第267話 高校生の中じゃぶっちゃけ頭一つぬけてる

 朝から大慌てでみおと交代で部屋のシャワーを浴びる。寝坊こそしていないもののお互いにドロドロの状態で目覚めてしまった。


 現時点ではみおのテクニックに俺自身が翻弄されてしまっていて特に上に乗られて搾り取るように動かれると好き放題されちゃう感じ。

 貞操逆転していて男性の性欲が薄いこの世界で一度捕まえた男を確実に最後まで導くその腰づかいはまさに淫魔の誘惑って感じだ。性欲が強い俺が捕まったらひとたまりもない。まさに搾り取られる勢いで何度も果ててしまった。


 さちえさんにやり過ぎないように注意されてなかったら危なかったかも。

 あとみお自身も今日のひよりの試合の大切さを十分に認識してくれているので、あれでも俺とのエッチをで切り上げてくれた。

 といっても搾り取られた3つ分のゴムをわざとみおの胸とお腹においての4回目はとにかくめちゃくちゃエロくてヤバかったけどね。最後だけ俺が自由に動いたんだけど壊れるんじゃないかってくらい興奮して腰を振ってしまった。


 みおの方は「こんなコンドームの使い方があるとか貞操逆転世界の男子はやっぱり変態すぎ」とか言いながらもまんざらでもなさそうで感じまくってて無事イカせることもできた。

 最初に1回お口でイかされてることを考えたら計5発は全然じゃなかった。やっぱりみおはヤバイ。


「恭っちの限界って一体どこが底なんだろうね。本当の限界まで搾り取りたくなっちゃうから困るよ。

 今までの男は頑張っても薬なしで2回戦できるのは本当に一握りだったし」

 髪の毛をドライヤーで乾かしながらみおが言う。ホテルの部屋の中のドレッサーに向かってセットやメイクしている姿を見るとなんだか事後感がすごくてドキドキしてしまう。


 邪魔にならないように俺も服を着替えながら答える。

「みおがエロいから頑張っちゃうんだよ。今までの男で味わったことがないくらいみおに気持ちよくなって欲しいし」

 みおが俺に向かって昔の経験を結構話すのは俺の興奮と対抗心を煽ってるんだって分かってきた。その一方で必ず俺が一番だって言って褒めてくれるのを忘れないで自尊心をくすぐってくれる。

 多分この子とこの世界に来て一番最初にエッチしてたら本当に幸せだけどエッチしか考えない爛れて堕落した貞操逆転世界になっちゃっただろうと思う。

 いや、今でも十分堕落しそうだから気を付けないと。陽菜が俺のことを繋ぎとめてくれたんだから。




 2人で部屋を出てひよりと近藤先生と合流。朝食バイキングの後今日も会場に向かう。会場のアリーナは徒歩で行ける距離なのでそこはありがたい。


 ひよりは今日もスタスタと体の切れもよさそうに歩いている。昨日の夜の石動いするぎさん達との語らいもいい方向に作用したようだ。

「今日も調子がよさそうだな。石動さんたちから他の選手の情報も貰ったし、今日は試合会場が最初からコート2つしかないみたいだからずっとひよりの応援をするから」

「ああ、恭介が見てくれると思うだけでいつもより強くなれる気がする。安心して見てられるように頑張るから見守っててくれ」

 剣道の応援だから声を上げて応援することはできない。ひよりの動きを全て目に焼き付けるつもりで見守りたいと思う。


「勝負ありっ!」

 朝一の準々決勝。ここまでくると全国でベスト8なので簡単には勝たせて貰えない……と思っていたのだがひよりは2本勝ちでしっかりと勝ち抜いてきた。


 今日のひよりは朝一で準々決勝を1試合戦った後は午後まで次の試合がない。男子の試合や団体戦があいだに挟まるためだ。

 逆に準決勝や決勝で当たる相手が女子の団体戦に出ていれば一方的に相手のことを観察できるわけで個人戦だけに出場しているひよりはかなり有利と言える。


「恭っちはそういうけど、ひよりっちは刀剣女士として各試合を配信してまとめ動画まで出しちゃってるからね。昨日のまとめ動画もこの地域で結構アクセスがあるから動きも技も研究はされてると思うよ」

