オーク
「意外に大きい村だな。」
たどり着いた村は一面に麦畑が広がる、農村だった。
「村長に突撃なのじゃ!!」
「そうだな。」
門番が寝静まっていたので、起こす。
俺は、子供だと思われないように黒のナイフを大人の鎧のサイズにすることによって見た目は大人に、声も少し太くさせるように鎧部分を改造した。
「おい、起きろ。」
「んっ?なんだ?」
「寝ぼけるな。客だ。客。お前は門番なんだろ。」
「んっ!!お前たちは!?」
「だから、客だって。村長
に話があるんだ。」
「お前にみたいに怪しい奴を尊重に合わせるわけにはいかねえ!!」
「それは、そうだが。う〜ん。」
「村長に会わせて欲しいのじゃ!!」
「小さい女の子?なぜ、ドレス姿なんだ?」
「貴族だからに決まってるだろ。もう一度言うぞ、村長に話がある。お前はなんの権限があって俺たちを止めるんだ?」
(貴族の権利ゴリ押し作戦にした。)
「そっ、それは失礼いたしました!!今すぐ村長宅へご案内させていただきます!!」
門番は態度を掌返しして、俺たちを村長の家に送ってくれた。
「村長!村長に客人です!!」
「なんじゃ、こんな遅くに。」
背の小さい老人が出てきた。
「この方達が、村長の客人だと。」
「客人?こんな時間に?」
「私たちはこう言うものじゃ。」
シャーロットは持ってた王族の紋章が入った短剣を村長に見せた。
「はぁ?」
「なっ!?」
シャーロットは想像外の出来事におどろいた。
村長は王族の紋章を知らないようだ。
俺はダリアからもらった紋章付きのハンカチを見せた。
「これなら分かるか?」
「こっ!これは、領主様の一族の方でしたか!!」
流石に領主の紋章は知ってるらしい。
「おかしいのじゃ。」
「しょうがないだろ。王族の紋章なんて俺も知らなかったしな。」
「ふんっ。」
シャーロットは拗ねてしまった。
俺たちは村長にもてなされた。
「申し訳ございません。まともなもてなしもできなくて。」
「気にするな。それより、今は時間が惜しい。オークの群れがこの村に近づいているのを知っているか?」
「いや、初耳ですが。」
「間違いない。遠視のスキルを持ったものがこの辺りでオークの大規模な群れを見たのじゃ。」
「はぁ。」
「ちなみに助けは来ない。」
「えっ!?」
「あまりに急なことで準備が間に合わなかったのじゃ。さらに、どこで聞きつけたか分からないが、この情報が街に広まって、犯罪組織と悪魔崇拝者どもが活発に動いて、騎士達が動けんのじゃ。」
この話は道中に聞いた話だが、あり得る話だ。
シャーロットの作り話ではないだろう。まだ、6歳だしな。
6歳にしてはすごい賢いが。
「と言ううことは、この村は見捨てられたと。」
村長の顔はみるみる青くなる。
(まあ、こんな農村を見捨てて、少しでも時間稼ぎしてもらって、オークの被害をこの農村だけにできるなら合理的だしな。)
「安心せい。そのために我らが来たのじゃ!!」
「おおっ!!」
村長とシャーロットのテンションの上がり具合が半端ない。
「我らがこの村を救ってみせる!!」
(シャーロットの捜索にも騎士達が割り当てられて、その分、援護が遅れると思うが、言わないことにする。)
「ありがとうございますっ!!!」
村長は土下座に近い形で俺達に頭を下げる。
「村長、ちなみにこの村の人口は?」
「400人程です。」
「意外にいるな。」
「ここら辺は土地が豊かですから。」
「なるほどな。」
(どうしよ。人数多すぎだろ。)
「我ら二人に任せるのじゃ!!」
「おおっ!!ありがとうございます!!」
(なんで、こいつこんなに自信満々なんだ?俺はもしもの時は逃げるけど)
「レックス、作戦会議じゃ!!」
「そうだな。その前にオークがどこにいるか、確認する。」
俺は外に出て、黒いナイフを如意棒のように伸ばして、オークがどこにいる確認する。
しかし、夜なので、暗くてよく分からなかった。
「大人しく、作戦会議するか。」
シャーロットは、夜遅かったからだろう。
すぐに、すやすや寝てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます