7

「一日で金貨2枚か。どうするかな。」


5歳が一日で数十万稼ぐなんて無理な話だ。


「でも、母さんに薬が用意できるとも思えないし。」


俺が盗みをしないと、食えていけなかったんだし。

母さんに相談しようかな。もしかしたら、薬屋を知ってるかもしれないしな。


「でも、母さんが帰ってくるまで時間があるし、何か出来ることがあるだろ。」


子供の俺は大人しく、瘴気病に苦しんでいる妹のそばで看病することにした。

母さんに色々聞かないといけないしな。


ーーーー帰宅後ーーーー


「フィーネ、今日は何が食べたい?」


ベッドから起き上がれずに、体調が悪そうなフィーネに話しかけた。


「いちごのケーキ。」


「ケーキか。貴族街に店があるから、結構盗むの難しいんだよな。」


この前、ケーキを盗んできた時から、フィーネの大好物になってしまった。


「チェリーパイでもいいよ。」


「チェリーパイにしてくれ。あれなら簡単に盗める。素材盗めばいいだけだしな。」


「2つたべたい。」


「ちゃんとご飯全部食べれたらな。」


「ごはnもたべるし、チェリーパイも2つたべる。」


「それだけ食べれたら元気だな。」


「うん。はやくおそとで走りたい。」


「もうちょっと待ってくれ。どうにかするから。」


「うん。まってる。」


俺は、街で夕飯を盗んできて、家で夕飯の支度をしていると母さんが帰ってきてた。


「ただいま。レックス。」


「おかえり。夜ご飯もうできてるから。手を洗ってきて。」


「分かったわ、いつもありがとう。」


母さんは俺を抱きしめて、おでこにキスをする。

日本人の俺は、手洗いうがいしてからそれをすべきだと野暮なことを思ってしまう。

フィーネがベッドに寝込んでいる部屋に夜ご飯を持っていく。


「フィーネ、ご飯ができたぞ。」


夜ご飯を置いて、フィーネの体を少し起こす。フィーネの体とベッドの間にクッションを置くことにより、食事できる体勢にする。


「食べられそうか?」


「うん。きょうはげんきなの。」


「そうか。そりゃ良かった。チェリーパイ用意したからな。」


「ありがとう、おにいちゃん。」


「母さんが来てから、ご飯食べるぞ。」


ーーーー母親が井戸から水を汲んできてーーー


「それじゃあ、食べましょうか。」


「そうだね。」


フィーネのご飯はなるべく噛む力を使わないように柔らかくしてから、スプーンですくって、食べさせるようにしている。極力噛ませるようにしているが。


「おにいちゃん、チェリーパイたべたい。」


「まずは、野菜とお肉を食べてからだ。」


「おなかいっぱいになっちゃうよ。」


「せめて、このトマトのスープを食べ終わってからだ。」


「え〜」


それから、家族3人での食事を終えてから、フィーネがお腹いっぱいになったから眠くなったらしく、体とベッドにクッションを挟んだまま、かけ布団をかけて寝させた。

俺は、母さんに薬のことを聞くことにした。


「母さん、瘴気病の薬を作れる人に心当たりはない?」


「爺さんに聞いたの?」


「そう、紹介するのに魔石100個ってふっかけられたから、母さんが知ってたらそのまま聞けるかと思って。」


「そうね。いや、そうなるわね。」


母さんはかなり悩んだ後に俺を抱きしめてきた。

急になんでだろ?


「ごめんね、レックス。また、あなたに頼ることになっちゃったわ。」


「どういうこと?」


母さんの話を聞くと、母さんはその瘴気病を作る婆さんのもとで働いているらしく、その婆さんにこの話を相談したところ、フィーネ用の薬を作ることを断られたらしい。

今まで、その婆さんにかなり借金をして、フィーネの薬を作ってもらっていたらしく、流石にこれ以上は借金できないらしい。


「それで、俺は魔石を取ってくればいいの?」


「うん。5個あればいいの。」


「5個で一つの薬が作れるの?」


「ゴブリンとかの弱い魔物の魔石ならね。強い魔物の魔石ならもっと少なく作れるわ。」


「分かった。ゴブリンってどこで狩ればいいの?」


「ちょっと待っててね。行商人をやってた時の地図を持ってくるから。」


母さんは、ボロボロのタンスの中からここら一体を描いたであろう、地図を持ってっ来た。


「ここなら弱い魔物しか出ないから、ここで狩るといいわ。他の冒険者もここら辺は少ないしね。」


「分かった。この地図を持っていっていい?」


「いいわよ。レックス、今のあなたならゴブリンくらいなら簡単に勝てると思うわ。でも、危なかったら無理せず逃げてくるのよ。」


「分かってるよ。逃げ足には自信があるし大丈夫だよ。」



俺は明日から、この世界に生まれて初めて魔物を倒す。

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