 みおがアクセス分析しながらひよりと俺に話しかける。


「まあ小烏こがらすならそう簡単には負けないって。ここにいる高校生の中じゃぶっちゃけ頭一つぬけてるからな。あ~、なんで去年1年生でも出てこなかったんだよ。アタシも小烏とやり合いたかったな~」

 今日も相変わらず俺たちとつるんでいる石動さんと石川さん。石動さんは昨日とあまり変わらない印象の男っぽい格好(俺主観)だが、石川さんはローライズのスリムなボトムにキャミソールを合わせてシースルーのトップスを羽織っている。正直シースルーは薄すぎて着てる意味自体がよく分からないし、キャミの下は何もつけてなのがバレバレで綺麗な胸の形も先っぽのポッチの位置も丸わかりなのでついついそっちに目がいきそうになる。いくら女性の胸に注目されないからってエッチな格好しすぎでしょ。


 ひよりは道着姿だし、俺とみおは一応学生として応援しているので制服の夏服だ。

 オシャレできないひよりとみおがちょっと不満そうにするのでエロい女子大生を見るのは極力控えている。

「こら、石川。お前の格好は下品だから純情な多々良が困ってるだろ。なんでそんな格好で試合を見てるんだ」

 石川さんが俺にちょっかいをかけようとするとなぜか石動さんが守ってくれるので非常に助かる。けど俺はあんまり純情じゃないんでちょっとだけ居心地が悪いです。


 男子と女子の団体戦が順に行われるので男子の試合の間も石動さんが解説してくれる。

 自分たちもスカウトするための偵察にきているので1試合でも多く見て帰らなくちゃいけないらしい。


「今の攻めくらいなら多々良でもしのぎ切れるかもな」

 俺と仕合った記憶を基準に俺でどこまで通用するかなんて話もしてくれるからとても参考になる。

 今すぐ男子のトップクラスに敵うわけではないがこれから先剣道をしていくならライバルになるかもしれない相手だ。もっとも今は俺の方がはるかに下にいるのだけど。


「アタシに勝った多々良があんまり情けないこと言うなよ。アンタが日本一になったら竜王旗でのアタシの負けも意味も変わるだろ」

 そう言ってニヤリと笑われると買い被りだと思うけどありがたいと思う。もっとも3人がかりで石動さんを疲れさせてくれたみんながいなかったら竜王旗の決勝戦は俺なんて瞬殺されていたと思うけどね。


 昼になって女子の準決勝が始まる。すでに会場は1面だけになっているので1試合ずつじっくりと眺められるし広くて綺麗なアリーナの全ての注目がひよりと対戦相手の2人だけに集中するのが分かる。


「始め!」


 試合が始まるがひよりからは動かずに竹刀の先だけで相手にプレッシャーをかける。

「……凄いな。相手の動き出しを竹刀の動きだけで抑えちまってる。相手から見たらどこから打ったら勝てるか想像もできないだろうよ」

 石動さんが小声で解説してくれる。その言葉の通りひよりは2本取って決勝にコマを進めた。


 男女の団体の準決勝を挟んで決勝戦。そこでもひよりは危なげなく2本勝ちを収めた。

 インターハイを制して日本一強い女子高生になった瞬間だった。会場が大いに沸いて降り注ぐような拍手の中、礼を終えたひよりが駆け寄ってくる。


「恭介、やったぞ。見ていてくれたか。恭介のおかげだ……お前がいたから私はここまで強くなれた。本当にありがとう。お前が現れてお前が私に期待してくれたから……期待に応えたくて」

