狼15匹と魔石付き狼が一斉に俺に襲い掛かってきた。


「これがやばいな。」


俺は懐から、黒いナイフを取り出して、魔力をこめる。昨日よりも少し刀身を長くする。

俺は黒いナイフを使って狼に斬りかかる。

一匹目の狼に切りつけると、バターのように狼の頭と胴体を切り離した。


「おお!?」


黒いナイフの切れ味に驚いたが。これなら簡単に勝てる。

残り狼を瞬殺してから、残りは魔石付きの狼だけになった。

魔石付きの狼はかなり警戒してるのか、俺に近づいてこない。


「こっちから行くぞ。」


早く決着をつけたいしな。

俺は魔石付き狼めがけて突進した。


「ガウフッ!!」


魔石付き狼も俺に突進してきた。

俺より魔石付き狼の方が速いため、俺に噛みついてきた。

俺はこれを避け、カウンターを極めようとしたがこれをスルリと避けられた。

振り向きざまに魔石付き狼がまた、襲ってきた。

俺はカウンターのために体勢を崩されていたから、あらかじめ狼の毛皮を巻いていた左腕で噛みつきを受ける。

勢いを殺せず倒れ込む。


ゴキ!!


毛皮ごと俺の左腕が噛み砕かれた。とんでもない痛みだ。


「クソがッ!!」


魔石付き狼は左腕を噛み切った後に俺の首を狙って襲い掛かってきた。


「ガウッッ!!」


しかし、魔石付き狼の頭は黒いナイフに貫かれ、絶命した。


「良かった。やっぱりこの技は使えるな。」


俺は地面に倒れ込んだ時点て、地面に黒いナイフを突き刺しといた。

これを魔力を流して、伸ばしたのだ。

わざわざ、この狼達を殺すときにこのナイフが伸びることをこいつに見せなかったから、通用したのだろう。


「早く、帰らないと。」


俺は魔石付き狼から魔石と毛皮を剥ぎ取ってから、他の狼の毛皮を放置してさっさと帰った。

帰宅して、すぐに母さんに怒られた。無理をしてからだろう。でもこれでフィーネの薬が買える。

俺が怒られてるのに、フィーネが泣いてしまった。


「明日からは、大人しくするから。それよりお腹減ったからご飯食べようよ。」


夜ご飯を食べてから、気絶するように寝てしまった。


翌朝、


「痛!」


痛みで目が覚めた。もう日が昇っている。井戸から水を汲んできて、体を拭いた。左手が使えないから、時間がかかった。


「母さんが手当てしてくれたのかな。」


左腕が布で固定されている。これ、ちゃんと治るのか?

複雑骨折してるかもしれないし。


「それより、フィーネの薬だ。」


昨日は狼の毛皮が13個とゴブリンの魔石が3つ。魔石付き狼の毛皮と魔石。

おっさん3人組の銀貨4枚。

合計したら、お金だけで小金貨3枚はありそうだ。小金貨3枚は3万円ぐらいだ。


母さんが起きてきて、朝ご飯を作ってくれた。


「おにいちゃん、だいじょうぶ?」


「大丈夫だ。痛みも結構引いたしな。」


「ほんとに?」


「本当だ。」


「ごめんね。わたしのためなんでしょ。」


「気にするな。俺はお前の兄ちゃんなんだから。それに今日はお前の薬を買いにいけるしな。」


「ほんとに!?おそとにいけるの?」


「そうだな。ちゃんと野菜を食べれたらな。」


「えー、おいしくないんだもん。」


「ちゃんと食べないと、病気が治らないぞ。」


フィーネに野菜を食べさせてから、俺は母さんと一緒に売れるものを売ってから、薬屋に向かった。


「左腕、痛いでしょ?」


「痛いけど、我慢できないほどじゃないよ。」


「今日は、お金の半分はフィーネの分とレックスの分、半分ずつ使うわよ。」


「えっ!?」


「レックスの傷が早く治って、フィーネの新しい薬代を稼いだ方が早いでしょ。」


「それはそうかもしれないけど。」


「それに、フィーネの体調は今、ある程度安定してるからそんなに焦らなくて大丈夫よ。毎日、お腹いっぱいご飯食べられてるからね。」


「そうかも。」


「そうなのよ。ほら、着いたわよ。」


母さんに連れられて、たどり着いた店は小綺麗な場所だ。貴族街に近いからかもしれない。


「ごめんください〜」


「あら、ミーシャじゃない。今日は休みだったでしょ。」


店番には栗色の長髪で胸が大きい女性がいた。

ミーシャとは母さんの名前だ。


「薬を買いに来たのよ。」


「お金はあるの?」


「小金貨6枚が予算よ。」


残り小金貨3枚は母さんが貯めていたお金だ。


「この短期間でよくかき集めたわね。」


「この子が頑張ったのよ。森で魔物を狩ってきてくれたの。」


「この子がレックス君ね。それにしても本当にこんな小さい子が魔物を倒したの?」


「魔石付きのフォレストウルフを倒したのよ。」


「えっ!?本当に?」


俺は、店番の女性に体をペタペタ触られた。


「この腕はその時の怪我?」


「そうよ。小金貨3枚はこの子の怪我用の薬よ。」


「魔石は用意したの?」


「ゴブリンの魔石が3つにフォレストウルフの魔石が一つよ。」


「それなら、大丈夫そうね。奥でおばあちゃんが待ってるわ。」


「分かったわ。行くわよレックス。」


「うん。」


物珍しさに薬屋を見渡していた俺の手を引いて、薬屋の奥に入った。

そこには魔女を想わせるババアがいた。


「よく来たね。」


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