日常回

「布団から女の匂いがする。」


フィーネが朝起きて開口一番そう言った。


「寝ぼけてないで、顔洗って来い。」


「寝ぼけてないよ。女の匂いがするんだよ。」


「はいはい。フィーネにはまだ早いな。」


「お兄ちゃんも早いと思うよ。」


朝から、フィーネがだる絡みしてくる。


「俺は眠いからこのまま寝るけど、フィーネは一人で顔洗ってくるんだぞ。」


「顔洗っても、女の匂いは消えないよ。」


フィーネが湯婆婆みたいなこと言って、顔洗いに行った。

俺は眠いし、寝た。

明日からは、添い寝は無しにしてもらおう。


ーーー薬屋ーーー


「猛毒蜂の毒を取ってきてほしい?」


「うん。猛毒蜂の季節だしね。レックスなら出来るでしょ?」


「出来るが。いつまでだ?」


「一週間の内に取ってきてほしいかな。」


「何に使うんだ?」


「風邪薬を作るの。」


「猛毒から風邪薬ができるのか?」


「出来るよ。強力な風邪薬が。」


(なんか、毒みたいな風邪薬だ。)


「分かったよ。それとミランダいい加減外に出ろ。不健康だぞ。」


「大丈夫だよ。薬飲んでるし。」


「今日という今日はお前を外に出させる。」


俺は,ミランダを強引に外に連れ出す。


「眩しい。皮膚が焼ける。厚くて溶けそう。」


「すぐに慣れる。それより手を離すなよ。迷子になりそうだしな。」


「分かってるよ〜。」


ミランダを15分散歩させたら、ミランダが歩けなくなった。

しょうがなく、俺がおんぶして、ミランダを運ぶことにした。


「なんて弱い体なんだ。」


「別にいいよ。薬作りには関係ないしね。」


「関係のないことなんてないさ。健康な体は何よりも財産なんだ。」


「レックスはおじいちゃんみたいなことを言うね。」


「まあな、明日も散歩するぞ。」


「明日は5分散歩することにする。筋肉痛になりそうだし。」


「そうだな。10分にするか。」


そうして、ミランダを薬屋に送ってから、昼寝してから猛毒蜂のことを調べた。


ーー夜ーー


「猛毒蜂を採取しに行くんでしょ?早く行きましょうよ。」


「また、のぞいていたのか。」


色付きの貴族は精霊を通して、覗き見することができるらしい。


「別にいいじゃない。」


「良くない。それと猛毒蜂は今日は行かない。」


「なんで?」


「猛毒蜂は満月の日は凶暴なんだ。」


「そうなの?分かったわ。じゃあ、今日は何するの?」


「満月でも見て、星を見る。これでいいだろ。」


「まあ、そんな日があってもいいかもね。」


星を見るふりして寝た。朝起きたら、ダリアはいなかったが体がだるかったので、血を吸われたのだろう。

ミランダに増血剤とか使えないか、聞いてみよ。



ーーー夜ーーーー


「今日こそは猛毒蜂を倒しに行くんでしょ。」


「行くが、着いて来れるのか?」


「余裕よ。」


俺が援護するか。


「俺からあまり離れるなよ。」


「だから、余裕だって。」


夜の森は危ないけどな。


ーーー夜の森ーーー


「いつか聞こうと思ってたが、悪魔ってなんなんだ?」


「悪魔は言葉の通りの悪魔よ。魔界から召喚するの。そして、契約したら力を貸してくれるの。契約には代償がいるけど。」


「それって、禁止されてるよな。」


「当たり前よ。悪魔を召喚しても碌なことにならないもの。」


「なんでだ?」


「払う代償は強い悪魔を召喚すればするほど、大きくなるの。」


「なるほどな。吸血鬼は悪魔じゃないのか?」


「違うわよ。普通にこの世界のどこかにいるわ。教会に見つかったら滅されちゃうけど。」


「教会と仲悪いのか?」


「ここら辺の教会は人間至上主義だから。」


「そういえばそうだな。じゃあ、血はどう用意してるんだ?」


「あんまり吸わないから、困らないかな。」


「じゃあ、なんで俺の血を吸うんだ?」


「レックスの血の味は私の好みだから。」


「そうか。全然嬉しくないな。」


「レックスの血はオレンジジュースみたいな味がするのよ。」


「じゃあ、オレンジジュースを飲め。」


「吸血鬼だからね。血を吸った方がいいでしょ。」


「知らん。もうそろそろ猛毒蜂の巣に着くぞ。」


「うん。」


「まず俺から、攻撃するからダリアは見ててくれ。」


「分かった〜。」


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