第279話 今は光画部の合宿中だからね!?

 目の前で陽菜がいきなり白いワンピースをスカートから持ち上げてくぐるように脱ぐ。

 背景は白い砂浜、青い海、どこまでも青く澄んだ夏空にぎらつく太陽。

 そんな眩しい世界よりももっと眩しい陽菜の水着姿が目の前にあった。


 その肢体を白いワンピースの水着で包んでいるのかと思った。胸のところには花のような大きな白いリボンが付いていて陽菜の胸の傷が極力目立たないようになっている。その胸元には俺があげたアメジストのネックレスが太陽の光を浴びて明るい紫に輝いていた。

 くるりと陽菜が俺の前で回ってくれる。


 後ろの背中はビキニみたいになっていてガバッと大きく開いていた。背中からお尻の割れ目のギリギリまでが全部見えちゃっている。陽菜の背中からお尻のラインがあまりに綺麗で、その白い肌と白い生地の水着があんまりにも眩しくて見惚れてしまう。


「ど、どうかな? 恭介くん? 私の水着似合ってる?」

 真っ赤な顔をして聞いてくる。こんな大胆な水着を着ているのに中身はいつもの陽菜だからよけいにこっちのドキドキが止まらない。

 正面から向き合うと俺よりも頭一つ低い場所に陽菜の頭があって、そこからさらに目線を下ろすとびっくりするほど谷間が強調された胸が見えた。

 恥ずかしがり屋の陽菜にしては凄く頑張ってる水着でハイレグと言っていい切れあがりっぷり。まあ陽菜の場合はつるつるだからはみ出す心配はないわけだけど。


「す、すごく似合ってるよ。可愛いし、エッチだ」

 しまった。言わなくていい本音まで出ちゃってる。

「も、もう。恭介くんのエッチ。あ、あのね……それでこの水着、背中の方の日焼け止めが塗れなかったからお願いしたいんだけど」


「あ、うん。って言うかお持ち帰りしたい」

 ダメだ、本音しか出ない。日焼け止め塗らないとねって言うつもりだったのに。

「も、もう……恭介くんのエッチ。そういうのは旅行が終わってからね」

 りょ、旅行が終わったらいいの? もう今すぐお持ち帰りして陽菜の部屋に2人で籠りたいくらい。


 ビーチパラソルの下で陽菜に寝そべって貰って背中に塗っていく。他の女の子たちもお互いで日焼け止めを塗りあってるみたい。

 でも今は陽菜しか目に入ってない。

 両手をすり合わせるようにして手の平に出した日焼け止めを馴染ませておもむろに陽菜の肩の方から手を下ろす。

「ンッ……」

 ちょっと冷たかったのか陽菜の唇から息が漏れる。ああ、これはいいものだ。

 肩から背中に塗り広げて、次の日焼け止めを手の平に出し肩から首、背中から腰と塗り広げていく。


 お尻の割れ目がほんの少し水着から出ちゃっているからここはしっかり日焼け止めしておかないと……少しだけ手を水着の中に差し込む。

「ひゃんツ」

 ごめんごめん、お尻の割れ目はくすぐったいよね。でもわざとじゃないから。

 後は太ももを塗って、とこっちの股の付け根の部分もきわどいからちゃんと塗っておかないと……たっぷり白い日焼け止めを手に取って陽菜の一番感じる場所に手を伸ばそうとすると……


 スパーーーーーーンッ!!!


「多々良くん! あくまでも今は光画部の合宿中だからね!? 前部長の私の目の黒いうちは部活中のエッチは禁止だから!」

 そこにはオレンジ色のフリルが付いたビキニを着たさんご先輩がいた。いつものハリセンを握りしめている。

 俺たちが恋人同士ということで日焼け止めを塗ること自体は許してくれてたみたいだけど流石にきわどい場所を公衆の面前で触ろうとすると怒られるよね。


「あわわわわ……」

 俺に全身に日焼け止めを塗ってもらってうっとりしちゃっていた陽菜がみんなに見られてたことに気付いて真っ赤になってる。そうだね。気持ちよくなるくらい感じちゃってたって知られるのは流石に恥ずかしいよね。


「恭介くんはこれ以降女子に日焼け止め塗るの禁止。姫川さん! 多々良くんの日焼け止め塗ってあげるなら背中だけ塗ってあげてね」

 真っ赤な顔をしてるさんご先輩がそこだけは譲歩してくれる。でも俺の背中はほとんどラッシュガードで隠れるからあんまり塗る必要ないんだよね。

 うう、本音を言えば上半身にサンオイルを塗って満遍なく焼きたい。どっかで1人きりになれれば甲羅干しとかしてもいいけどこのメンバーじゃ1人きりは無理だろうなぁ。


 さんご先輩の水着はちょっと可愛い感じでフリルが胸元にあしらわれたオレンジ色のフリル付きビキニだった。ちょっと胸が小さいの気にしてるもんね。

「あ、今私の胸をバカにしたでしょ! 彼女の姫川さんが大きいからってそうやって差別したらダメなんだからね」

「誤解です。さんご先輩! おっぱいに貴賎なしです。先輩の小ぶりで可愛いおっぱいも大好きです」


 パァァァァァァン!


