第100話 はい、恭介くん。お返しだよ
映画を観終わって二人で喫茶店に入る。丁度お昼時なのでそれぞれ軽食も頼むことにする。
俺はパスタで、陽菜はパンケーキを頼んでいた。
テーブルに注文の品が届くまで映画の感想を話す。最近のトラえもんは難しい内容を扱ってるんだねってことで話が盛り上がるが、の○太君のおちんちんの話題についてはどちらも触れない。
下手に触れて「本当はしず○ちゃんが覗かれるのだ」とかこの世界の常識と真逆のことを主張すると頭がおかしいやつと思われそう。
注文の品が届く。こういう俺のは喫茶店にしては本格的ななすのアラビアータスパゲッティ。
陽菜に届いたのはスフレパンケーキらしく、フワフワの生地の上に生クリームが載っていてとても美味しそうだった。
「「いただきます」」
二人ともほぼ同時に手を合わせていただきますしてから食べ始めようとしたので顔を見合わせて笑ってしまう。
陽菜といるとこんななんでもないことが幸せで楽しい。
元の世界のヒナといた時より楽しいなってちょっと思ってしまい、そう思ってしまう自分が嫌いになりそうでちょっと沈む。
「恭介くん、大丈夫? 何か辛いことがあった?」
陽菜が聞いてくるので首を振って微笑んでからパスタを食べ始めた。一度素揚げしたナスにソースが絡んで味がしっかり染みていて上手い。
陽菜も食べながら笑顔になっている。ちょっとイタズラ心を出して手元にあったカトラリー入れ(スプーンやフォークが何本か入っているケースがあった)からフォークを一本取り出すとパスタをクルクルッと巻いてからナスを突き刺す。
陽菜は心臓移植後、免疫抑制剤を飲んでいるので万が一を考えるとあんまり間接キスとかもよくないから俺と同じフォークではあ~んとかできない。
「陽菜、こっちのパスタも美味しいけど一口食べる?」聞くと嬉しそうにうなずくのでパスタとひとまとめにしたナスをあ~んと差し出すとぱくっと一口で食べてしまう。
なんだか雛鳥への餌付けみたい。もぐもぐと笑顔で食べている。こっちに来てから何度も思うが陽菜は食べることが大好きみたいだ。俺もよく食べる女の子は好きだから甘やかしてしまいそう。
キョロキョロして俺の手元のカトラリー入れからスプーンを取り出した陽菜が今度は自分のスフレパンケーキを切り分けてスプーンに乗せて俺の口元に運んで来る。
「はい、恭介くん。お返しだよ。凄く美味しいから食べて」
と短い手を一生懸命伸ばしてテーブルのこっちの俺のほうに差し出すからまたお胸がテーブルで潰れて偉いことになっている。
パクッ。モグモグ。
あ、すごく甘くて口の中でパンケーキがとろける。パンケーキって飲み物なの!? と俺が目を白黒させていると陽菜が嬉しそうに笑う。
と、二人でここまで食べさせ合った時点でお店の中にいたウェイトレスさんとカウンターで料理を作っていた女性の店長さんがめちゃくちゃ生温かい目でこちらを見てることに気付く。店内のお客さんにもめちゃくちゃ見られてた。
えっと……これは貞操逆転で男女がとかじゃなくて純粋に恥ずかしいカップルのやつですね。分かります。
陽菜と二人して真っ赤になってしまって、その後は黙々と昼食を平らげた。
-----------------------------------------------
食べ物があると自然とイチャつきだす幼馴染二人。作者も不思議。
本日1日3話公開
土日の更新スケジュールは本日18時の更新で発表します。
とうとう100話達成しました。ここまで続けて来れたのは今読んでくださっているあなたのおかげです。本当にありがとうございます。
一応完結までの大枠が完成しましたので、あとは出力していくのみ?
キャラクター的には何でもできるだけのメンツが揃いましたのでもっと続けて欲しいって声がいただけるならゲストキャラ出しながらまだまだ頑張りますよ~。
それではこれからもよろしくお願いします。
毎日朝6時と昼12時夕方18時に最新話公開中
楽しんでいただけたなら作品の評価で☆をいただけると嬉しいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます