9.幸せのしっぽ


夜が下り かがやく月 太陽照らす

ポケットからこぼれる 黄金色の飴玉

君から貰った 何気ないもの


「太陽が笑ったら、次は2個ね」

背中丸めて 戸惑う僕を覗きこむ

君の笑顔は オレンジの香り

今日も清々しい風が 泳いでいる


「幸せのしっぽは、あの雲と一緒なんだ」

僕は呟く

「幸せは、見えるものじゃないよ」

君は否定する


寝ぼけた三日月のような気まぐれ

明日はきっと いい天気




澄んだ朝 こぼれた月 太陽隠す

甘い香り漂う 霞色の飴玉

君から貰った 優しい味


「神様が泣いたら、世界はどうなる?」

背中伸ばして 悲しむ僕を覗きこむ

君の笑顔は オレンジのしずく

今日も清々しい風に 吸い込まれる


「神様の涙なんて、誰にも見えないよ」

僕は答える

「涙が見えるだけじゃ、駄目なの」

君は否定する


寂しげな月明かりに似た気まぐれ

明日はきっと 雨模様




「見えないところで

 独り流す涙

 見えるのは

 きっと神様だけ


 見えない涙

 気付くことができるのは

 きっとわたしたちだけ」




「幸せに気付かないのは、見えないものだから?」

僕は尋ねる

「だから、

 私たちの幸せは、温かな思い出に変わるんだよ」

寝ぼけた満月と君の気まぐれ



明日もきっと いい天気



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