出立

1週間、特に何もなく日課の素材集めに勤しんでいた。


「兄上!!」


いつも通り、夜に俺をキリアが訪ねてきた時、一緒にシャーロットが俺を訪ねてきた。


「シャーロット?なんでここにいるんだ?」


「兄上に会いにきたのじゃ!!」


「そうなのかキリア?」


「半分そうですね。」


「半分?」


「実は、この街への王国軍の援軍についてきたのじゃ。」


「ああ。そういうことか。騎士が多いと思ったのはそれか。それにしても援軍なんてあったのか?」


「はい。軍の3割はこの街の治安維持に残り7割は戦場に援軍に行くんです。」


「そういうことか。なんでこの街なんだ?」


「この街の領主は今回の連合軍における我が王国の将軍だからなのじゃ。その分負担が多いから、この街への援軍ということじゃ。」


「なるほど。シャーロットはこの街の領主の屋敷にその挨拶に来たってことか?」


「そうなのじゃ。無理を言ってきたのじゃ。兄上に会うために!」


「そうか。ありがとな。」


シャーロットの頭を久しぶりに撫でる。


「少し大きくなったか?」


「兄上も大きくなったのじゃ。」


「そうだな。」


(援軍がいるってことは、俺はこの街を後にして、五大ダンジョンに行っても良いのでは。)


「兄上、五大ダンジョンに行くのじゃ!!」


「精霊を通して見ていたのか?」


「そうなのじゃ。ビリーも連れてきてるし、今回も冒険をするのじゃ!!」


「ビリー?あの走り鳥のことか?」


「そうなのじゃ。ビリーも兄上に会いたがっていたのじゃ。」


「そうか。でも、勝手にいなくなって大丈夫なのか?」


「大丈夫じゃないですよ、お兄様。しかし、シャーロット様の能力を止めることは出来ませんから。」


「そういうことか。シャーロットはよくこの街に来れたな。前回のことがあるのに。」


「毎日、真面目に過ごしていたから信頼があるのじゃ。それに父上も母上も冒険が好きだから許してくれるのじゃ。」


「そうか。それじゃあ、行くか。」


(まあ、何かしらに手段で監視してるだろうな。)


「分かったのじゃ!!。」


「キリアはフィーネと一緒にいてくれ。寂しがり屋なんだ。」


「分かりましたお兄様。お気をつけて。」


キリアはその日の夜は一段と甘えてきた。

フィーネに見つからないようにシャーロットは帰した。


ーー翌日、


旅の準備を即座に揃えた。この時に薬と武器を売っているので、すぐ揃う。


「それじゃあ、五大ダンジョンに行ってくる。」


「気をつけてね、お兄ちゃん。」


「気をつけるさ。帰ったらダンジョンの話を聞かせるさ。」


「気をつけなさいよレックス。ダンジョンは何が起こるかわからないんだし。」


「大丈夫だよ、母さん。今回は優秀な仲間がいるんだ。そいつもいるし大丈夫だよ。」


俺は母妹と別れを告げたあと、シャーロットが約束した場所に転移してきて、

事前に走り鳥を準備していた場所へと俺ごと転移させた。


「それでは出発なのじゃ!!」


「そうだな。」


「ピ!ピピピ!!」


「お前もよろしくな。」


「これからは、兄上を独り占めできるのじゃ。」


「シャーロットちゃんとつかまっとけよ。」


「分かったのじゃ!」


俺は、走り鳥に魔力を流して、体力の消費を減らし、速度を上げる。


「すごい速さなのじゃ!!」


「まあな。シャーロットもいつかできるようになる。」


走り鳥の波長に合わせる必要があるから、魔力を流すことはそれなりの難易度がある。しかし、俺にとっては何かに魔力を流すことは日常茶飯事なのでそこまで難しくはない。


それから4日かけて、五大ダンジョンがある街までたどり着いた。


「さて、まずはダンジョンの情報を得ないとな。」


「それなら問題ないのじゃ。」


「なんでだ?」


「兄上はリアスと知り合いなのじゃろ?」


「リアス?ああ、赤い髪のあいつか。それがどうしたんだ?」


「リアスの両親はこの街の領主じゃぞ。ダンジョンのことならリアスに聞けばいいのじゃ。」


「なるほどな。じゃあ、俺は宿に泊まってるから、シャーロットが夜に転移で家に入って呼んできてくれ。」


ーーー夜


シャーロットにリアスを転移で連れきてきてもらった。


「私もダンジョンに連れて行きなさい!!」


リアスは開口一番そういった。

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