第214話 ゆうきのパンツを無理やり下ろしてふんどし
そのまま俺はみんなに更衣室から引きずり出されて今は道場で正座させられている。
みんなが俺のことを取り囲んで立っていてしずくがゆうきのことを支えるようにして慰めている。
「恭介くん! なんでいきなりゆうきくんにふんどしを締めさせようとするの!」
「そうだぞ恭っち! そんなエッチなのみんなで共有するべきっしょ」
「みおちゃんは黙ってて! 恭介、さすがに私も神聖な道場でそんな不埒なことをする男とは思わなかったぞ」
「まるはふんどしをしたことないからちょっと締めてみたいんだよ」
一人を除いて完全に説教モード。一人は説教の方向が違うが。
俺自身は剣道をする時は褌の方が気合が入ると思って気に入っていたのでこんなに説教されるのは解せない。
「まあまあ、みんなちょっと待って。恭介さんのことだから自分が剣道の時にはふんどしの方がしっくりくるとか思ってゆうきくんにも普通にふんどしを勧めただけって可能性が高いから確認した方がいいよ。
この人はナチュラルにセクハラして女心をえぐってくるから」
しずくの言葉は前半は俺のフォローをしてくれているっぽかったのに後半完全に俺のことをディスっているよね? なんか俺は日頃からしずくさんにそんなことをしていますか?
とにかくゆうきが怖がっているのでゆうき一人で一度着替えてきた後、きちんとできていない部分を小烏がちゃんと服装指導してやることで落ち着いた。
ゆうきが着替え終わるまで俺は正座で待機することになった。男同士なのに納得いかない。
さすがに俺だってふんどしの巻き方をふりチンで実演するつもりはなかったし、ゆうきのパンツを無理やり下ろしてふんどしを巻いたりしない。
そんなこんなで着替えには時間がかかってしまったがその後は防具を身に着けてみんなで竹刀の握り方やすり足などの基本的な動きを確認する。
今日の最後に小烏相手に一人ずつ打ち込みをしてみて出場選手を決める予定だ。
……だったのだが、道着を着て防具をつけるまでは気合の入っていた陽菜があっという間に体力の限界を迎えてダウン。はしゃぎすぎているなと思って注意はしていたから無理させ過ぎずに済んだのは不幸中の幸い。
陽菜に剣道大会なんて無理なのは分かっていたから一見無駄なことをしているように見えるかもしれないけど、陽菜も最初からダメだって言われたら仲間外れにされてるようで嬉しくないだろうし応援するのにしても最初から一緒にかかわりたいだろうから今日は参加して貰った。決して過去に夢に見た道着姿の陽菜を再現してみたかったからとかではないぞ。
今は防具を外して道着のまま赤い顔をして俺の膝枕の上にいる。流石に板張りの道場の床の上でそのまま横にさせるわけにはいかないしね。
「ゴメンね、恭介くん。戦力にならないどころか足を引っ張っちゃって」
「気持ちだけで嬉しいって。それに陽菜がサポートしてくれたらみんな嬉しいし、絶対実力以上の力が出るから」
「私が応援したら恭介くんは嬉しい? 恭介くんは実力以上の力が出る」
「陽菜が応援してくれたら誰にも負ける気はしないよ。って言っても剣道は素人だから実際は勝てないだろうけどね」
「それでも全力で応援する。私小烏道場の剣道チームのマネージャーをするね」
そう言って俺の目をじっと見つめてくる陽菜にキスしたいというよこしまな気持ちを抱かないようにするのが大変だった。
陽菜の応援があるなら本当に優勝できるかもしれない。
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