 イタッ!? 陽菜が思わず俺の背中を叩いてしまったらしい。うう……ごめんなさい。さんご先輩が凹んでそうだから慰めようと思って。

「ご、ゴメン恭介くん。思わず……ああ、すごく綺麗なもみじ模様が」

 陽菜の手のひらの跡がバッチリついてるらしい。そこにみおがやって来て遠慮なしに写真を撮っている。


パシャ!パシャシャシャシャシャ!


「いや~、みんなの水着写真より前に恭っちの秘蔵写真がまた増えちゃうとは、陽菜っちGJグッジョブ!!」

 イヤだめだろ! それとも背中は男子の露出としてセーフなのか?

 と思いながら視線を上げるとそこにはギャルくらいしか着こなせなさそうなアメリカの国旗を模したバンドゥ・ビキニを身に着けたみおがいた。


 右のおっぱいは青地に星柄、左のおっぱいは赤と白のストライプ。胸の真ん中から紐が首の後ろを回ってるけどなんか意味があるんだろうか? ビキニのパンツは斜めに模様が入っていて右が星柄、左がストライプだ。後ろは赤いラインが一本あるだけの見事なTバック。

 美乳のみおが着ると少し下乳がはみ出しつつで胸をバンドのように覆っているからめちゃくちゃエロい。

 陽菜に背中を塗ってもらうためにうつぶせになっていたが腰の部分が持ち上がりそう。


 多分今回の旅行で一番エロい水着はこれだろうって思ってしまった。陽菜の水着もエロくて可愛いけどエロさだけならみおが一番かも。

「あーしも今度ベッドの上で着てあげる。それともこれを着たままお風呂でシちゃう?」

 ワザと星条旗の股間を見せつけるようにしゃがみこんだみおが俺の耳元で囁く。

 さらに硬くなってる俺に対して陽菜が背中をつねる。さんご先輩には聞こえなかったようで追加のお叱りはなしだった。


「なにをやってるんだか。恭介さん、私たちはもう日焼け止め塗り終わったわよ」

「そうだぞ、恭介。陽菜ちゃんにあんまり迷惑をかけるなよ」

 呆れたような声を出しながらしずくとひよりがやってくる。

 しずくは白のビキニなんだけど肩のところからフワッとしたフリルで胸元まで繋がっていて、カップは本当にギリギリ必要な分しか覆っていない感じで、清楚な中にもセクシーさを漂わせるエンジェルスリーブビキニだった。その白いビキニが綺麗なデコルテから自己主張の強い大きな膨らみを際立たせている。

 陽菜と対照的に胸元がばっちり見えてちょっと寄せられた谷間がいつも以上に存在感を感じさせてしずくの巨乳を引き立てていた。

 陽菜としずくが並んだらそれだけでおかずとして一生使えそう。って何を考えてるんだ……


「綺麗だ……」

 しずくを見上げながら何も考えずに思わず言葉が出てしまう。しまった。

 しずくがへなへなとその場にへたり込んで女の子座りになる。太ももと太ももの隙間から股間の白い布が見えてしまう。もう俺のトランクスタイプの水着、前の方がドロドロになっちゃってるかも。

 真っ赤になってる顔を両手で覆ってるしずくがめちゃくちゃ可愛い。この子はムッツリな分だけストレートな褒め言葉に弱いんだよね。


 ひよりが自分も褒めて欲しいのかご飯を期待した子犬のようにキラキラした目で俺のことを見つめてくる。

 ひよりの方はさんご先輩よりももっと胸元を隠そうとするような青いフリンジビキニ。胸を覆うブラから沢山のひも状の飾りが施されている。

 ひよりのイメージにはよく合ってて可愛いとと思うけど俺の目はその違和感を見逃さない。


「パッド? ギニュー?」

 思わずつぶやく俺の口を慌てて陽菜が押さえる。

「ど、ど、どうしたのかなぁ、恭介くん。いきなりドラゴンボールの話をしたくなっちゃったの? ここってナメック星に似てるもんね」(※実際は似ていません)

 陽菜が必死でフォローしようとするがひよりさんは多分ドラゴンボールを知らない。そしてこっちの世界のドラゴンボールにギニュー特戦隊が出てくるかは俺も知らない。


「わ、わ、私だって可愛い水着が着たかったんだ~!!!!」

 そういうとひよりは真っ赤な顔をしたまま、ものすごい勢いで浜辺を走り海に飛び込んだ。

 おおッ! 速い速い! ひょっとしたら今のひよりなら水泳でインターハイに出てもいい線行くかもしれないな。水の抵抗も少なそうだし。


 そんなことを考えていたら俺の股間も少しだけ落ち着いてくれた。

 -----------------------------------------------

 パッド入りの偽乳(ギニュー)じゃなければ全力で褒めてもらえるはずだったのに……

 見栄を張ったばっかりにまたオチ要員に。


 毎日18時に最新話公開中

 次回更新は9月16日です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る