俺は黒いナイフで猛毒蜂の巣を囲って中に殺虫剤をぶち込む。


「後は待つだけだ。」


「簡単だね。思ったのと違う。」


「猛毒蜂は夜は寝てるからな。そこを襲うのが一番いいんだよ。」


「ふ〜ん。」


「つまらなそうだな。」


「まあね。」


「猛毒蜂からは毒だけじゃなくて、蜂蜜も取れるからな。」


「蜂蜜から何ができるの?」


「ハニートーストを作ってやるよ。」


「何それ?」


「とにかく甘いパンだよ。」


「ケーキみたいなもの?」


「そんなもんだ。」


それから、猛毒蜂の巣から猛毒蜂の死体を袋に入れて、蜂の巣も袋に入れて持ち帰った。

ハニートーストとパンケーキをダリアに作って食べさせたら、美味しそうに食べていた。


それから、昼は薬屋と森。夜はダリアと一緒に過ごして気づいたら、俺は9歳になった。

俺が9歳になってから少し日が経った晩。


「ねえ、レックスこのドレスとこっちのドレスのどっちがいい?」


「今は夜だぞ。暗くて違いは分からん。」


「そうだったわね。普通の人は夜目が効かないんだった。」


「というかなんでドレスなんだ?」


「明日は私の13歳の誕生日パーティーなの。」


「へ〜。そうか」


「そうかって、それだけ?もう会えなくなっちゃうんだよ。」


「会えなくなる?」


「13歳から15歳まで貴族学校に通わないといけないから、別荘に引っ越さないといけないの。」


「寂しくなるな〜」


「全然心がこもってないね。どうせ夜寝れるから私がいなくなって嬉しいんでしょ?」


「寂しくなるのはほんとだぞ。」


「じゃあ、態度で示してよ。」


「態度?」


「たくさん血を吸わせて。」


「意味がわからん。て言ううか自分の血を吸えばいいだろ。」


「自分の血は味がしないのよ。お願い、少しでいいから飲ませてよ。」


「まあ、最後だしな。ちょっとならいいぞ。」


「本当!?じゃあ、遠慮なく。」


ダリアは俺の首に牙を立てて、かなりの血を吸いやがった。

俺は、立つと強い立ちくらみをするから、寝転んだ。


「吸いすぎだ。体がだるい。」


「背中におっぱい当ててあげたでしょ。」


「無茶苦茶だ。」


「じゃあね、レックス。学校の長期休暇の時はこの街に戻ってくるから。」


「全然、お別れじゃねえじゃねえか。」


ダリアは蝙蝠に囲まれて消えていった。

俺は体がだるかったから、次の日も含めて一日中寝込んだ。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


「大丈夫だけど、今日は少し体調が悪いから、たくさん寝るんだ。」


「フィーも一緒に寝るね。」


「フィーネは別に遊んできていいぞ。」


「一人だと寂しいでしょ?」


「そうか、そうだな。ありがとな、フィーネ。」


「うん!!」


フィーネは布団で寝込んでいる俺に飛び込んできた。

頭を撫でてあげると嬉しそうに目を細める。


(フィーネももう7歳か。重くなったなぁ)


俺はフィーネと一緒に一日中寝た。



ーーーーーーーー9歳になって



レベル 2


力    :151

身の守り :152

素早さ  :287

器用さ  :223

魔法力  :331


魔法   :蘇生魔法 試練を乗り越えた回数だけ蘇る(1)

      無詠唱

      蘇生魔法の代償として、これ以外の魔法とスキルを覚えない。



「やっぱ、このステータスだと無茶だよな〜。」


ミランダからのお願いは俺はできる限りの力を持って全力で叶えてきた。

あいつの能力向上は俺の生存率を上げるのにも、フィーネの薬作りにも役立つからだ。

しかし、今回のお願いは聞くことは過去1難しい。


「変異個体かつ魔石付きオークの魔石が欲しいか、、、。」


この街から、割と離れた場所でオークの大量の群れが発生したらしく、

その群れを率いているオークが変異種のオークらしく、かつ魔石付きらしい。

つまり、普通のオークよりかなり強化されている。

一対一なら、そのオークと対峙して勝てるかもしれないが、群れに囲まれては、そいつだけを相手にすることはできない。

群れに飲み込まれて、俺が死ぬだけだ。


「でもなぁ〜、ミランダの誕生日だしな。」


ミランダの誕生日は一週間後で、このオークの魔石を誕生日プレゼントとして俺にお願いしてきたのだ。


「3時間は粘られたからな。相当欲しいんだろ。」


ミランダは魔石欲しさに恥も外聞も忘れ、3時間連続で駄々をこね始めた。

あいつは自分の体力がなくなるまで、駄々をおこね続けて最終的には動けなくなっていた。

相当欲しいんだろ。


「出来るか、出来ないか。とりあえず、その群れを見に行くか。」


断るにしても、やって出来なかったと言うことにしたら、ミランダも納得するだろ。

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