アンリ

「アンリ、お前が俺以外のやつと話しているところを見たことないぞ。」


「そ、それは人見知りなので、、、。」


「そう言う知り合いを知っているが、少なくとも客相手に商売はできるぞ。」


ミランダは人見知りだが、客と商売できるレベルではある。母親に厳しく接客を教えられたからだろう。


「で、でもレックス様がいますし。」


アンリは目を下にそらしながら、自信なく答える。


「俺がいなくても、ある程度仕入れができた方がいいだろ。俺のパンツもお前は買ってこないし。」


「す、すみません。」


「人と話すのが苦手なのか?」


「じ、実は、わ、私はサキュバスとのハーフなんです、、、。」


「だから変態なのか。」


「それは、分かりません。ただ、サキュバスの魅了の力がハーフだからうまく制御できなくて、それで、今まで友達がいなかったんです。」


「前はダークエルフの里にいたんだよな?なんで、それで友達ができないんだ?」


「ダークエルフは基本、浮気しないんです、一度、運命の番を見つけたらずっと一緒なんです。」


「なるほどな。お前が男どもを魅了するからダークエルフには受けいられなかったんだな。」


「そうです。父はいないし、母はすでに亡くなっていたので、村八分にされてた私は里を出て、街に来たんです。しかし、、、。」


「そこから先は大体分かった。お前の師匠って女のドワーフに出会ったのか?」


「そうです。師匠がいなかったら私は一人森で籠るしかできなませんでした。」


(その生活、今と対して変わらないだろ。)


「アンリの胸と尻がでかいのもサキュバスのせいか。」


「そうかもしれません。ダークエルフは基本ここまで大きくないですから。」


「なるほどな。それもあって男に言い寄られてたのかもな。」


「でもいいんです。私は運命の番を見つけましたから!!」


(嫌な予感がする。)


「そうか。良かったな。これから頑張れよ。」


「それは、レックス様です!!」


「じゃあ、変態行為をやめろ。」


「嫌です!!今日もパンツ下さい!!」


結局、今日もパンツ盗まれただけだった。

俺は、この日、フィーネを深く抱きしめて寝た。


ーーー翌日


「魔力感知の修行をしないとな。」


俺は、この日からなるべく目を開けずに魔力感知で生活するようにした。

最初は動かずに他の物の動きを認識してから、目を開けて確認する。

これの繰り返しだ。


「なんとなくは分かるが、自分が動いたり、相手の動きが激しかったら正確に認識できない。実戦では使い物にならないな。」


魔力感知が正確にできるようになると、対人戦も対魔物戦も相手の動きがより鮮明に分かるようになる。

いち早く、習得しなくては。


「何やってるのお兄ちゃん?」


フィーネがやって来た。


「魔力感知の訓練だ。フィーネもやるか?」


「うん、やる!」


フィーネは俺の膝に座って、目を瞑る。


「分かるか?」


「分かんない!」


「そうか、これから頑張ればいいさ。」


「うん!」


俺は、フィーネの頬っぺたをぷにぷにしながら、魔力感知の訓練を続けた。


ーーー10歳に


俺は10歳になった。


「ねぇ、久しぶりに手合わせしようよ。」


街に帰って来たダリアがステゴロの喧嘩を仕掛けて来た。


「いいぞ。」


ボコボコにしてやった。

ポーションを飲ませて、傷を治してやった。


「敗北を知りたい。」


「なんで、そんなに強くなってるのよ?」


「魔力感知が上達してな。お前の動きが読むのが上手くなったんだよ。」


「それ、私にも教えなさいよ。」


「目を瞑って、周りの魔力を感知するだけだ。」


「本当に?」


「ある程度できるようになったら、実戦に投入していくんだよ。」


「ふーん。」


「それより、ダリアは来年には学校を卒業するんだろ。そしたら、どうするんだ?」


「私は領主になるのよ。だから、お父様に付き添って領主の勉強をするのよ。」


「へぇー、頑張れよ。」


「レックスも頑張りなさいよ。」


「何をだ?」


「全部よ。全部頑張りなさい。」


「なんだそれ?言われなくても頑張るさ。無理はしないけどな。」


「久しぶりに会ったんだし、血を吸わせてよ。」


「ほどほどにな。」


「分かってるわよ。」


かなり吸われた。


「味が変わったわね。ブドウの味になってるわよ。」


「血って味が変わるのか。」


「変わるわよ。あんたの場合、魔力の質が変わったのね。」


「そうか、俺は成長したのかもな。」


「いや、成長したんじゃなくて、毎日キリアに吸われてるから変わっただけよ。」


「なんだ、そうなのか。ん?なんで味が変わるんだ?」


「吸血鬼が血を吸うとその吸血鬼の眷属になるのよ。」


「じゃあ、俺は知らぬ間にキリアちゃんの眷属になってるのか?」


「そんなわけないでしょ。契約もなしに眷属になんて出来ないわよ。」


「じゃあ、なんで魔力の質が変わったんだ?」


「キリアがあんたの眷属に半分ぐらいなりかけてるから。」


「なんで?そんな契約してないぞ。」


「だから、半分なんでしょ。キリアが血を吸う時に一方的に契約してるからよ。」


「そんなことしてたんだな〜。と言うかさっきから気になってたんだが、魔力の質ってなんだ?」


「具体的には密度ね。密度が濃くなると魔力の質が上がるの。あんたは、魔力の質が上がったのよ。」


「すごいな。吸血鬼を眷属にするとそんな効果があるのか。ちなみにダリアを眷属にしたらどうなるんだ?」


「私くらいの高位吸血鬼を眷属に出来たら、より魔力の密度が上がると思うわ。でも、眷属にはならないけどね。」


「なんでだ?別にいいじゃないか。」


「嫌よ。眷属になったら命令に絶対服従になっちゃうんだもの。」


「そうなのか。キリアちゃんはそんな契約を俺にしてたんだな。」


「そうね。ちゃんと可愛がりなさいよ。」


「契約ってどうするんだ?」


「血の契りよ。つまり、互いに血を飲ませ合えば良いのよ。」


「なるほど、今夜早速やってみるか。」


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