ホショック
俺は相手が、仲間が串刺しにされて驚いている間に次の捕食君を投げる。
「同じことだ!!」
炎の魔剣で捕食君が入った瓶ごと攻撃するが、その攻撃のせいで瓶の中身が出てきて、狙ったやつとは別のやつに捕食君が襲い掛かった。
「ロッグスライムじゃないのか!!」
(ロッグスライムってなんだ。炎に弱いスライムがいるのか。)
さっきとは別の捕食君なので、炎が弱点ではない。多分、氷だと思う。
俺は持ってる5個の捕食君の瓶を投げまくって、侵入者どもを捕食君に捕食させる。
「良し。後は救助を待つだけだな。悪魔召喚止めれたか?」
「止めれましたけど。なんですかあれは?」
「さあ?知らない。」
「なんでそんなもの持ってるんです?」
「友達から貰った。それより救助は後どれくらいだ?」
「後、1,2分でしょうね。」
「そうか、じゃあ逃げるぞ。」
俺はまた、少女を担いで、黒のナイフを使いながら、壁の穴を掘り進め、とにかく捕食君から離れる。
「子供達はどうするんですか!?」
「知らん。死んだとしても俺に関係ない。」
「あります!!あなたのせいで死ぬんですよ!!」
「俺のおかげで少し寿命が伸びたんだからいいだろ。」
「良くありません!!」
(なんだこいつ。貴族なのに平民に優しいタイプか。めんどくさいな。)
「捕食君を使うとは思わなかったんだよ。」
「あの子達にも家族がいるんですよ!!」
「俺にもいる。」
「あの人達があの子達の魂をもう一度使って悪魔召喚を再開したらどうするんですか!!」
「そんなことできるのか。」
「出来ます!!私の力では一時的に止めるだけで精一杯ですから!!」
「しょうがないな。お前は援護とかできるのか?」
「支援魔法と回復魔法が使えます。」
「じゃあ、お前も連れて行くか。」
俺は掘った穴を戻ると、そこには驚くべき光景があった。
「マジか。」
捕食スライムが全員倒されていた。
一人だけ、魔剣を持っていた男だけ立っている。あいつだけ生き残ったのか。
「お前、なんだこれは?」
開幕、こいつに全方向の串刺し攻撃を行う。しかし、難なく全て避けられる。
「俺に支援魔法をかけて、俺もそばを離れるなよ。」
「はい、分かってます。」
少女は俺に支援魔法をかける。体が急激に軽くなる。
これが精霊魔法の支援魔法か、強力にも程があるな。
さらに、俺はミランダの薬を一気飲みしてドーピングする。
5分だけ、俺の魔法力をかなり上げてくれる。もちろん反動で一日は動けなくなるが。
「なあ、なんで悪魔召喚なんてしてたんだ?」
「お前らには関係ない。それよりお前は捕まえていた色付きだな。どうやって魔封じの手錠を外した?」
「俺の質問に答えろよ。悪魔を何に使おうとした?」
「知らん。俺はあくまで雇われなんだよ。」
「その雇い主ってこの死体の中にいるか?」
「いない。金を払う奴は現場に来ねえよ。」
「じゃあ、仕事サボればいいじゃねえか。」
「そうもいかねえ。成功報酬だからな。今回は失敗しちまったが、せめて色付きの貴族が3人いればいくらかは貰えるだろうよ。」
(どうしよ、ミーニャちゃんを抱えて逃げたい。)
「ついでに、お前の持っていたスライムも持っていけば、追加で報酬が貰えるだろうよ。」
「そうか。つまり、お前は俺の敵ってことでいいのか?」
「当たり前だろ。」
(時間稼ぎはこんなもんでいいかな。俺の攻撃の準備も終わったし。)
俺は先ほどと同じように、全方位の串剤攻撃をする。
「また、これか!!もう見慣れたぞ!!」
「さっきとは違うぞ。」
先ほどよりも、棘の伸びる速さが速くなってる。
さらに、伸びた棘から棘を作れる。
つまり、屋内において避けるのは至難の技なのだ。
しかし、全身を長い布で覆った奴は神業のように避ける。こいつ無茶苦茶強そうだな。
しかも、棘を避け切って、俺に向かって魔剣を振りかぶる。
俺は少女を抱き寄せて、黒いナイフの鎧を前方方向に大楯として変形させて、
なんとか防御する。
「あっ、有難うございます!!」
「気にするな。今、お前の支援魔法が無くなったら俺が負けそうだしな。」
(今の俺では、こいつに勝てないな。時間稼ぎに専念するか。)
俺はとりあえず、相手を近づかせないような攻撃に集中して、魔剣の攻撃は盾にして守り続けた。
何回かこの攻防を続けると、集団の足音が聞こえてきた。
「これは、救援か?」
「はい。精霊はそう言っています。」
騎士の集団がこの部屋に入ってきた。
「なんだこいつらは?」
「この貴族達の騎士達らしいぞ。」
「潮時か。」
全身布まみれの男は煙玉を使って、煙が晴れたらいなくなっていた。すごいな。
俺は、金目のものを持てるだけ回収して、ミーニャちゃんの元へ向かった。
「ミーニャちゃん。」
「レックスお兄ちゃん!!」
ミーニャちゃんは俺に近づいて抱きついてきた。五感の優れている獣人には奥の部屋で何が起こっていたかある程度わかっていたのだろう。
「帰るか。」
「うん!!」
俺が帰ろうとした時、服を掴まれた。今まで一度も喋らなかった、風魔法を使う子だ。
「、、、、ありがと。」
「気にするな。」
俺は牢屋の壁を壊しまくって、さっさと下水道から離脱した。
背後の騎士から止める声が上がっていたが、少女達が止めてくれた。
せめてもの礼なのだろうか。いや、ほとんどタダ働きみたいなもんだ。
「両親にはお昼寝してたら夜になってたって言うんだよ。」
「うん!!」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ!!」
ミーニャちゃんを送り届けてから、俺の残り活動時間が0になりそうだったので、
ミランダがいる薬屋に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます