第201話 とんでも地雷を踏み抜く形で
今年のGWは予定がびっしりだ。
水泳部の練習に光画部の部活、それに加えてクラスのみんなとのカラオケに遊園地、さらにはアルバイトの居酒屋。
もちろん朝は陽菜とのランニングもするつもりだし……というか陽菜と触れ合えるチャンスが少なくて泣ける。
去年のGWを考えると全然マシではあるんだけどな。去年のGWは水泳部として部活に打ち込むだけで何もイベントらしいイベントがなかったしな。
俺がヒナと付きあったのは6月からだったから、ヒナもまだ西田と付き合っていてGWは泊まり込みでどこかに行っていたしな。思い出すと鬱になるからこれ以上考えるのは止めよう。
今はこれからのことを考えないと。
「みんなの恭介くん協定」的には陽菜とのランニングや一緒の登校もNG扱いされるところだったが、それは俺が譲らなかった。
話し合いの間陽菜がすごく悲しそうな顔をしていたし、俺の習慣にまで口出しされる筋合いはないと押し切った。
GWの初日には前日ヒナの家に泊まったという委員長が朝7時のランニングに参加してくれて委員長とゆっくり話す機会を作ることが出来た。しずくのペースに合わせながらランニングの半分を終えて桜公園に着いたところでストレッチをしながら話をする。
「しずくのおかげで助かったよ」
「私なんて何も……本当にごめんなさい。私のやったことがきっかけで陽菜ちゃんにも恭介さんにも迷惑をかけちゃって」
「そんな、しずくちゃんがいてくれなかったら私なんて恭介くんの近づくのもダメとか言われててもおかしくなかったから感謝してるよ」
「そうだぞ、しずくがあそこで三か条を加えてくれて十か条にしてくれたから少なくとも俺と陽菜がこうやってGW中も毎日ランニングしたり、毎朝一緒に登校したりできるようになったんだから」
委員長は相変わらず今回の件の責任を感じちゃっているみたいだな。本当に真面目だからなぁ。少なくとも俺の方から告白すればこの状況が解消できるチャンスを貰っただけでも感謝してるのに。
「まあ、この状況も宿泊研修と体育祭に向けてって思ったら悪い状況じゃないんじゃないか? うちのクラスの結束力って今までで間違いなく一番高まってるし……まあ、男子と俺の仲がこじれちゃってるけど」
そうなのだ、ゆうきは女子の画策した「みんなの恭介くん協定」に非常に腹を立てていた。
「でも、僕は男子だし部活仲間だから女子と違って二人っきりになっても何も問題ないし何か言われる筋合いもないよね」
そう言って今まで以上に俺と一緒にいようとする。こちらとしても一人ぼっちになるものきついしかといって女子に周りにいられても落ち着かないようなときにはゆうきに癒されている。
他の男子に関してはやっぱりますます嫌われてしまった。貞操逆転世界とはいえ女子に片思いしてる男子はいるもので、積極性や勇気がでないから告白とかそういうことはなくてもやっぱり好きなものは好きなのだ。元の世界の女子だってクラスの男子に好きな子だっていたし積極的な子は告白したりしていた。
そういった男子の一人がうちのクラスの女子の誰かに勇気を出して告白したらしいのだが見事に玉砕したそうなのだ。しかも聞くところによると断り方が「私たちには恭介くんがいるから」というとんでも地雷を踏み抜く形で!
結果、今の俺は元の世界でオタサーの姫というかクラスの男子全員を全員たぶらかすビッチ女子の扱いになって完全に嫌われている。
俺になにかすると女子が黙っていないから表面上は穏やかだだし、女子に嫌われたくないから女子との距離は取ろうとしないけど俺が男子から露骨にハブられている。
「恭介さんが告白して誰かと両思いになればそれでこの状況を終わらせることが出来るんだよね?
だったら私に告白するっていうのはどうかな。ニセ恋人とかじゃなくて本気で」
んん!? 委員長のその台詞って聞き方によっては本気の告白に聞こえるけどどうなの?
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