つぶつぶ

「ここら辺か?」


俺は、キリアに近くまで転移してもらい、気配を消して街外れのボロの小谷に近づく。


「確かに、こんな街外れだと人手が足りなそうだ。」


悪魔崇拝者の奴らがこの街で、悪魔を召喚しようとする理由は、霊脈という、魔力の地球の静脈みたいなものが通っているからだ。

キリア達領主一族が四つになったらこの街を自由に転移できるのも、この霊脈を利用しているらしいが、よく分からない。


「中には、6人ぐらいか。少ないな。サクッと行くか。」


悪魔崇拝者なんて基本雑魚しかいない。

噂によると、一般人がある日突然、悪魔崇拝者になるらしく、基本戦闘力は弱い。


小屋の中から呪文が聞こえる。6人全員がハモっている。

俺は魔力反応がある6人全員を串刺しにする。


「悪魔崇拝者じゃなかったらどうしよう。」


一応、小屋の中を確認すると、悪魔崇拝者達が持っている古ぼけた本を6人が持っていたので、悪魔崇拝者だろう。多分。


「やっぱり読めないな。」


悪魔崇拝者達が持ってた古ぼけた本は白紙だ。

悪魔崇拝者どもは読めるらしいが、今の俺にはただの白紙にしか見えない。


「本を燃やして帰ろう。」


キリアに帰りの約束をしてなかったので、次からはついてきてもらうことにした。

走って帰った。


次の日も、その次の日も

ギャングと悪魔崇拝者と冒険者とごろつきと荒くれ者をコツコツと潰し回る日々が続いた。



「どれだけ多いんだ。」


「この街は栄えていますから、野蛮な方々もたくさん集まるんです。」


「それはわかるが,多すぎるだろ。」


「今が稼ぎ時なんでしょうね。」


「ちゃんと法律を守って稼げよ。」


「お兄様のように守っている方が珍しいですよ。」


「それもそうだな。」


「お兄様今日もですか?」


「いや、俺は思ったんだが、元を叩けば良いと思うんだ。」


「元ですか?」


「組織そのものを潰せば良いと思うんだ。」


「それは、、、おそらくダメだともいます。」


「え、なんでだ?」


「お母様は必要悪だと言っていました。」


「必要悪か、、、。分からんくもないが、別に大丈夫だろ。」


「なんでですか?」


「今、そいつらって必要か?」


「必要ではないですね。むしろ、邪魔です。」


「そう言うことだ。制御できない必要悪なんてただの害悪だ。」


「よく分かりません。」


「任せとけってことだ。」


「なるほど!お兄様に任せます!!」


「それで、この町で一番大きいギャングはどの組織だ?」


「おそらく、カンザスクランだと思います。」


「冒険者の奴らか?」


「そうですね。なんとリーダーの方はレベル5らしいですけど、お兄様は大丈夫なんですか?」


「なんとかなるだろ。キリアもいるしな。それで、そいつらのクランハウスってどこにあるんだ?」


「それは・・・・」


翌日、キリアから聞いたカンザスクランのクランハウスにやってきた。


「良いとこ住んでるな〜。」


貴族街でも、かなり街の中央の領主の屋敷、つまり、高級な場所に立っている。

しかも、かなり大きい屋敷だ。流石に領主の屋敷よりは小さいが。


「これは、作戦会議だな。」


夜、キリアに会うまで、クランハウスを観察した。


ーー夜


キリアを膝に乗せて、ほっぺたをぷにぷにしながら


「どうでした、お兄様?」


「良いところに住んでやがった。」


「それはそうですよ。この街最大クランなんですから。」


「いかにも、悪いことしてそうな奴らだ。」


「悪いことしてるかは分かりませんが、悪い噂はよく聞きます。」


「絶対してる。俺の商人情報網あくどい事してると言ってた。」


「それは誰なんです?」


「薬屋の魔女の婆さんだ。」


「はぁ。そうですか。」


「薬屋は薬じゃなくて、毒も作るからそう言う情報はよく入ってくるんだ。」


「なるほど。納得です。」


「よし。作戦を話すぞ。」


作戦と言っても、こっちには転移し放題のキリアがいるのだ。勝てるだろう。

少なくとも負けはない。


「本当にそんな単純な作戦でいいんですか?」


「大丈夫だろう。今回はキリアにかかっているから頑張ってくれよ。」


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