魔物

「ここら辺だよな。」


母さんからもらった地図を頼りに森を闊歩している。

今まで、街の外に出た経験は何回かあるが、ここまで離れるのは初めてだ。



「ゴブリンは大人なら誰でも倒せるぐらい弱いって言ってたけど、俺でも勝てるか?まあ、特別な武器があるし大丈夫か。」


一応、小さいナイフを二つほど装備してきた。黒い特別なナイフは切り札にしている。

防具はないので、服を着込んだ。動きずらかったら、ズボンは厚着してないが。



「まずは、普通のゴブリンを殺そう。次に特別なゴブリンを探すか。」


魔石があるゴブリンは、普通のゴブリンより数段強いから、まず普通のゴブリンの強さを確かめないといけない。


俺は、森を歩き回って数匹のゴブリンを見つけた。


「あいつらでいいか。」


少しでも早く、フィーネに薬を飲ませてやりたい。自分の力を早く確かめないと。


「グギャ。グッグ〜」


「グギグギッ」


「ギギギ〜。」


ゴブリン三匹が歓談してる。俺と同じ身長で腹は膨らみ、緑の肌を持つ魔物だ。


最初だし奇襲で殺すか。

俺は2本のナイフを右手、左手に持ち一番近くのゴブリンに茂みから飛び出して近づき、右手に持ったナイフを首めがけて振りかぶる。


ザグチュッ!!


するりとゴブリンの首にナイフが刺さる感覚が伝わってきた。盗んできたウサギの肉を解体する時と似た感覚だが。それよりは少し硬い。


「「ギギギ!!!」」


残り2匹のゴブリンが俺に気付き片手に棒を持って襲ってきた。


「遅いな。」


俺は襲ってきたゴブリン2匹の攻撃を避け即座に、カウンターで2匹を殺した。


「盗みをしていたおかげで、相手の隙を狙うのが上手くなっているのかもな。」


どうやら俺は、カウンターや暗殺が得意らしい。盗みは相手の意識の外を狙う必要があったからだろうか。

ゴブリンの死体3匹から耳を切り取って、死体は放置した。

ゴブリンの耳10個と銅貨1枚交換してくれるらしいので、一応切り取っておく。


「母さんのいう通り簡単に殺せたな。行商人の経験ってやつか。」


俺は自分の今の実力ならゴブリンを殺せると分かったので、魔石付きのゴブリンを探し始めた。


2時間後。


「やっと見つけた。」


普通のゴブリンよりも少し、肌が黒い。母さんの言っていた魔石付きゴブリンの特徴を持ったゴブリンだ。


「10匹もゴブリンがいる。どうするか。」


おそらく、魔石付きゴブリンが群れのボスなのだろう。

(いや、むしろ好都合か。)

群れている動物の方が、油断の隙が大きい。俺が最初に殺したゴブリンもそうだった。


少しの間、魔石付きゴブリンが油断する時を待つ。

魔石月ゴブリンが排泄するために数匹のゴブリンを引き連れて茂みの中に入って行った。

(母さんの言った通りにゴブリンの排泄した時を狙うか。)


ちょうど排泄している時を狙って、魔石付きゴブリンにナイフを投げつける。


「ガガガッッ!!」


「なっ!!なんて防御力だ。」


首を狙ったナイフは確かに首に刺さったが、ナイフは深く刺さらずに浅い傷になったせいで、即死はしなかった。魔石付きゴブリンが何か指示をしたのだろうゴブリン10匹全員が俺に襲いかかってきた。


「これを使うしかないか。」


俺は懐から黒いナイフを取り出して、魔力をこめる。するとこのナイフは切れ味がとてつもなく良くなる。

普通のナイフでも魔力をこめると切あずは上がるがこのナイフの比じゃない。


「グガ!」

「ギグ!!」

「ギャガ!!!」


ゴブリン10匹を瞬殺する。

こいつらは攻撃してからは隙だらけになるので簡単に殺せる。

そして、虫の息の魔石付きゴブリンに近づき首にナイフを突き立てる。


グチャ


「よし、これで魔石一つか。10個貯めるのに、後どれくらいかかるのか。もしかしたら、もう少し強い魔物を狙ってもいいかもしれないな。」



このペースだと一日2つぐらいになってしまう。それまでフィーネの体調が悪くなるかもしれない。より強い魔物から取った魔石だとそれだけ薬にとっていい魔石になるし、弱い薬なら少ない魔石の個数で薬ができるらしいしな。

俺が肌の少し黒いゴブリンから魔石を取ろうとした時、


「ちょっと待てよ坊主。その魔石を持ったゴブリンは俺たちが狙っていた獲物だ。魔石は置いてけ。ついでにそのナイフもな。」


柄の悪そうなおっさん3人組に絡まれた。




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