賞金
「そういえば、名前はなんだ?」
「ダリアです。ダリアと呼び捨てでいいですよ。」
「そうか。ダリア、少しここで待っててくれ。」
「別にいいですけど、何かあったんです?」
「一応な。ダリアはゴブリンくらいは倒せるよな。」
「ゴブリンくらいなら楽勝です。」
ダリアは服の中から短剣を取り出す。貴族の令嬢の護身術なのだろう。
俺は10人ほどの集団の近くに大型船などで使う伝声管のように黒いナイフを近づけて変形させる。
「本当に森の方に行ったのか?」
「本当だって!森の方に男3人に襲われて逃げてくのを見たんだって!!」
「それが本当なら、横取りされないように急がないとな。」
「そうだな。」
集団は森に近づいてくる。
(それにしても、横取りか。ダリアを追ってきたっぽいし。とりあえず殺しとくか。)
9人を串刺しにして、一人を残してなぜダリアを追っているのか聞き出す。
「待ってくれ!!話すから!話すから、命だけは!」
「分かってるって、早く話せ。」
この男の話によると、ダリアには懸賞金がかかっているらしく、約束の場所にダリアを連れて行くと賞金がもらえるらしい。
(普通、賞金は盗賊にかけるものだけどな。盗賊が賞金をかける側になるとはな。)
「ありがとな、死ね。」
「えっ?」
グサッ
俺は金目のものを盗んでから、ダリアの元へ向かう。
聞いた話をダリアに話す。
「懸賞金ですか、、、。」
「ああ、当分は館から出ない方がいいな。」
「そうですね。ちなみに私の懸賞金はいくらですか?」
「それは聞いてなかったな。どうでもいいだろ。」
「どうでもよくはないです。私の命の値段ですよ。安かったら嫌じゃないですか。」
「そんなことより、さっさと館に帰るぞ。」
「帰りません。」
「なんでだ?」
「よくよく考えてみたら、私は盗賊から追われる身なんですよね。私にだって外に出たり、パーティーの予定があるんですよ。」
「そこを狙われると。」
「予定にない行動をした方が盗賊に狙われません。」
「その間は俺が守らないといけないのか?」
「いえ、攻撃に出ます。」
「え?」
「私が捕まったふりをするんです!!」
(急に何に言ってるんだこいつ。)
「そんなことしなくても館で大人しく、パーティーにも外出も控えて部屋にずっと入ればいいじゃないか。」
「嫌です!!退屈で死んじゃいます!!」
(お転婆だな〜。)
「盗賊に殺されるよりはマシだろ。」
「嫌です!!」
「俺も嫌だが。」
「今なら、盗賊のためたお宝全部、独り占めできるんですよ!!」
「お金には困ってないしな。それに盗賊の約束の場所がわかったんだし、領主に騎士達に頼めばいいだろうが。」
「それは、、、そうですが。」
「分かったなら館に行くぞ。ダリアと一緒にいたら襲われる回数が増えそうだしな。」
「はい、、、、。」
明らかに意気消沈してる。そんなに退屈なのか。
貴族街は中心にあるので、人の気配が少ないところを通らなければならない。
俺の顔、黒いナイフの鎧形態で覆われているしな。
「ダリア、俺に捕まれ。」
「なんでです?」
「そっちのほうが早いからだ。」
「よく分からないですけど、分かりました。」
俺はダリアを抱えながら、街に壁を登る。
レベル2になってからできるようになった芸当だ。
「えっ!えっ!え〜〜!!」
(ダリアがうるさい)
壁の頂点にたどり着き、ダリアを一度おろす。
館までの道を決めないといけない。
「クロ君はすごいですね!!」
「そうだな。」
「いいな、クロ君は自由で、私もクロ君みたいに自由になりたいです!」
「強くなればいいさ。強くなれば、盗賊に狙われても返り討ちにできるだろ。」
「そうですね!私、強くなります!」
「ああ。それより、もう一度捕まれ。」
「はい!!」
俺は壁を飛び降りて、家の家屋を飛び移って、すぐさま貴族街の領主の館まで辿り着く。
「ここからどうするんだ?」
「抜け道があるんです。裏の回ってください。」
「分かった。」
俺は、館の裏に周り、ダリアを降ろす。
「じゃあな。」
「うん。またね!!」
(もう二度と会わないと思うけどな。)
俺はダリアと別れた。
足早に貴族街から離れ、フィーネを迎えに行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます