第247話 お赤飯を食べて顔を見合わせて(陽菜視点)

 恭介くんが私に本気のキスをしてから後はとにかく凄かった。

 正直言うとなにがなんだかよく分からなかったくらい。キスされると頭がなにを考えていいのか分からないくらい気持ちよくなっちゃって初めてキスした時に言われた本気のキスっていうのを分からされちゃった。


 なんかすごいの、人の舌が自分の口の中にあるなんて初めてだからわけがわからなくなりそうなのに全然イヤじゃなくて嬉しくて……恭介くんのお口が欲しがってくれるから自分のお口からお出かけしちゃったりして。


 うん、とにかくすごかった。もうおっぱいとあそこに恭介くんの手が伸びてからはよく覚えてないくらい。


「部屋を暗くして正常位」って言っていたくせにその場になったら電気を消してくれなくて結局全部見られてるし。恭介くんもいっぱいいっぱいだったのは分かるから嘘つきだっていう気はないけど。

 つるつるだっていうのは口を滑らせちゃった私のせいで知られてたけどそれと見られちゃうのは別だもん。


 あとおっぱい吸われるのも変な気持ちになっちゃうからダメ……いつか生まれてくる私たちの赤ちゃんの分のはずなのに大きな赤ちゃんがいるみたいで……吸ったり揉んだりしたいのは分かるけどエッチすぎると頭がうわぁってなっちゃう。


 うう、もうお嫁に行けない。あ、恭介くんが貰ってくれるからいいのか。


 その上、私の体のどこを見ても「綺麗」とか「可愛い」とか「愛してる」とか言われるからもうダメとも言えなくてなんとも言えなく嬉しくて幸せで……流石にハジメテだから触る手もすごく優しくだったけどそれでもあそこまで指で優しくほぐされてわけがわからなくなっちゃって、どうにか根元まで受け入れた時には太くて痛くて大きくて恭介くんに全身でしがみついちゃったけど……うう、爪を立てちゃってゴメンなさい。背中がミミズばれみたいになっていたのに嬉しそうなのは何でなの?

 怒られても困っちゃうけど喜ばれるのはもっと困っちゃうよ。


 痛いけど幸せで、恭介くんが私の中で果てた後もずっと繋がったまま抱き合ってた。

 あ、もちろんコンドームは使ってくれたんだけどお母さんから貰った業務用のコンドームを使ったから残りが143個、多分恭介くんはまだエッチできたんだと思うけど初めての私のことを思って一回で終わりにしてくれた。


 抜いた後に先っぽにすごくいっぱい溜まっててそれがあの時に私も手伝って作ったやつ疑似精液のホンモノで恭介くんのだと思ったら先っぽがぷくぅって膨れてるのがちょっとかわいく思えた。外側に私の血が滲んじゃってるのは痛々しかったけど。


 初めてのエッチは私は痛いのが強くてまだ気持ちいいってあんまり思えなくて指でして貰った時の方が気持ちよかったくらいだけど、いつか一緒に気持ちよくなれたらいいなって思いながらそのまま寝落ちしちゃった。


 寝てる間に恭介くんが濡れタオルを持ってきてお股を拭いてくれたりパンツとパジャマを着させてくれたりしたみたいで起きたらビックリした。流石に寝てる私にブラを付けるのは無理だったみたい。

 うう、寝てる間に裸を全部見られちゃったってことだよね。余裕はなくても恭介くんがお腹の方に視線をやるたびに一生懸命へこませていたんだけど、素の状態を見られちゃったってことか……幻滅されていないといいんだけど。


 恭介くんの腕の中で眠って、朝ちょっと早めに起きてお母さんにバレなように二人でこっそりシャワーを浴びた。

 恭介くんが手を引いてお風呂場の外で見張りをしてくれてる間に素早くシャワーをしたからお風呂場に二人でいたわけじゃないんだけどすぐそばに恭介くんがいると思ったらドキドキが止まらなかったよ。

 交代でシャワーを浴びてこっそり二階に戻ったけど恭介くんは多分全部バレてるって言ってた。


 なんでって聞いたら炊飯器でお赤飯を炊いてる匂いがしていたんだって。もう、お母さんは……でも隠しておくのもなんだか変な気分だから気付かれてる方が楽なのかも。


 とにかくこうして私の初めては無事に恭介くんに貰ってもらえた。恭介くんが慣れてるのがちょっぴり悔しい気がしたけど、元の世界でのヒナちゃんとのことは浮気だとか思わないことにしたんだし、あんまり気にしないようにしたい。

 それに恭介くんが慣れてるおかげですごくスムーズだったんじゃないかと思うしあんまり書くとエッチな子だと思われそうだけど前半はすごく気持ちよくして貰えたし。


 それはそれとして痛くて歩きづらいんだけど大丈夫かな?

 今日も本当はちょっと早めに行ってしずくちゃんと朝の登校時の生徒会長候補者挨拶の手伝いがあるんだけど……


 なんて思っていたら恭介くんがお母さんに私の送迎をお願いしてくれるって。

「陽菜はゆっくり登校して、しずくには説明しておくから」だって。

 あんまり心配かけないように上手に説明して欲しいなぁ。

 みおちゃんとか嬉々としてからかってきそうだし。いや、意外と「恭介くんの童貞が」とかいってショックを受けるかもしれない。ずっとこだわってたもんね。いっぱいからかわれちゃってたしちょっとだけ勝った気分になってもいいよね。

 うん、私ちょっと悪女かも。





「陽菜ちゃん。良かったね……本当に良かったね」

 恭介くんと二人でお母さんのいる台所に降りるといきなりお母さんに抱きしめられた。ああ、本当に胸の傷のことも含めて心配されていたんだなぁって思う。


 お母さんの態度は私が入れ替わった陽菜だって伝えた後も全然変わらなかった。それはお母さんが姫川さちえという人だからかもしれないし私とお母さんが4年間かけて築き上げてきた絆かもしれなかった。


「うん、ありがとうお母さん。私お母さんの子供で本当に幸せ、恭介くんの恋人で本当に幸せだよ」

 私もお母さんを抱きしめながら背中をポンポンって叩いてあげる。お股がちょっと痛いけど涙は出ない。

 幸せすぎて泣いちゃうこともあるけど今はお母さんが私の今を幸せって思ってくれることが幸せだ。


 恭介くんと二人で並んでお赤飯を食べて顔を見合わせて笑ってしまう。

「元の世界でもこっちに来てからもこんなに美味しい赤飯食べたの俺初めてな気がするよ」

「うん、私もかも。お母さんに作り方を教えて貰っておかないとね」

 なんだろう、ちょっと気恥しいのに本当に幸せでなんだかむず痒いみたいで……うん、とにかくこれは幸せの味だと思う。

 私は今日という日を絶対忘れないしこの味を忘れることもないと思う。



「それじゃあ陽菜、先に行くから。えっと……怪我をしたみたいなものだから絶対に無理しちゃダメだよ。

 しずくの応援も大事かもしれないけど陽菜の体が一番大事なんだから、それはしずくたち友達も同じ風に思うんだからね」

「うん、分かったよ恭介くん。いってらっしゃい」


 言いながらちょいちょいって手招きする。内緒話するみたいに手で口の周りに小さな筒を作る。

 恭介くんの横顔が近づいたところで背を伸ばしてほっぺにキスする。


 ちゅっ


 恭介くんがキスされた右のほっぺたを押さえて真っ赤になっている。フフ……まるちゃんから聞いていたキスの方法、本当に騙されやすいんだから。気を付けてよね、恭介くん。


「いってらっしゃいのチュウだよ。気を付けていってきてね」

「うん、いってきます」

 ちょっとフワフワした足取りで恭介くんが出ていっちゃったけどかえって事故に合わないか心配になっちゃうくらい浮かれてくれてた。


 振り返るとお母さんがニコニコしながら……いや、これはニヤニヤでいいと思う、私を見ていた。

「陽菜ちゃんって恭介くん相手だと本当に積極的なのね。もうお母さんの出る幕はないかな?」

「最初からないからね!? 娘の彼氏に手を出したりしたら本当にダメなんだからね」


 油断は出来ないかもしれないけど、お母さんは最初から応援はしてくれたから。

 ちょっとエッチすぎるから油断はできないけど。

 恭介くんはいい加減な人じゃないから浮気なんてしないと思うし。


「陽菜ちゃん、コンドームをしているって言ってもセックスをしたら赤ちゃんが出来る可能性はゼロじゃないの。

 もし少しでも体調の変化を感じたらすぐに言ってね。

 陽菜ちゃんは免疫抑制剤を飲んでるんだし、子供の健やかな成長のためには病院と相談したり産婦人科に検診に行ったりする必要もあるからね」


 多分お母さんはずっと前からいろいろと調べてくれていたんだと思う。

 例え私がこの世界の女の子としては異質なほど性的なことに興味がない女の子だとしてもいつかそういう日が来た時のために備えてくれるのがお母さんという人なのだ。

 変ないい方だけどもしも出来ちゃっても赤ちゃんを産んで育てることを応援しようと思ってくれるのが分かるのも嬉しい。


「そういえば恭介くんのおちんちんってあのLサイズのコンドームでぴったりだった? 問題なく付けられた? 今度陽菜ちゃんにも付け方を教えておいてあげるね。

 それとも恭介くんのホンモノで実演してみせた方がいいのかしら」


 うん、お母さんは平常運転だ。お母さんの背中をポカポカ叩きながら学校に行く準備をすることにした。

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 お盆の特別公開はおしまいです。

 陽菜がよく分かってないことが多いので運営さんにはあんまり伝わってないといいですね。お盆は運営さんもお休みしてるといいなぁ。

 さちえさんが平常運転なんでみどりのも平常運転に戻れます。


 明日からは週四日の18時に最新話公開に戻ります。

 次回更新は8月16日です。あ、明日のことですね。

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