冒険者

「冒険者が領主と揉めてる?」


「冒険者じゃなくて、この街の領主とこの街の冒険者ギルドが揉めてるの。」


いつも通り、ミランダの薬の被験体になった後に、面白い話を聞いた。


「なんでだ?」


「冒険者ギルドのギルド職員が盗賊に内通してたの。」


「へー。でもその盗賊達は捕まったんだろ。」


「一人も捕まらなかったから、おかしく思った領主が調べたら、冒険者ギルド職員の所為ってことが分かったの。」


「逃したのやばいな。捕まってるならまだしも。」


「だから、喧嘩してるの。」


「そのギルド職員はどうなったんだ?」


「自殺したらしいよ。」


「裏のありそうな話だ。盗賊ってどれくらいの規模なんだ?」


「100人は構成員がいたらしいよ。」


「結構いるな。行商人達を主に狙ってたのか?」


「そうだね。レックスも気をつけてね。」


「分かった。ありがとな。」


「それより、レックスって最近、羽振りいいよね。」


「森の奥に行けるようになったからな。」


「欲しいものがあるんだけど。」


「いいよ、買ってやる。世話になってるしな。」


「本当に!?やったー!!」


本当にミランダに世話になってるし、こいつの欲しいものって薬関係だからどっちみち俺のためになるしな。

俺は薬屋を離れて、フィーネの様子を見に行く。

フィーネは、人通りの少ない路上で近い年齢の少女達と遊んでいた。


「レックスお兄ちゃん!!」


ミーニャちゃんが俺に気付き、走って近づき抱きついてくる。

俺がこの子を人攫いから助けてから、一層懐かれた。

俺はミーニャちゃんの耳と尻尾を撫でる。


「にゃにゃにゃ〜♪」


「お兄ちゃん私も!!」


フィーネが負けじと俺に抱きついてきたので、頭を撫でる。

他の少女達も俺に気付き近づいて抱きついてくる。

こいつらが俺に懐いている一番大きい理由は簡単。


「みんなの分があるから心配するな。」


この子達の分のお菓子を買ってあげてるから。

フィーネ達は仲良く、お菓子を食べたのを見ながら、俺は森に向かった。


「今日は何を狙うか。やっぱりオークソルジャーか。一番金稼ぎの効率いいし。」


俺は森に入って、少しした場所で少女が襲われているのを確認した。


「近づいて、話聞いてみるか。」


単純に面白そうだから近づいた。


「あなた達!こんなことして許されると思ってるの!!」


「許されるさ。そのためにお前を攫うんだからな。」


「ふざけないで!!」


数人のおっさんが一人のミランダぐらいの少女を攫おうとしている。

黒髪が長い綺麗な少女だ。


「助けてみるか。弱そうだし。」


俺は黒いナイフを全身に纏い、顔を隠す。

すぐさま棘攻撃でおっさんを串刺しにする。


グチャ、グチャ、グチャリ


あっけなくおっさんどもは死んだ。

俺は驚いている少女に近づき話しかけた。


「大丈夫か?」


「あなたは?」


「クロとでも呼んでくれ。全身黒いしな。」


「そう。それで私を助けてくれたの?」


「面白そうだったからな。それであんたはなんで襲われてたんだ?」


「私が領主の娘だからだと思います。そして、おそらくこの方々は盗賊の関係者かと。」


「ああ、大体わかった。それで、あんたを領主の館に連れて行けばいいのか。」


「お願いします。」


「任せろ。」


俺は死体から金目のものを剥いでから、この少女を館に送り届けることにした。


ーーー道中ーーー


「クロは私より年下ですか?」


「あんたは何歳なんだ?」


「今年で12歳です。」


「じゃあ、年下だな。」


「すごいです!!年下なのにあんなに強いなんて!」


「あいつらが弱かっただけだよ。」


「そうですか、、、。それにしてもその頭はどうなってるんです?」


「そういう魔道具だ。」


「触っていいですか?」


「別にいい。」


黒髪の少女は俺の黒いナイフの鎧の頭の部分をベタベタ触る。


「へ〜、普通に金属みたいな感触なんですね。」


「それより、あんた一人でなんであんなところにいたんだ?」


「館を抜け出したところを狙われました。」


「定期的に抜け出して、街で遊んでたのか?」


「よく分かりましたね。そうです、遊んでました。」


「その情報がバレてたんだ。そこを狙われたんだよ。」


「言われてみれば、そうですね。館から出てすぐ襲われました。」


「ちょっと待て。」


「えっ?なんですか?」


森を抜けようという時に、10人ほどの気配を感じた。

さっきの奴らの仲間か、それとも他の奴らか。

 


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