第20話 事故にあってからもう二か月が過ぎていた
三人バカトリオと友達になった後は、ちょくちょくクラスの他の女子も病室にお見舞いに来るようになっていた。
女子からみると俺はエッチな目で見ても嫌がらない貴重な男子で、下ネタが平気ということがバレたのでチン獣扱いされている気がする。
元の世界目線で見ると隙が多くてエッチな目線や冗談に寛容な女子高生。男子高校生が群がるのも分かる気がする。
中身がこちらの世界から見たら貞操逆転している「男子がスケベな世界」から来た俺は確かにチン獣なのだろう。
12月にトラック事故にあって(俺の主観と記憶に存在するだけでこの世界では事故自体が存在しない)からもう二か月が過ぎていた。
この二か月間、陽菜とは一度も会っていない。こっちの世界の俺のスマホには陽菜の連絡先さえも登録されていなかったのでやり取りもしていない。
ただ、陽菜のことを思い浮かべても以前のような恐怖感や震えが起こることはなくなってきたから早く退院して話が出来たらと思う。
最後に交わした会話が「今は顔も見たくない」だったことに後悔してる。
どうせ陽菜もこの貞操逆転世界の女の子だから俺と会ったら今度は俺を性欲の対象として見てくるんだろうけど。
あの事故の日、こちらの世界で起こったことを話に伝え聞いた限りでは陽菜は疎遠になっていた幼馴染の多々良恭介を助けるために自分の身を顧みず、冬の川に飛び込んでくれたのだ。
何故か俺の意識とこっちの多々良恭介の意識が入れ替わったから俺も陽菜も助かったが、泳ぎが得意な俺の方の意識じゃなかったら二人とも危なかっただろう。
実際すぐ隣で水の中でもがいていた陽菜に気付いて意識が戻らなかったら川の水を飲んだまま沈んでいって、俺の意識に切り替わって覚醒することさえなかった可能性もあったんだよな。
「はぁ、陽菜にも謝らないとなぁ……。一方的に助けられてるわけじゃなくてお互い様だから体を求められたりはしないと思うけど」
この世界にもエロ本はある……のだが女性向けが多くスマホで調べた限り、女の子が男を助けて感謝した男が女の子に童貞を捧げるみたいな話が結構あるのだ。
陽菜が真に受けないことを願うばかり、アホの子の丸川あたりならああいうフィクションを現実と取り違えてたりしそうで怖い。
コンコン。ノックの後、扉が開いて女性の看護師さんが病室に入ってきた。
いつだったかその話を聞いて岩清水が鼻血を出した、俺の体を隅々まで濡れタオルで拭いて清拭してくれた看護師さんの若山あさかさんだ。
「そろそろ退院だね、退院前に何かやって欲しいこととかない?」
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