仕様を知っている。
男子用のマイクロビキニ。おねぇさまたちが可愛い男の子に着せて辱めるためのジョークアイテムみたいな水着でおちんちんと玉が収められるように下の水着の三角部分がちょっと立体的に膨らんでいるのだ。問題ないサイズならそこに収納されてハレンチ極まりないって状態ではないはず。
逆にゆうきが俺よりデカかったらものすごくアウトな状態になっているはずで……
気になるけど確認してもしアウトな状態だったら俺も凹むしみんなに見られたらゆうきはもう立ち直れないくらい恥ずかしいだろうから確認は2人っきりの時かな?
確認するまで確定しないシュレーディンガーの猫ならぬ、シュレーディンガーのゆうきだな。なんてことを考えていたらすごく冷たいジト目で村上から見下ろされる。
「もう、お兄ちゃんと仲いいのも分かってますし他の先輩と仲いいのは分かってますけどお兄ちゃんばかり見てないで私のことだって褒めてくれてもいいじゃないですか?」
先輩に褒められたいなんて可愛いところがあるじゃないか。それにゆうきはお兄ちゃんだからここには俺ぐらいしか男がいない状況だもんな。男子の意見は気になるよな。
「おう、村上も可愛いぞ。水着も可愛くて似合ってるし、カメラマンだけじゃなくて俺の写真のモデルになってくれよな」
そういうと村上が真っ赤になる。
「ま、まあ、先輩がどうしても私の写真を撮りたいっていうなら撮らせてあげてもいいですけど」
「ああ、本当に撮らせてくれよな」
そう言うって走り去る背中に声をかけながら村上をゆうきと一緒のフレームに入れたら映えるだろうなって思う。村上が嫌がりそうだから黙っておくけど。
「きょーすけ、あのね、日焼け止めを塗って欲しいんだけど」
あ、そうか。他の子たちは女子同士で塗り合っていたけどゆうきだけは男子だからまだ日焼け止めが塗れてないのか! このままだと真っ赤になったうえにマイクロビキニの形で日焼けが残ってめちゃくちゃエロい日焼け跡男子になっちゃう。
仕方ない、ここは俺がゆうきの白い肌を守ってやらないと。
陽菜もさすがにこれは俺が塗らざるを得ないと認めたのかしずくたちの方に走っていった。走るたびに揺れる胸とぷりぷりはじけるような白いお尻が可愛すぎて本当にこのビーチに他の男がいなくて良かったと思ってしまう。
あ、隣にいるゆうきは男じゃなくて
「まだ全然日焼け止め塗ってないから、きょーすけの白いの僕の手のひらに出して」
俺が手に持った白いボトルの日焼け止めの中身を出して欲しいってことだよね?
なんだかドキドキしてしまう。ゆうきが両手を合わせるようにして顔の前に手のひらを出してくる。そこにむけて日焼け止めの容器を二度三度とポンプする。
「きょーすけのってこんなにドロドロなんだ……凄いネバついてる」
うん、サラサラのタイプよりもドロッとしてる方がよく日焼け止めしてれる気がするから。
ぬちゅぬちゅ言わせながら手の平をすり合わせて日焼け止めを馴染ませるとゆうきはおもむろに自分のマイクロビキニのブラの下に塗り込んでいく。そうだね、水着の面積が小さいから下まで全部塗り込んでおかないと変な日焼け跡になっちゃうか。
まるで手ブラをしているみたいにゆうきの手がゆうきの胸に日焼け止めを塗りこむ。
「きょーすけ、もっと頂戴」
そういうと手のひらをまたこちらに向けてくるので、ドビュドビュッとツープッシュして手の平に出してやる。
ゆうきの手がお腹からだんだんと下に向かっていく。パレオの中に手が入ったところで思わず顔をそむけてしまう。
くちゅくちゅと日焼け止めを塗りこんでいく音がする。今目を向ければゆうきの股間がどうなっているか分かるかもしれないが俺は目をそらしてしまい見ることが出来なかった。
男同士だから気にすることなんてないのに。
「ンッ……」
どこを塗っているのか分からないけどゆうきが漏らす吐息が熱を帯びているような気がする。ほら、今日はすごく気温が高いから。
「はぁはぁ、それじゃあ恭介……背中を塗って」
そういうとゆうきはビーチパラソルの下の砂の上にうつぶせになる。
しゅるるるっと衣擦れの音がしてパレオとマイクロビキニのブラの紐が外されてゆうきの染み一つない綺麗な背中が俺の目の前に横たわっている。
手のひらで馴染ませた日焼け止めを塗るために恐る恐るゆうきの肩に手を置く。裸のゴリマッチョの村上の背中を叩いたり肩を触ったことなんて数えきれないほどあるのになんでこんなにドキドキしてるの俺?
陽菜に触れるときや他の女の子に触れるときもいつもドキドキするけどそれ以上に困惑しているかも。
「んっ……きょーすけ、そんなペースじゃ終わらないから……もっと強くしてもいいから、もっと早く動かして。僕の背中をきょーすけの白いので染めて」
言い方っ!? と思いながらもうヤケクソで塗り込んでいく。俺の精神力がガリゴリ削られてる気がする。
「はい、終了! これで日焼けは大丈夫だ。お昼前までは遊んで午後からゆうきの写真を撮らせてくれよ」
ゆうきの肩をポンと叩く。ゆうきがビクンって反応した後で俺に乳首を見られないようにいそいそとブラ紐をくくり、パレオをくくっている。
はぁーーー。明日も明後日も日焼け止めのたびにこれを繰り返すの? 俺の精神力が持ってくれるかなぁ。
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陽菜の日焼け止めを塗るシーン 約400字
ゆうきの日焼け止めを塗るシーン 約1100字
んん!? ちなみにゆうきは恥ずかしがっているだけで誘惑する意図はありません(本当に)。
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次回更新は9月17日です。
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