オーク3

「レックス!レックス!!」


「オーク達が近づいてきたか。」


「近づいてきたのじゃ!」


「俺はどれくらい寝てた?」


「2時間ぐらい寝てたのじゃ。」


「結構、寝れたな。」


俺は、オークの群れを目視してから、軽く準備運動をする。


「良し、それじゃあ始めるぞ。」


「分かったのじゃ!!」


俺は、見張り台を降りて、オークの群れに近づき、黒いナイフを如意棒のように伸ばして、オークの群れに中央に向かって飛び込む。

ミランダからもらった強化剤を使って、5分間、魔法力を強化させる。


「おお、強化率が上がってる気がする。さすがミランダだな。」


あいつのことだ、反動がすごいことになるに違いない。


俺は強化された魔法力をフルに使い、身体強化と黒いナイフに全力を注ぎ、おそらくは群れのボスだと思われる、中央のオーク目掛けて、突進する。


「ギャ!?」

「ブッ!?」

「ビャァ!?」


とにかくたまらないように、止まると捕まる。

オークだらけの敵地で止まる事はすなわち、死を意味する。


「やっと、たどり着いた。」


おそらくは、2分ほど突進しただろう。

オークの群れのボスに辿り着いた。


「ガビュ!!」


「怒るなよ。別に喜んでお前の群れを殺してきたわけじゃない。」



こいつは、群れの混乱の原因が俺だと気づいているだろう。

だから、尋常じゃない殺気が俺に注ぎ込まれる。


「とりあえず、時間稼ぎだな。」


俺は、持ってる全ての捕食君を周りにばら撒いて、俺とボスの戦いに邪魔が入らないようにする。


「それじゃあ、開幕初撃で殺してやるよ!!」


俺は、群れに突進している間に一本の棘にありったけの魔力を貯めておいた。

この、棘を使ってオークの群れのボスに攻撃する。もちろん、貫通力を増すために回転させながら、串刺さ。

狙うは顔。どんな生物でも、脳が死んだら死ぬだろう。


ギュイン!!!


俺が繰り出した、高速の棘攻撃からは空気を割くような音がする。

俺は、勝ちを確信した。

相手は、変異個体だとしても、結局はオークなのだ。

こいつらはこの強さより、集団としての強さの方が際立つ。

力が強いこいつらにやってたかって攻撃されたら、捌ききれないからだ。


「ブガァァァァァァ!?」


俺の攻撃はまっすぐ、オークのボスに向かい、直撃した。

オークのボスはその攻撃を両手に持っていたおそらくは冒険者から奪ったと思われる斧を使ってガードする。

しかし、防ぎきれない。斧はすぐに砕け、オークのボスは串刺しになったかと思われた。


「間一髪で、そらしたか。でも、武器を壊したんだ。お前は不利になったぞ。」


オークのボスは俺の攻撃を間一髪でそらした。

しかし、大きな隙が出来たので、ここぞとばかりに追撃する。

俺の出来る最大の手数で棘は出来るだけ細くする事で、貫通力をつける。


「もう、やられたのか。」


俺の攻撃は他のオーク達の邪魔によって、いくつかはオークのボスに辿り着いたが、どれも浅い数だ。

それよりも、捕食君がこんなに早く倒されるとは。意外にオークは魔力操作が上手いのだろう。


「時間がない。いちかばちかだ!!」


俺は残り、ほとんどの魔力のを、一つの棘に注ぎ込み、他のオークごと突進しながら、ボスオークに攻撃した。


「「「ブガブゥゥゥゥ!!!」」」


他のオーク達はボスを殺されまいと必死にボスオークの前に立ちはだかり、俺の攻撃を命を削って、威力を弱める。

しかし、抵抗虚しく、あれの攻撃はオークボスに直撃する。

オークボスは俺の攻撃を頭ではなく、体を捻ることにより、腹に受けた。かなり重症だ。


「オリァァァァァァ!!!」


俺は、持っていた普通のナイフを使って、ボスオークの首に斬りかかる。


「ブバガァァァァァァ!!」


さすがオークボスだ。重症を負っていながら、俺の渾身の一撃を防ぎ切った。

しかし、相手は消耗しているのだろう。俺の渾身の一撃に体制を崩し、オークボスの両腕と俺のナイフが鍔迫り合いになった。


「やっぱり、力じゃ勝てないか。」


俺は、黒いナイフを使い、地面の中を経由して、オークボスの頭を串刺しにする。


グチャリ


「やっぱり、この手は使えるな。」


「ブ!?」


オークボスは何が何だか分からず絶命した。


「レックス!!」


上空から、シャーロットの声が聞こえる。

俺を迎えにきたようだ。ベストタイミングだ。

俺は素早く、強引にオークボスの魔石を取って、上空にジャンプして、シャーロットを抱きしめる。


「転移するのじゃ!!」


シャーロットがそう言った瞬間。


俺の左側からとてつもなく濃厚な死の気配。

残りの魔力全部を使って、シャーロットを庇いながらガードする。



瞬間、とてつもない衝撃が俺達を襲った。



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