第132話 一時間単位でスケジュールを埋めていく作業

 学校から家まで帰りついてから陽菜にメッセージを送る。

「明日からの春休み、朝のランニングよろしく」

 約束していた春休みの朝の日課。毎日陽菜と一緒にいられる時間を作れることに幸せを感じる。


 そのままラインの画面を見ているとすぐに既読がついてOKの大きな文字と楽しそうなネコがセットになったスタンプが返ってきた。

「日曜日の花見が楽しみだな」

 と送っておく。当日の昼の小烏こがらすの奉納舞と撮影のことは話してあるが他のスケジュールは伝えるべきか……ゆうきと日曜日の午前中に祭りの会場を回るのは男同士のお出かけだからいいとして、丸川との買い食いと藤岡とさんご先輩とのお花見ランチは連絡しておくべきか……とここまで考えて本来陽菜に言い訳じみた連絡をする必要がある関係ではないことに気付く。


 こういうことを書くと元の世界にいた頃の俺の彼女のヒナに対して反感を抱く人がいるかもしれないが、付き合っていた当時のヒナは俺が女子と二人で行動するとすぐに不機嫌になっていたので極力女子と二人きりにならないようにしてたし、もしもそうなる時はすぐに連絡を入れるようにしていたのだ。

 まあそこまでしていてもむこうに浮気されてしまったのだけどな。


 う~ん、でもまあ陽菜はこっちの世界の幼馴染なわけだし俺が何をしているか少しは気にしてくれているだろうからスケジュールを送っておいて悪いことはないだろう。

 などと考えているとピコンっと音がして岩清水からのメッセージが届いた。


「日曜日の午後、時間ある」


「おばあさまから恭介さんとお茶をしたいって」


「桜祭りの会場の茶会席だから」


「無理なら私から断っておくからそう言って」


 う~ん、今日藤岡と極力かかわらないのが一番と話したばっかりなのに早速琴乃刀自とエンカウントする羽目になそうだ。

 お見合いをにしてやれたことで岩清水に借りを一つ返せたような気がするけど結局あれも陽菜のお手柄だしな、俺一人だったら琴乃刀自を説得しきれなかったし。

 琴乃刀自の命令を断って岩清水が面倒ごとに巻き込まれてはたまったものじゃないので会うことを了承する。


 丸川と食べ歩きをした後、16時からでいいか。なんだろう、この一時間単位でスケジュールを埋めていく作業。結局16時からで琴乃刀自との約束が取り付けられてしまった。


 はぁ……重いため息をつきながら陽菜に日曜日のスケジュールを一覧にして送っておいた。

 最後に陽菜とのお花見が楽しみだって書いたけど、その頃には俺疲れ切って死んでるんじゃないか?

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