7.夜行バス
親から離れた暮らしも
古びたまちの近い日常も
閉ざされた氷の彼方
一人になりたくないと意味もなく呟いて
青い小鳥とにらめっこ
飛び出せない虚ろな夢
目は覚めたままでも届かない誰かの声
マスクの奥には曇ったレンズと
口が見えない乾いた顔
いつもとおなじ週末じゃあ
少しも満足できない
ずっと描いていた夢の中の私へ
私の身体が飛び乗るよ
小さな手鏡を目印に
一番の温かな笑顔を咲かせよう
もうすぐ最高の日常を連れてくるから
夢のまま過ぎた時間もようやく今と重なって
私は目が覚める
夜でもまぶしい白銀も
底冷えする厳しい北風も
親しんだ冬の日常
君の腕に寄り添って意味もなく語り合って
今日の予定とにらめっこ
まだ醒めないかたい身体
夢が冷めないうちに「さぁ行こう」と私の声
目の前の街には透き通る日常が
口を開けて潤っているの
例年通りの積雪じゃあ
少しも足を止められない
夢を形にする雪のパレードの中へ
私の身体が走り出すよ
小さなきらめきが彩る
イルミネーションに笑顔は咲き誇る
瞳に映る光は夢を消さないから
疲れた身体は明日に預けて今を乗り越えて
私の目は輝く
思っていたより小さいと笑った時計台も
そんなに辛くないと飲み干したスープカレーも
当たり前の冬の香りを刻んでいる
星に照らされることすら気づかない
色とりどりの思い出が冬を越えて身体にまたとけていく
素敵な夜景の織りなす
まばゆい灯りが心を魅了する
光交わる物語が時をまた結ぶから
長い冬が明けたら新しい日常にまた会いに行こう
夜行バスに揺られながら
私は眠りにつく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます