異世界転生を自覚してから3月が経った。


「お金がなくりそう?」


「そう。もうお金が尽きそうなのよ。ご飯はレックスのおかげで大丈夫だけどね。」


「それって何か不便な事はあるの?」


「生活に必要なものが買えないぐらいだね。火を起こせない。」


「それは大変だね。盗んでくるよ。」


「私が働きに出るよ。体調も良くなったしね。」


「大丈夫なの?」


「昔の知り合いの仕事を少し手伝うだけよ。一日3時間ぐらいしか働かないの。」


「そうなんだ。じゃあ、フィーネの世話の時間を取るために盗みの時間を帰るよ。」


「そうしてね。フィーネもいい子でいるんのよ。」


「うん!!」


フィーネもここ3月で元気になった。走る事はできないけど、歩き回れるようにはなったしな。

俺の盗みは朝にすることにした。母親の仕事は昼からだしな。

昼からは、フィーネと遊んでから昼寝して、軽く肉を盗みにいった後、フィーネを見える範囲で筋トレしといた。

フィーネは甘えん坊なのでよく邪魔をされるが。


「それにしてもお金か。お金があればもう少しまともな布団と家具を買えるな。あまりにもボロボロだし。家も修繕したいし、雨の日でも腹一杯ご飯食えるし。」


雨の日は露店が出ないので、腹一杯ご飯にありつけない。

フィーネのためにもそれは避けたい。でもお金の稼ぎ方なんて知らない。

冒険者なんて4歳の俺には到底なれないし。危ないからな。かといって雇ってもくれないしな。

自分で仕事を始めるわけにもいかないしな。この暴力溢れた世界では怖すぎる。


「スリしかないのかな?でも危ないしな。バレたら殺されそう。母さんの稼ぎに任せるか。」


特に危険を犯さなくても生きていけるしな。フィーネも元気になっていってるし。

それにしても母親は何で働いてるんだろ。商人関係だろうか。それ以外ないしな。


「もしもの時のために護身術でも考えとこうかな。」


この黒いナイフは変形できるのに重さは変わらないすごいものだ。

相当高かったのだろう。これをうまく使えば幼児の俺でももしかしたら大人に勝てるかもしれないしな。


「にいちゃ。だっこ、だっこ。」


フィーネが抱っこをねだってきたから、可愛がる。こいつは元気になった分、可愛がるのにも体力がいるようになった。うれしい悲鳴というやつだな。


「ステータスが上がるとすごい身体能力が上がるな。魔力を体に纏わせると特にそうだ。身体強化というやつかな?これも聞かないとな。」



この世界の一日も一月も一年も前の世界と大して変わらない。

人類が生活できる太陽との距離を考えたら自然とそうなったのかもしれないな。


母親が帰ってきてから、何の仕事をしているか聞いたところ帳簿をつける仕事を手伝っているらしく、行商人時代の伝手と俺の父親の伝手を頼ったらしい。

一日の労働の給料は銀貨3枚だ。日本の世界なら、3千円ぐらいの値段だと思う。


「それで、週何日働くの?」


「週3日からだね。私の体調もあるしね。」


「そうだね。それがいいよ。その間は僕が稼ぐしね。」


「急にあの人に似てきたね。よしよし。」


母親が俺の頭を撫でてきた。俺はそれを素直に受け入れる。


「フィーネも!フィーネも!」


フィーネも母親に頭を撫でて欲しく、フィーネ母親に抱きつく。


「フィーネも偉いね〜。」


母親は、右手で俺、左手でフィーネを撫でる。

フィーネは自分で動き回れるようになったため、十分に愛情表現ができるようになった。

今日は、いつも通り家族3人まとまって寝た。早くこのボロボロの布団をどうにかしたい。だって体が痒くなるしなこの布団。後、塩も欲しい。


うちの家族では日が落ちてから割とすぐに寝るので、朝は早い。まだ日が完全に登りきっていない。

毎朝、この人が少ない時間は筋トレに使う。井戸から一日分の水を汲む。

それから、少しずつ人の往来が増えていく時間になるとフィーネが起き始める。


「にいちゃ、おしっこ。」


「分かったから、漏らすなよ。」


フィーネをトイレに連れて行く。

トイレやゴミの処理は基本スライムみたいなやつが消化してくれる。

特に攻撃も守りもしない、自然現象みたいな魔物だ。


「こいつは、本当に便利だな。」


そこらへんにスライムを置いてくだけで、汚れを食べてくれるらしい。

歴史を紐解いてみると、スライムを交配させていたらたまたま生まれたらしいが。


「にいちゃ、ごはん。」


「分かった、分かった。」


昨日盗んできたパンと野菜。昨日煮込んでいたスープを温めて、ご飯を母親が作っていたので、それを食べる。

パンが硬いので、フィーネはパンをスープに浸さないと食べられない。

俺は魔力を歯に集めて、顎を強化して噛み砕く。


「朝からお肉が食べたい。」


「フィーも!!」


「そうね。でもお肉は高いからね。冒険者なら近くの森で獲物をかれるのにね。」


「いつか、狩ってくるよ。」


「私がお肉を買えるようになる方が先よ。私も体を動かさなきゃね。」


「そうかも。でも、お肉の盗む量を少し増やしてくるよ。」


お肉を盗むのは、神経を使う。

だって、お肉って結構重いしな。お肉は武器持った冒険者がよく買うからな。


「野菜を盗んで、それを売ってもらったお金でお肉買おうかな。いや、子供だから相手にされないか。」


街の外に出るのはかなりリスクがあるので、もう少し大きくなってからにする。

魔物とかいるらしいしな。


俺はストレッチを入念にした後、俺は街に繰り出した。











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