第268話 こいつがそばにいて普通に生活できてるの?
「「「「「「かんぱ~い!」」」」」」
俺たち高校生3人と顧問の近藤先生、女子大生2人のグラスがチンッ♪チンッ♪と澄んだ音を鳴らし合っている。
もちろん未成年の俺たちはジュースで、大人の3人はワインとシャンパンのようだ。
今晩までホテルに泊まらないととてもではないが帰ることが出来ないので(直行便は新千歳を14時過ぎに飛び立つ飛行機だ)もう一泊することになる。
明日は搭乗手続きの時間まで札幌観光の予定が入れてある。特にみおはせっかくの旅行だから撮れ高を気にしているようだった。インスタグラマーとしては映える北海道を撮らない手はないだろうし。
女子大生組も目的の空港は違うものの新千歳を15時台のフライトなので俺たちとほぼ同じタイムスケジュールで動くことになる。石動さん達の最寄空港は俺たちより遅い便が1本多いけど表彰式まで見てスカウト目的で選手に声をかけていたし。
「ひより、インターハイ優勝おめでとう」
「ひよりっち、昨日のまとめ動画も今日の決勝配信もめちゃくちゃアクセス増えてるから道場の方の対応頼んだよ」
「
「多々良も一緒に来たらこっちのGカップのおねーさんが優しく手ほどきしてくれるよ」
「
今はホテルの夕食でひよりの祝勝会をしている。本当はリモートで陽菜やしずく、のどかも繋ぐかという話があったが原稿の締め切りが明日の昼までらしいので今が原稿の山場のはずなので優勝した事だけラインしておいた。
ひよりのスマホにクラス全員分くらいの「おめでとう」が届いていたので流石はしずくだと思う。剣道部の部長がひよりに直接電話してきて祝福してくれていたのが印象的だった。
みんなの祝福を受けてひよりが感無量で泣き出してしまった。相変わらず俺の刀剣女士は涙もろいなぁ。
「み、みんなが……おう、応援してくれたがらっ、わだしは……一人じゃここまでこれなかった」
こんなに強いのに可愛いとかもう反則だろう。
隣に座っているのをいいことに頭を抱き寄せて撫でてやる。
「よくやったよ、ひより。好きなもの取ってきてやるからなんでも言ってくれ」
そう言いながら撫でていると「十勝牛と蟹、あと作ってくれるオムレツにチーズを入れて」と返事が来たのでみおが目配せして取りにいってくれた。本当に気が利く女の子だ。
ひよりの右隣が俺で、左隣がみおなんだけど俺の真向かいの席に座っている石動さんが祝勝会に合わせてくれたのかサマーニットの胸元が開いた服に着替えてきているのでドキドキしてしまう。
体が大きいけどそれ以上におっぱいが大きい。あれがGカップおっぱい?
ノーブラなのかヌーブラ的なものをしているのか分からないけど深い谷間まで全くブラの形跡がないので思わず視線を突きさすように凝視してしまう。
石動さんはお酒に弱いのか真っ赤になりながらかぱかぱグラスを開けている。大丈夫かなこの人?
胸元まで赤くなってきているのでその艶めく肌の色っぽさにドギマギしているとひよりに思いっきり足を踏まれた。
「いてっ」
「ふん、このおっぱい星人が。あとで陽菜ちゃんに言いつけるから覚悟しておけよ」
ひよりがちょっと不機嫌そう。ペッタンコのひよりの前で超巨乳の石動さんに気をとられたのは確かに良くなかった。
「あ、そうだ。
石川さんが聞いてくる。ああ、のどかのことか。確かにのどかは竜王旗剣道大会での決勝戦、中堅として石動さん相手に化け物じみた回避力と身体能力を見せつけていたっけ。あれだけかき回してくれて体力を削ってくれなかったら本当に俺は勝てなかったと思う。
「丸川のどか、俺たちはまるって呼んでますけど、まるは俺たちの同級生ですよ。あれも剣道をちょっと齧っただけだったんですけど……」
恐る恐る返事をする。
ブーーーーーーッ!!
