第262話 セックスする友達をセックスフレンド
元々ひよりのインターハイに合わせて8月4日のひよりと同じ飛行機に陽菜と俺の分の座席をとって、その後もひよりと同じホテルに宿泊予定で宿の手配まで済ませていた。
陽菜と一緒だからもちろんダブルの部屋で(今回はちゃんと理解してダブルの部屋)。
旅費に関してはみおの会社の仕事の一環ということで経費で落ちるからどうにかなるということで、ひよりの刀剣女士の取材という形にはなっている。
「うう、私も恭介くんと旅行したことがないのにひよりちゃんとみおちゃんと旅行なんて……ズルい」
陽菜がブツブツ言っている。気持ちは分かる。俺も陽菜との初めての旅行を楽しみにしていたのだ。
「ゴメン、陽菜ちゃん。でも陽菜ちゃんの力がどうしても必要なの。私たちを助けると思って協力して欲しいの」
「シナリオ担当の私からも頼みたい。私の貧困な発想力では姫川さんのような胸キュンさせるカッコいい男子を思い浮かべることが出来ない。その才能は羨ましい」
「えへへ、羨ましいなんて……(恭ちゃんとの思い出ってそんなに素敵なんだ)ボソッ」
あっという間に同人作家2人にほだされる陽菜。後半は芥川に聞かれないように小声になっている。
だけど今まで話せなかった俺への想いを全力全開で話せる(芥川は創作物の作り話として聞くわけだけど)チャンスが嬉しくてしかたないらしい。
「陽菜と旅行できないのは残念だけど、陽菜とはまたいつでも旅行に行けるから。今回は陽菜には残って貰ってみおと一緒にひよりの応援をしてくるよ。刀剣女士を立ち上げたメンバーでもあるし」
陽菜と2人で結論を出す。陽菜は残ってしずくたちの手伝い。
俺は北海道でみおと一緒にひよりのサポートだ。ひよりには顧問の先生もついているから俺たちで精神面のフォローや撮影の手伝いが出来ればと思う。
問題は陽菜がいないときに他の子たちとエッチしたらアウトかどうかのルール作りさえしてないことだよな。みおと二人きりになる時間がかなりあるはずでホテルもダブルベッド。これで何もしないのはお互いかなりのガマンを求められる。
「それはね、恭介さん。恭介さんがひよりちゃんのとったシングルルームに泊まってひよりちゃんがみおちゃんと泊まればいいんじゃないかな」
しずくがあっさりと答えを出してくれた。みおとエッチしまくってひよりの試合に遅刻するんじゃないかということまで心配していた俺の目からウロコが落ちる。
「なるほど! 流石は学年主席の生徒会長・岩清水しずくだ! 一瞬で解決方法を導き出すなんて」
「ねぇ、陽菜ちゃん。恭介さんって貞操帯でもつけておいた方がいいんじゃない? 絶対エッチすることしか考えてないからエッチしないでいい方法を考えてなかったよね」
うう、しずくのことを褒めたのに酷い言われよう。確かに言われてみると悩むまでもなく簡単に解決できる問題だけど……
「別にみおちゃんと2人きりでエッチしたってイイよ。ちゃんと避妊することとそれ以上に内容と回数で私のことをちゃんと愛してくれるなら」
陽菜がまた男前で気前がいいことを言っている。本当にこの子はすごいよね。
「え!? 2人きりでエッチしていいの? だったら私も恭介さんと2人きりでいちゃいちゃエッチしたい」
「もうっ、しずくちゃん違うよ。今回は仕方なくなんだからね。ひよりちゃんは試合前で大変だからエッチなんてしたら実力が発揮できないかもしれないから2人でもいいって言ってるだけだから」
「さっきからしずくと姫川さんがきょうすけとエッチするのが前提で話してる。2人ともきょうすけとエッチした?」
あ……なんて言うか芥川が無口で存在感を消しているから普通に芥川の前で北海道旅行とエッチの話をしちゃってた。
俺たち3人が赤い顔で黙り込んでいるのを肯定と受け取ったらしい。
「やっぱりきょうすけはヤリチン。ヤリチンなら私ともエッチできる?」
「「それはダメ!!」」
芥川の質問に答えたのは陽菜としずくだった。いや、そこまで強く否定しなくても俺は他の女の子とエッチする気ないからね!?
