第163話 島まで持ってるの?(陽菜視点)
ひよりちゃんとまるちゃんが寝落ちした後、寝てる二人を起こさないように私としずくちゃんとみおちゃんの三人で小声で話をした。
ちなみに寝相がいいという自己申告は何だったか、今の私はひよりちゃんの抱き枕だ。意味が分からないかもしれないけどひよりちゃんにギュって抱っこされたまましずくちゃん達と話をしている。
明日の朝は早いからあんまり話し込み過ぎたらいけないけど、話したいことがいっぱいあって話が尽きない。
みんなが知らない私だけが知ってる小さい頃の恭ちゃんの話とみおちゃんだけが知っている光画部での恭介くんの話が中心だ。
私の知ってる恭ちゃんの話はカッコ良すぎて昔の多々良恭介くんのイメージと重なりあわないみたいだけど、陽菜ちゃんの前でだけは結構カッコよかったんだねって納得してくれた。
こっちの世界では全然違うことが起こっている可能性が高いから嘘をついてるみたいで胸がチクッとするけど私の大好きな恭ちゃんの話が出来て嬉しかった。こういうのも恋バナってことでいいのかな?
「今日も皆の写真を撮ってて思ったんだけど恭っちって女の子の写真を撮るのだけ異常にうまいんだよね。ずっと疑問だったんだけど今日その理由が分かったんだ」
「へぇそうなの? 私は朝のランニングの時とか結構写真撮ってもらってるけどあんまり変わった事してるみたいに見えないけど」
「そこなんだよ。なのになんか自然な表情を引き出すんだよね。それもすごくいい顔した女の子の写真、恭っちが撮った陽菜っちとかひよりっちとかしずくの写真ってみんな心の底からの笑顔を浮かべてるの。
つまりあーしと恭っちの腕の差じゃなくて皆の恋心がそのまま写ってるからいい写真だったんだよ。あーしの写真が勝てないはずだよ」
みおちゃんの言葉に顔が真っ赤になっちゃう。電気は消してちっちゃなルームライトしかついてないから見られてないとは思うけど。
「陽菜ちゃん顔真っ赤だよ。本当に恭介さんのことが好きなんだね」
しずくちゃんにはバレバレらしい。
「そういえば光画部で夏休みに行くって聞いてる水着の写真撮影会、私ついていきたいからよろしくね」
みおちゃんにも気持ちを伝えておく。
「ああ、なんかもう部長のみっつーパイセンにも話が通っちゃってるんだよね。みっつーパイセンは予算がどうのって悩んでいたけど……」
「ちょっと待って。それってあのゆうきくんとの水着撮影の話なの? 私聞いてないんだけど」
しずくちゃんが慌ててるので水着撮影会の内容について教えてあげる。
「そうなんだ……部活の話だったら私が知らないのも仕方ないけど、陽菜ちゃんが知ってて私が知らないっていうのが今の私たちの差ってことなんだね」
ちょっと凹んでる。正直に話したかったから全部話しちゃったけど悪いことをしただろうか?
「でも聞いておいて良かったよ。その条件だったらお婆様の所有している島と別荘があるからあそこを使うなら交通費だけで部の予算なんて気にせずに何泊だってできるから」
琴乃おばあちゃんって島まで持ってるの? 本当に凄い、けどそれなら沢山夏休みの旅行できるよね。
体が弱いから離島は不安って話をしたら、いざとなったらドクターヘリが着陸できる専用のヘリポートまであるらしい。ありえないスケールの話に何度も驚かされる。
でも夏の光画部の旅行、しずくちゃんの家の別荘なら問題なくついていけそう。
恭介くん喜んでくれるかな。
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なんだかすごく長かった気がするお泊り会編がやっと終了します。
次回、お泊り会編のエピローグに当たるお話をやってその後(恭介が)待ちに待っていたプール開きです。
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