第一部 十三章 みんなの恭介くん? 告白までは何マイル?
第200話 みんなの恭介くんのための7か条(陽菜視点)
ホワイトボードに書かれた文字を見て私は唖然とする。
「みんなの恭介くん」とはどういう意味だろう……あっと思う。
ひょっとして恋人のフリをしている間に私がいろんな相手に使ってしまった「恭介くんは私のだから」がみんな結構こたえていたのだろうか。
うう……でもみんなも恭介くんを守るために私が恋人のフリをすることを応援してくれてたはずなのに……確かに楽しい時間もいっぱいあったけど、怖い3年生に立ち向かったり私も頑張ったんだよ。
私を抜きにして話が進んでいく。味方になってくれる可能性がありそうな
まるちゃんは状況がよく分かってないから恭介くんがみんなの恭介くんだろうが自分だけの恭介くんだろうが行動が変わらないだろうし。
今回の問題を無事解決に導いたみおちゃん率いる女子軍団に誰一人太刀打ちできないでいる。
「というわけで、多数決で以下のように決まりました。恭っちも皆で決めたことなんだから従ってくれるよね?」
私の発言権が失われたまま、議論が進んでいく。うう……どうすればいいの?
・みんなの恭介くんのための7か条
①恭介くんはみんなの恭介くんである
②恭介くんのために2年5組は存在する
③恭介くんのことを2年5組は全力で外敵から守る
④恭介くんに対して女子は性行為の強要、および告白をしない
⑤恭介くんと一緒に行動する際はグループで行動することとし抜け駆けをしない
⑥万が一恭介くんと二人きりで行動する際は、クラスメイトの顔を3秒思い浮かべて行動すること
⑦上記ルールは1学期ごとに更新するものとし、休み明けに多数決をとって可決された場合はその学期も遵守すること
なんなのこのルール……特に⑤と⑥は狙い撃ちされてるような気がするよ。
私が口をパクパクさせているとみおちゃんがみんなに「これで決定でイイよね」と確認しクラスのみんなが口々に「「「異議なし」」」と返している。
私が本当に困っていると恭介くんがひときわ大きな声を上げて挙手をした。
「意義あり! 俺の意見が全然取り入れられてないぞ。そのままじゃ俺はそのルールに従わない。
みんなと仲良くするっていうのは俺も嬉しいからいいけど今のルールじゃ俺から女の子を誘うことも出来ないだろ? だったら俺の勝手にさせてもらうけどいいのか?」
「う、それは……確かに恭っちが協力してくれる前提の話じゃあるけど」
「そうだろ。俺の意見をないがしろにしてもどうにもならないだろ」
「じゃあこうしましょう。私が書き加える3つを恭介さんが認めてくれたら全部で10か条ということで」
そういうとしずくちゃんがここがチャンスばかりにホワイトボードに向かった。
⑧恭介くんから声をかけられたり誘われたりした場合は女子は自分の判断で誘われた内容を受けることも断ることもできる。誘われた女子に対して嫌がらせなどは禁止。
⑨恭介くんのプライベートの時間は侵害しない。恭介くんが認めてくれた場合のみグループ交際できる。
⑩もしも恭介くんがみんなの恭介くんであることを辞め、一人のものになろうと誰かに告白した際はその結果を見守り、成就しても祝福することこそを2年5組の誇りとする
書き終わった後、みんながホワイトボードの文字を読んでいる間にしずくちゃんが私に向かってこっそりウインクをしてくれた。
これはしずくちゃん自身もそうだけど私が頑張るチャンスを作るための3か条だ。
恭介くんから声をかけたくなるように、恭介くんから告白して貰えるように頑張るんだ!
「いいんじゃないか。この3か条が追加して貰えて10か条にしてくれるなら今回の感謝も込めてみんなと一緒のクラスでの活動を楽しませて貰うよ」
私だけが恭介くんの後ろにいる状況で、恭介くんは正面のみんなの方を向いて話している。恭介くんが右手を皆から見えないように背中側に回して親指を立てて私のことを応援してくれる。
みんなは恭介くんに拍手をしている。こうして恭介くんは2年5組のみんなの恭介くんになった。
「うん、私もこのルールでイイよ。みんなで1学期のイベントを楽しもうね」
私も皆に賛成してみせる。
ルールがあっても私が恭介くんのことを好きなのは変わらないから! 今日も一日頑張るぞ!
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記念すべき200話です。皆さんのおかげでここまで続けることが出来ました。
200話にしてとんでもないことになっちゃってますけど、状況がどんどん変わって物語のフェーズが変わっていく展開が好きな作者のせいでニセ恋人からみんなの恭介くんになりました。
今度こそ「ハーレムタグ」を回収したことにしてイイよね?
最終回まであとイベント3つ! どんな結末にたどり着くのか。最後まで楽しんでいただけると幸いです。
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