 そう言いながらまだ胴も付けたままのひよりが俺に飛びつくようにして抱きついてきた。


 抱きとめてぎゅぅっと抱きしめてやりながらひよりに囁く。

「おめでとう。やっぱりひよりは日本一……いや世界一カッコイイよ」

「竜王旗の優勝もインターハイの優勝もお前に捧げる、愛してるよ恭介」

 多分配信は止めてるんだと思うけど、みおが親指を立ててサムズアップしながら俺たちの姿を撮っている。この瞬間も一生の思い出になるんだろうな。


 石動さんは自分と同じインターハイ優勝の肩書をひよりにもとられたのがちょっと悔しいのか赤い顔をしているが俺とひよりをまとめて抱きかかえながら「おめでとう」と祝福してくれた。


 ひよりの試合の後、男女の団体戦の決勝が行われ、その後は表彰式と閉会式がつつがなく進行された。


 表彰台の中央でメダルを掛けられ賞状とトロフィーを受け取るひよりの姿が誇らしく全力で拍手をしながら涙を流してしまった。そんな俺をみおが写真を撮るのも忘れて見つめていたが慌ててひよりと俺の写真を撮っていた。俺の写真なんて今は撮らなくていいのに……でも撮らなくていいという言葉さえも出てこなかった。


 ひよりが最優秀選手賞に選ばれて今年の剣道の高校総体インターハイは終了した。

 -----------------------------------------------

  ちょっとした小話

石川「いや~石動さぁ、思いっきり失恋したね……」

石動「言うな。あの2人はお似合だから仕方ないんだ。優勝した後に交わしていた言葉を聞いただろ。私の入る隙間なんて最初からなかったんだよ」

石川「昨日会場で多々良に会えたときはあんなに喜んでいたのに。本当に分かりやすいんだから。ほら、ハンカチ貸してやるから涙を拭きなよ。どうせ自分のハンカチなんて持ってないんだろ」

石動「(ハンカチで涙を拭きながら)ありがとう。やっぱり石川みたいに女の子っぽくないとモテないのかな」

石川「いや……どう考えてもアタシよりもアンタの方が好みのタイプだろ、あの多々良って男は。夢を追いかけてたり一途だったりする人間に惹かれていくタイプだから。アタシみたいにエロいだけって思われたら絶対損だよ」

石動「チンッ!(ハンカチで鼻をかみながら) そうかな? 大学で一緒の部活になったらちょっとくらいチャンスがあるかな?」

石川「バカッ! 鼻かむなら言え。ティッシュ渡すから……あ~あ、男から貰ったお気に入りのハンカチだったのに。ゲシッ!(石動の足を蹴る) もし多々良が入学しても再来年。アンタは3年生か……大学ナンバーワンになるか国体で優勝するかしたら見る目が変わるかも?」

石動「そうかな、頑張ってみるか。小烏も来たら国体の団体優勝も出来そうだしな。やってやるよ」

石川「(そうそう、アンタはそういうギラついた顔が一番似合ってるから。追いついてやるから走り続けろよ)」

石動「なんか言ったか? まあとにかく晩飯のバイキングは多々良たちと一緒なんだし楽しもうぜ」

石川「ああ、夕食までにアタシがあんたを可愛くプロデュースしてやるよ。ギャップ萌えってやつだ」

 帰り道にこんな会話があって、石動裕子は胸元の開いたサマーニットのGカップの谷間とミニスカという姿で現れら。その胸の谷間と太ももを見て椅子から立ち上がれなくなった恭介がひよりから思いっきり足を踏まれたとか踏まれなかったとか。


 コメント1000件目いただきました。

 ありがとうございます。☆やフォローも嬉しいけど一番嬉しいのはコメントだったりします。

 コメントが一番励みになりますので是非お気軽にコメントください。


 毎日18時に最新話公開中

 次回更新は9月4日です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る