信用ないのかなぁ……ヤリチンの恭介くん扱い辛い。元の世界でヤリマン扱いされてる女の子ってこんな気分なのかな。その子だって好きな男の子としかエッチしてないかもしれないけどそれはその世界の常識だと許されないんだよね。
陽菜以外のみんなだって本当に心の底から好きな女の子にしか手を出してないからね。
え? これから好きな女の子が増えたらどうする気かって……気を付けますとしか。
ってどうするのこの空気、助けて陽菜。
「恭介くんは私のだから~!!」
そうそう、陽菜が主張してくれれば……
「でもしずくともエッチしてる。きょうすけはヤリチン、ヤリチンなら誰とエッチしても問題ない」
ダメだ、このままじゃ夏休み前に「みんなの恭介くん」から「陽菜の恭介くん」になったのに、夏休み明けには「ヤリチン恭介くん」になって状況が究極的に悪化する。
「なぁ芥川、芥川と俺って友達だよな? セックスする友達をセックスフレンドでセフレっていうんだけど、しずくとはセフレで芥川とはセックスしないフレンドで友達。
ね、これでOK」
しずくが全力で俺の背中をつねっているがここは表情を変えずに耐える。しずくには後で土下座して謝ろう。
「どうすればきょうすけのセフレになれる? 友達よりもセフレがいい」
芥川さんエッチに興味があるだけならこだわり過ぎでは? あんまりこの子に好かれるようなことをした記憶がないし俺への好意が高まってるわけじゃないと思うんだけど。やりたい盛りの男子が裏返ってると思えば芥川は正直なだけか。
あと創作への情熱からとにかく初エッチしたがっているように見える。
確かに元の世界で逆転して考えると友人の村上(ゴリマッチョ)に芥川みたいな可愛い女の子のセフレがいたら、ワンチャン自分も出来ないかと思って聞いてみそうな気がする。いや、間違いなく聞いちゃったと思う。
「う~ん、今は満足してるからセフレは充分かな。しずくに飽きたらその時はお願いするかもしれないから気長に声をかけるのを待ってて。他の人に知られたら順番が回ってこないかもしれないから芥川も秘密にしてくれよな」
しずくが泣きながら背中をポカポカしている。すまぬ、しずく。俺も心で泣いてるから。
多大なダメージを負いながらもどうにか会話を軌道修正して元の話題に戻すことが出来た。陽菜が芥川に貞操逆転世界の男子のカッコいいところを力説している(聞いてて恥ずか死にそう、全部俺の話だし)隙にしずくを廊下に連れ出す。
ドアを閉めて部屋の中から見られなくなったところでしずくを抱きしめて思いっきりキスをする。
舌を絡めるような深いキス。お詫びと自分の本当の気持ちがしっかり伝わるように愛情をこめたキスをした。
ちゅぱっ……
2人の間を唾液の糸が繋いでツプンと切れる。
「しずく、ゴメン。貞操逆転世界から来てることを話せないし、ハーレムなんて今の時点で言えるわけがないから誤解を解く方法が思いつかなくて……しずくのことはちゃんと愛してるから。好きだしセックスが目的とかじゃないから」
「う、うん。私こそ理央がいるのに不用意なことを言っちゃったから。本当に気を付けないと恭介くんと陽菜ちゃんの秘密ってどこから漏れちゃうか分からないもんね。
やっぱり私今回の夏コミで貞操逆転世界モノの第一弾を描くよ。絶対カモフラージュが必要だもん」
「ありがとうしずく。光画部の写真旅行も気を付けないとな。って言うか俺たち以外のメンツがいるときはいつでもしっかりしないと、今回バレたのがある意味で芥川でよかったよ。中途半端に俺のことを好きな子とかだったらしつこく追及されて大変なことになりそうだし」
「うん、私たちみたいに恭介さんじゃなきゃ絶対ダメってくらい、心の底から恭介さんのことを好きな子じゃなきゃダメだよ。私たちだって陽菜ちゃんには勝てないかもしれないけど恭介さんのことを独占したい独占欲はあるんだから」
コツンとおでこをくっつけながら話す。陽菜と違ってしずくは俺より10㎝低いくらいだからこういう姿勢がしっくりくる。これがひよりだとほとんど身長が変わらないんだけどね。
「ありがとうしずく。本当に好きだよ。しずくのことも幸せにするから」
「私はもう今の時点でいっぱい幸せだよ。恭介さん愛してる」
そういうと今度はしずくの方からキスしてきた。受け入れてお互いの口の中まで感じ合う。
ガチャッ
ドアを開けてしずくと一緒に部屋に戻る。そろそろ陽菜を連れて一回家に帰ろう。
明日から俺はみおと北海道旅行に行くことになるし、陽菜はここで手伝いすることになるから。
「しずく、顔真っ赤。きょうすけも赤くなってる。
長い付き合いだけどしずくのそんな蕩けた瞳初めて見た。なにしたらそんな風になるのかをしっかり説明して。シナリオの参考になる」
シナリオノートを握りしめた芥川がプレッシャーをかけてきたけど全力ですっとぼけました。
陽菜の家に2人で帰ってからちゃんと準備した後で陽菜には何倍もキスして旅行前のお別れのエッチでもう限界っていうくらいイカせてあげてイカせて貰いました。
白いワンピースは……最高でした。
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この世界にも貞操帯は存在しています。逆転しているので自分の占有している男が他の女に薬を飲まされたりして勝手に使われないように身につけさせられます。
決して他の女に発情しないように付けられるわけではありません。が、恭介の場合は元の世界の貞操帯と同じ効果を発揮しそうです。
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次回更新は8月30日です。
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