「レックス、お腹減ったのじゃ。」


俺はシャーロットと一緒に走り鳥に乗り、シャーロットは俺の前に座らせて

手綱と俺の間に挟むことにした。


「そうだな。日も暮れてきたし、ここら辺に川がある。そこで飯にするか。」


「やったー!!」


「シャーロットは王女っぽくないな。お転婆すぎる。」


「色付きの貴族の女子は基本、お転婆なのじゃ。」


「へぇ〜。確かにそうかもな。」


「レックスは私以外の色付きの貴族にも合っているのじゃろ。4つの精霊がレックスの周りについているしの。」


「そうだな。それにしても4つか。」


俺は川に着き次第、焚き火をつけて川から魚を取って、走り鳥に餌付けしてから、自分達が食べる分も採取してから、森で野菜と果物を採取して、

でかい水筒に水を入れて焚き火にかけて沸騰させる。


「今日の夜ご飯はなんじゃ?」


「焼き魚とミネストローネだよ。後、硬いパンな。」


「おお〜美味しそうなのじゃ!!」


「お姫様なのに野営食が好きなのか?」


「そうかもしれんな。それか、レックスの料理が上手いか、どっちかじゃな。」


「そうか、今回は俺の分は残しとけよ。」


「分かったのじゃ!!」


シャーロットは7割の食事を平らげてから、満足したのか俺の膝の上で寝てしまった。

警戒心のないやつだ。こいつによると、俺に精霊がついてるから良いやつらしいが、ダリアもそうだったかもしれないな。


「ピ!!」


「なんだ?まだ、魚が食いたいのか?」


「キュピ!!」


「分かった。ちょっと待て。」


俺は体を動かさずに、黒いナイフを伸ばして魚を取って走り鳥に食わせる。

俺の分も追加で取ってから、食事をして寝た。

魔物除けの香を初めて炊いたが、普通に煙臭かった。


ーーーー朝ーーー


「起きろ、シャーロット。」


「むぅ。おはようなのじゃ。」


「早く顔洗って、歯を磨け。昨日磨かずに寝ただろ。」


「分かったのじゃ〜。」


シャーロットは寝ぼけていたので、歯磨きと顔洗いを手伝った。

朝が弱いのだろう。

それから、軽く朝ごはんを済ませて、出発する。


「このままの速度だと。夜には着くな。」


「おお!今日の夜に着くのか!!」


「シャーロット。お前は俺がいなかったら、どうやって村まで辿り着こうと思ってたんだ?」


「なんとかなると思ってたのじゃ。実際、なんとかなったのじゃ。」


(すごい理屈だ。)


「精霊に聞いたのか?」


「そう、それなのじゃ!!精霊がそう言ってたのじゃ!!」


「そうか。でも、精霊は気まぐれなんだろ。嘘かもしれないだろ。」


「それは、そうなのじゃ。」


「シャーロット、これからは少し落ち着いて行動しような。」


「分かったのじゃ!!」


(こいつ、分かってないな。)


「落ちたら危ないから、ちゃんと俺に捕まっとくんだぞ。」


「分かったのじゃ!!」


走り鳥が物凄い速度で、道を走る。

(それにしても、すれ違うやつ全然いないな。オークの群れがもう近くまで来てるのか?)


ーーー昼前ーーー


「マジか、道中にオークが出てくるは。」


オークは森の少し奥の方にいるはずの魔物だ。道には基本出てこない。

道とは基本安全な場所を繋いでできたものだからだ。


「レックス、どうしよう。」


「大丈夫だ。」


俺は、黒いナイフを伸ばして、オークを串刺しにして、瞬殺する。


「すごいのじゃ、レックス!!」


「そうでもない。こいつが昼ごはんだな。」


「オークは食えるのか?」


「食える。上手いぞ。」


こいつは豚顔だから、豚肉だからな。

油が乗っていて、結構うまい。


俺の味付けした、オークの肉をシャーロットと走り鳥は美味しそうに食べていた。

普通に美味かった。


「シャーロットは攻撃の魔法とかは使えないのか?」


「使えないのじゃ。使えるのは転移の魔法だけなのじゃ。」


「そうか。じゃあ、ご飯も食べたことだし、風呂に入るか?」


「風呂?」


「村人に会うのに薄汚かったら、相手にされないだろ。」


「そうなのか?それより風呂ってどう用意するのじゃ?」


「任せとけ。」


俺は黒いナイフを使って簡易風呂を作り、水を入れ、焚き火で水をお湯にする。


「お風呂なのじゃ〜!!」


シャーロットは風呂に飛び込んだ。


「シャーロット風呂に飛び込むな。水は貴重なんだ。」


俺もシャーロットと一緒に入る。


「2日ぶのお風呂だから、気持ちいいのじゃ〜!!」


「そうだな。風呂は気持ちいいな。俺が頭を洗ってやるから、こっちに来い。」


「分かったのじゃ〜。」


シャーロットは自分で上手く体を洗えないらしいので、俺が洗う。

いつもフィーネにやってることだし、慣れたもんだ。


「レックスは頭を洗うのが上手いのじゃ。」


「妹に毎日してるからな。」


「レックスには妹がいるのか。私もレックスみたいなお兄ちゃんが欲しかったのじゃ。」


「兄はいないのか?」


「いるけど、腰抜けなのじゃ。」


「腰抜けでもいいじゃないか。適材適所だ。」


「レックスは父上みたいなことを言うの。それでも、兄上は頼り甲斐のある方がいいのじゃ。」


「経験が人を変える。いずれ、頼り甲斐のある男になるさ。」


俺とシャーロットは風呂に入って小綺麗にした後、走り鳥に乗って、

夜、村に着いた。



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