犬獣人

「おい。」


「ひっ!」


犬獣人の少女は怯えて俺に返事をする。


「何やってるのよ。私が相手するから、あんたは周囲の警戒でもしときなさいよ。」


「分かった、分かった。シャーロットは手当てよろしくな。」


「もちろんなのじゃ。」


俺は周囲の警戒をしながら、リアスと犬獣人の少女の話に聞き耳をたてる。


「あなた、名前は?」


「名前は、リネです。」


「そう、いい名前ね。それであなたはなんであんなことになってたの?」


「私は奴隷だから。置いてかれて、、、。」


「どういうこと?」


「トロールは習性があるらしいんです。一番弱い物を襲うって。」


(それは、地上のトロールでもそうだ。)


「だから、あなたを置いてパーティーは先の階層に進んだのね。」


(あの扉は重いからな。扉を開けるために時間が必要だったんだろ)


「それなら、もう一人奴隷がいることになるのじゃ。」


「どういうことですか?シャーロット様?」


「行きと帰りの二人、生贄がいないとダンジョンを帰れないのじゃ。」


「そうです。私の双子の姉が今、あいつらの荷物持ちをさせられています。」


「それなら、速く助けに行かないと!!」


「待てよ、リアス。助けに行ってもいいが、お前は戦闘中飛び出すな。さっきのは危なかったぞ。」


俺は会話に参加する。


「危なくないわよ。大丈夫だったでしょ。」


「あれは、シャーロットがすぐさまお前を追いかけたから良かっただけだ。シャーロットの転移がなかったら、お前は魔法を使わずにそのままトロールに突っ込んでいたはずだ。」


「そんなことはないわよ。」


「いや、あるな。お前は戦闘経験が少ないんだから、大人しくしてろ。」


「ふん、分かったわよ。」


「分かればいいんだ。それとシャーロットさっきはよく反応したな。」


シャーロットの頭を撫でると。嬉しそうに俺の手に頭を擦り付ける。


「それで、よろしくなリネ。俺はレックスだ。」


「ひっ!よ、よろしくお願いします!」


「あんた、怯えられてるわよ。」


「なんでだ?」


リネの手当てをすぐに終えて、俺がリネを背負う。


「とりあえず、お前ら二人が俺の前を走れ。俺がトロールの邪魔をするから。リネはちゃんと俺に捕まっとけ。」


雑な作戦で、俺たちはトロールの階層主を踏破した。


「リネ、鼻は効くか?」


「少しは効きます。」


「じゃあ、姉の匂いを追ってくれ。」


「分かりました。」


俺はリネの指示通りに進んだ。


「どうじゃ、兄上?」


「う〜ん。魔力の反応はないな。リネ、本当にこの近くなのか?」


「近くか分かりませんが、この先は通ったと思います。」


「そうか、案外踏破速度が早いかもな。」


「少し急がないといけないわね。」


「なんでだ、リアス?」


「この先は安全地帯なのよ。」


「へ〜。そんなのがああるのか。」


「そして、安全地帯には町があるの。冒険者たちの町が。」


「そうか。それでなぜ、急がないといけないんだ?」


「噂を聞いたことがあるのよ。小遣い稼ぎに奴隷を貸し出す奴らがいるって。」


「貸し出す?」


「リネは私と同い年ぐらいのでしょ。そしてその姉も同い年ぐらい。つまり、少女趣味に一晩貸し出すの。」


「なるほどな。どうせ、帰りには生贄にするんだし。壊れても別にいいのか。」


「全く、虫唾が走るわ!!」


「落ち着けよ。そんなこと、普通の町でも割とあることだぞ。奴隷ってわけではないが。」


少女でも貧困に喘いで、体を売るものはいくらでもいる。


「兄上、本当なのじゃ?」


「ああ。まあ、貴族街には見ないか。まあ、でも斡旋しているところの裏にはマフィアとかいるからな、少女達への無理乱暴はできないようになってるらしいが。」


「詳しいのね。」


「まあな。最近潰したしな。」


「その少女たちはどうなったのじゃ?」


「俺の元で下働きにしたぞ。俺は売り手の商人だしな。」


新しい商売でもしよう。もちろん領主の紋章を乱用して。


「さすが、兄上なのじゃ!」


「まあな。少女趣味の変態が近くにいたら、フィーネが危ないしな。」


ついでに、少女趣味の奴らを去勢しといたが、その話は言わなかった。


そうしている内にダンジョンにある冒険者の町に到着した。





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