第106話 今の私にできる最高の一撃
「この太刀が我が家が
それだけの時代を
そういうと
「そしてこの太刀に向き合い、己の
これからの話をするためにそのことを分かって欲しかった」
「多々良、立てるか?」
「すまんな、足を崩すように伝えるべきだった」
自分は正座していても全くしびれないから俺の足のことは失念されていたらしい。しばらく待って貰ってやっと立ち上がる。
「この竹刀を持って構えていてくれ。道着の着方もおかしいし構えもおかしいが今は構わない。構えたままこの線の後ろで動かないでくれよ」
張り詰めたと言えばいいのか、剣道に関してド素人の俺でも分かる。殺気でもないプレッシャーとしか言いようがない剣圧。
すごい、何も見えなかった。構えた状態からの予備動作の全くない突き。このレベルに到達するまでに
「これが今の私にできる最高の一撃、
中学までは剣道の大会などでは突きは使えないから道場でのみ鍛えてきた。もっとも高校以上でも社会人になっても突きはあまり褒められた技ではないという扱いだから大会では使いにくいがな。
あの両刃の太刀は突き技が一番向いているからこの技を磨いたんだ」
あまりの剣技の冴えに俺は感動を覚えていた。そしてこの技が失われてしまうのは……生かす道がなくなるのは本当に惜しいと思った。
「
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ちょっとした小話
「おい
「ふむ、一度に九つの斬撃を相手に打ち込む技か? できないことはないが四撃と突きの
「で、できるのか……凄いな」
「だけど多々良、この技に意味があるのか? 真剣で決まったら突きの時点で相手の命はないのだが……」
「あっ!?」
という会話が道場で繰り広げられたとかなかったとか。
6/24,25は1日5話特別公開
6,9,12,15,18時の1日5話更新となります
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