3.寝顔


おぼろげな瞳に宿る あなたの世界は今

一体何を映しているのでしょうか

わたしはあなたをずっと見ているから

目と目が合ったとき

「生まれてきてくれてありがとう」

その言葉があなたとわたしをつなぐ

ただ1つのトビラ


やがて眠りにつくその横顔に

わたしはそっと優しく口づけをする

柔らかな心地よさが生まれて

わたしもやがて眠りにつくのでしょう


目の前の寝顔がいつか

虹色の笑顔と

灰色の泣き顔に染まって

あなたとわたしの絆が

1つにつながり重なるとき

でる気持ち 宿して抱きしめながら

わたしも涙の雨を降らせて

あなたに笑顔の花を咲かせることが出来ますように


指にそっと 触れてみたら

掌にあるもの 確かな命のしるし

あなたが泣いても笑っても

変わらない温もり そして強さ

あたたかさとしたたかさは

あなたからの贈り物

わたしに届くとき

「生まれてきてくれてありがとう」

その言葉があなたとわたしをつなぐ

ただ1つの絆



そよ風が頬をくすぐる 若葉と競うように

並んで咲く季節 小さなランドセル

背負ってゆっくり歩く遊歩道を

時が流れたとき

「あなたは覚えているのでしょうか?」

この呼吸があなたとわたしをつなぐ

ただ1つの記憶


あなたが涙を流しながら

わたしを追いかける小さな体は

昔 母が見ていた光景

なんだか不思議な気持ちがこみ上げます


その歩幅はきっといつか

わたしと同じように

わたしと違う大切な誰かと

合わせるようになるのでしょう

一人きりではまだ頼りない

頼れる誰か 探して追いかけながら

あなたは歩き続けていくのでしょう

あなたが残す小さな足跡はこれからも変わらない


泣いたあなた 背負ってみたら

わたしに伝わるもの 確かな命のあかし

時が過ぎてもきっと

変わらない温かさ そして懐かしさ

在るものと変わらないものは

わたしとあなたの絆

鼓動が伝わるとき

「生きていてくれてありがとう」

その言葉があなたとわたしをつなぐ

ただ1つの歩み



やがて眠りにつくこの横顔を

あなたはそっと優しく抱きしめてくれる

温かな体温が重なり合って

わたしはやがて別れを告げるのでしょう


心の奥の記憶がいつか

モノクロの笑顔と

虹色の泣き顔に染まって

あなたとわたしの絆が

2つの道へと旅立つとき

新たな命 宿して抱きしめながら

あなたはどんな涙を降らせて

わたしに最後の言葉を伝えてくれるのでしょうか



「ずっと、愛してる」



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