殺し

「ちょっと待てよ坊主。その魔石を持ったゴブリンは俺たちが狙っていた獲物だ。魔石は置いてけ。ついでにそのナイフもな。」


片目に眼帯をつけた男が話しかけてきた。

柄の悪そうなおっさん3人に絡まれた。

一人は片目に眼帯。

一人は片腕がない。

一人は杖をついている。


「あんたら『漁り』だろ。言いがかりにも程があるぞ。」


母さんが言っていた奴らだ。元冒険者が怪我をして結果、初心者狩りをしたり、自分達より弱い奴らから装備を奪ってその日ぐらしの金を得る奴らだ。

今回は魔石付きゴブリンを追っていたら、俺を見つけて俺の持ってるナイフと魔石に目をつけたんだろ。

俺はどう見ても子供にしか見えないしな。


「そんなことはどうでもいい。ナイフと魔石を置いていったら命は勘弁してやるぜ。」


逃げてもどうせ殺されるだろうな。といううか俺の持ってる黒いナイフがバレた時点で、俺はこいつらを殺さないといけない。

子供には分不相応な武器だしな。


俺は片目に眼帯をした男に向かってナイフを投げる。


「何!!」


油断していたのだろうなんとか剣を抜いてこれに対処する。

俺は黒いナイフを持ってそいつに斬りかかる。


ガキン!!


「残念だったな坊主。お前の負けだよ。」


男は俺が黒いナイフの切れ味だよりで切り掛かってきたのだと思っているのだろう。だから、黒いナイフを受け止めれた時点で自分の勝ちだと確信しているのだろう。

しかし、狙いはそこじゃない。

俺は黒いナイフに魔力を流し、おっさんの眼帯をつけている方の死角を経由して、黒いナイフの一部を伸ばして首にを突き刺す。


グチャリ


「はっ?」


眼帯の男は何が何か分からずに前に倒れ込んだ。

俺は小さい体をこの眼帯男を使い隠しながら黒いナイフを地面に突き刺して、

地面の中でナイフを伸ばしながら、片腕のない男の腕のない方からそいつの首に黒いナイフを突き刺した。


「えっ?」


「ゴンズ!!」


片腕のない男はあっさりと死んだ。杖のついた男がおそらく片腕のない男の名前だと思われる名前を叫んだ。


「このガキ!!」


杖のついた男が俺に襲いかかってきた。

しかし、遅い。こいつはこの3人の中で一番隙がないから最後に殺すことにしていた。


「遅いな。」


俺はこの男からはとにかく離れることにした。

この男から離れて木の上に登り、木の上から持っていた布袋を使って、投石した。


ガキン!!


杖をついた男はその石を杖で払い除ける。

投石した石はいくら子供の速さでもかなりの威力を誇る。その石を難なく払い除けたのだ。明らかに格上だ。


「あの杖に何か仕込んでるな。ちくちく遠距離から狙うことにするか。」


相手は足が遅いから、逃げられないしな。


ーーーー1時間後ーーーー


「やっとだ。やっと隙ができた。」


俺は投石した後に、木に黒い短剣を刺して魔力を込めて伸ばしてから杖をついたおっさんを刺す。

しかし、首への攻撃は逸されて、腹に刺さった。

すごい生命力だ。


「正面から向かって来い坊主!!!」


このおっさんはさっきから、俺のちくちく攻撃に痺れを切らして喚き散らかしているが。

俺がこのおっさんの腹を刺してから3分も経ったころには


「許してくれ!!俺には娘がいるんだ!!俺が死んだらその娘は死んじまう!!」


(足が不自由でも、ある程度仕事は選べただろうが。それに、どうせ俺を殺そうとしてたくせにな。)


「出来心だったんだ!!俺はお前みたいなガキを狙うのは反対だったんだよ!!」


ジリジリと体から血液と一緒に体力が流れ出ているのが分かるのだろう。

しかし、今出て行ったらおっさんにカウンターで殺されるかもしれない。


俺は少し移動してから、木に黒いナイフを刺してもう一度首を狙った。


グサリ


おっさんは首への攻撃をまた、腹にそらした。


(やっぱり、まだ体力を残していたか。もう少し時間をかけるか。)


ーーー10分後ーーー


「やっと、静かになったか。」


俺はついでにこのおっさんの首に2回ほど刺した。

ゴブリンの死体の耳を剥いでから、魔石を取り出して、おっさんたちの死体から武器を剥ぎ取った。


「これしか持ってないのか。」


こいつらは全員で銀貨1枚しか持っていなかった。


「薬代の足しにするか。」


(こいつらが弱かったから良かったものの強かったら死んでたな。しばらくはゴブリンの魔石を狙うか。)

俺はフィーネの昼ごはんを作るために森を抜け家に帰った。

昼ごはんの材料を盗みながら。


家に帰り、ベッドに横たわっているフィーネの様子を見たら、フィーネが怒って頬を膨らましていた。


「おなかへった!!」

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