俺たちの会話を聞きながらシャンパンを飲んでいた石動さんが思いっきり噴き出した。うわぁ……顔からぶっかけられちゃったんだけど。シャンパンシャワーってこうじゃないよね……
ポタポタシャンパンのしずくを垂らす俺に慌てて石動さんがテーブルに身を乗り出すようにして自分のポケットから出したハンカチで拭いてくれる。
「ご、ゴメン多々良。
はぁ、それにしてもあのちびっこが剣道をちょっと齧っただけって……多々良といい小烏の高校ってどうなってるんだよ。ていうかアイツこそまともに仕込んだらメチャクチャ面白くなる才能の持ち主だろ。これからでも剣道するならアイツもうちの大学に推薦できるかもしれないから話してやってくれよ」
そう言いながらもハンカチで俺の顔を拭く手つきはすごく優しい。まだ料理の載っていないテーブルごしにに身を乗り出しているので胸の谷間が強調されて……右手を伸ばしているからズレたサマーニットのV字の胸元があとちょっとで
ひよりの右手が伸びて俺の目の前を隠している。ヒョイッ、ヒョイッと顔を動かし見ても完全にトレースされて全く前が見えません。
「石動さん、恭介の顔はもう乾いているようです。ハンカチはもうしまって貰っていいですか?」
「あ、ああ……すまない。その丸川って子のことで本当にびっくりしちまって」
「ひよりが桜祭りで披露した奉納舞も一回見ただけでトレースしていたし、まるこそ本当の天才かもしれないですね」
目隠しされた俺が何の気なしにのどかを褒めたのにひよりも石動さんも急に真剣な顔になってしまう。
「ほう、私が数日かけて磨いた奉納舞を一目でか……」
「あの子とはあの時の決着を白黒はっきり付けておきたいな」
なんか目が真剣で怖いんですけど……え? 石動さん達の大学にひよりと出稽古に行くときにのどかも連れて来いって。
それはいいですけど……
そんな会話をしていると皆の分の食事を綺麗にお皿に盛り付けたみおがサービスカートを借りて戻ってきた。両手で持てないからレストランスタッフからカートを借りて来たらしい。やっぱりできる女だよな。
石川さんとみおでてきぱきと皆の分をとりわけてくれる。いつもはみおは付け爪にネイルアートバリバリだけど、今日は全部外してお給仕モード?
それにしてもこの2人がモテるのが分かるわ。元の世界でもマメな男ってモテてたもん。こっちの世界の男性はこうやってお世話してくれる優しい女性に弱いはず。
「ありがとう、みお。石川さんもありがとうございます。2人ともいいお嫁さんになれそうですよね」
元の世界の感覚で何の気なしに言ったがこれってセクハラか? 見ると2人とも真っ赤だ。石川さんなんてさっきまでいくら飲んでも酔わないタイプなんだと思っていたのに。
セクハラを謝らないとって慌てたけどその前に石川さんが音を上げた。
「なぁ、小烏、藤岡、お前ら日頃からこいつがそばにいて普通に生活できてるの? 多々良のそばにいると男慣れしてるはずの私までおかしくされそうなんだけど!?」
「めっちゃ分かる! 石川のねーさん、あーしの話を聞いて! 恭っちと来た日には……」
それから先は俺が今まで学校でやらかしてきた失敗を面白おかしく発表する大暴露大会になってしまった。い、今はもうそんな失敗しないんだからね!?
スマホで【
体育会系女子は血の気が余ってるの? 北野ゆかり部長と言いあんまり人の体で鼻血を噴かれると恥ずかしいんだけど。
「多々良はこういう風紀を乱しかねないハレンチな男だが、根は真面目で本当に優しいんだ。私のことも何度も助けてくれて……」
場をどうにか取り繕おうと思ってひよりが一生懸命熱弁してくれているが、それがもはや完全に愛の告白にしか聞こえなくてそこが一番恥ずか死にました。
近藤先生が俺の動画を食い入るように見ていたのは墓まで持っていく秘密にします。
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大学生編があったら石動さんと石川さんはレギュラー確定ですね。
初心でGカップの爆乳おねーさんと恋多きエッチなおねーさんは好きですか?
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次回更新は9月5日です。
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