順調

「朝の匂いがする。」


目が覚めると朝特有の匂いがする。


「おきたの、おにいちゃん?」


「フィーネ!?」


フィーネが歩いている。


「体調が良くなったのか?」


「すこしね。おにいちゃんのおかげだよ。」


「そうか。俺はどれくらい寝てたかわかるか?」


「たぶん、いちにちだとおもうよ。」


「そうか。」


俺は左腕の痛みが完全に引いているのを確認する。

すごいなあの薬。


「フィーネが元気になったお祝いに今日の夜ご飯は苺のケーキにするか。」


「ほんとに!?やったー!!」


母さんが起きてきて、朝ごはんを作ってくれた。

フィーネは自分で食べられるのを喜んでいた。


「フィーネはまだ家で大人しくしとくんだぞ。まだ体がだるいんだろ?」


「うん。おとなしくしてる。」


フィーネは苺のケーキを食べれると分かったから大人しくしてくれるようだ。

俺は、腕の痛みも引いたので、森に出かけることにした。

フィーネにはまだ薬が必要だ。いくつか常備しときたいしな。


「気をつけてね。レックス。」


「分かってるよ。軽く稼ぐだけにしとくよ。」


俺は腕が治った時に体が鈍らないように、軽く稼ぐだけだ。

一日に銀貨5枚を目安に頑張ろう。


レベル 1


力    :155

身の守り :132

素早さ  :252

器用さ  :201

魔法力  :361


全体的に成長した。試練を超えたと判断されたからだろう。伸びが少なくなっているのは、ステータスとレベルによって求められる試練が上がっていくからだろう。


それから、1週間が経った。

フィーネの体調は少しずつよくなっている。

俺の左腕は完全に治った。今日は魔石も溜まったし、お金もできたのでフィーネの薬を薬屋に買いに行く日だ。


俺の腕をミランダに見せたら。


「すご〜い!!私ってすご〜い!!」


「いや、あの薬は普通飲めないぞ。不味さで気絶したし。」


「しょうがないよ。だっあの薬は半分毒だもん。」


「毒?」


「そう、毒。その毒のせいで気絶したんだよ。」


「俺は毒を飲まされたのか。」


「毒と薬は紙一重だよ。飲む前は毒でも、飲んだ後に体内で消化されて薬になるんだよ。推測だったけど。」


「つまり、一か八かだったのか。」


「大丈夫だよ。解毒薬も入ってたしね。死にはしないよ。」


「死にはしない?」


「運が悪かったら一月は起きないかな。運が良かったね。」


俺は腹が立ったので、ミランダに尻を鞭打しといた。

フィーネの薬をもらって、薬屋を後にして、家に帰ってフィーネに飲ませた。


「これ、にがい。」


「薬だから苦いんだよ。どうだ、体調が良くなったか?」


「う〜ん。わかんない。」


「そうか。もう少し高い薬を買いに行くかな。お金を貯めて。」


「おくすりよりケーキがたべたい。」


「ケーキは三日に一個だ。」


「え〜。」


「それだけ元気なら、もう少しで治るな。」


フィーネの体調に余裕ができたので、俺はフィーネと一緒にいる時間が長くなった。

部屋の中で前の世界のリバーシやマトリョーシカ○×ゲームで遊んだ。


「それじゃあ、森に行ってくるから。」


「きをつけてね。」


「ああ。」


母さんがもうそろそろ帰ってくる時間なので、俺は森で金稼ぎに勤しむことにした。

今日の狙いは狼だ。

一匹で銀貨一枚になる割には簡単に勝てるしな。うまい相手だ。

両手が使えるようになったから、毛皮を剥げるようになった。


お昼から、夕方までで20匹の狼を殺せた。日給2万円だ。

ゴブリンの魔石も一つ手に入れられたし、今日は運がいい。

フィーネの好きな苺のケーキでも買ってやろう。


そこから2月後には、完全にフィーネの体調は元に戻っていた。

薬もいくつか常備できたし。順調だ。


「フィーネ。手を離すなよ。」


「うん!!」


フィーネは久しぶりに外に出れるのが嬉しいらしく、はしゃいでいる。

30分歩いただけで寝てしまった。疲れたのだろう。


「明日からは、リハビリしてこうな。」


俺はフィーネをおんぶしながら、家に帰宅した。


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