第3話 公爵家の次男でした。

「レオノア様、沐浴の時間ですよ〜」


「うぁ」


「失礼しますね、よいしょっ」


「ぶうぁ」


「気持ちいいですか〜?」


「うぅ」


 (あー気持ちぃー、でもどうせなら浴槽に入りたいなぁ)


 現在俺は、この屋敷の使用人であるメイドに沐浴もくよくしてもらっている。


 沐浴とは、ベビーバスなどでお湯に浸かって体を洗うことを意味する。新生児は細菌などへの抵抗力が弱いので、感染などを防ぐために大人と一緒の浴槽ではなくベビーバスなどを使って身体を洗うらしい。メイド長が俺の担当メイドに説明してるのを聞いて俺も初めて知った。


 前世では子供がいなかったし(そもそも結婚してない)、自分が新生児の時どうしてたかなんて何も覚えてないから、全く知らなかった。


 第2の母から母乳を頂戴したあの日から1週間が経ち、分かったことがいくつかある。


 1つ、俺は車に轢かれたんじゃなく撥ねられたということ。


「車のフロント部分に当たって跳ばされたんだから轢かれたとは言わなくね?」と後になって思った。


 2つ、俺の転生先が公爵家だということ。


 メイドや執事がいる時点で貴族であることは予測していたけど、まさか公爵家だったとは。兄さんの口から「レオ〜公爵家に生まれたからにはその名に恥じぬよう強く生きるんだぞ〜」って言われた時はかなり驚いた。


ちなみに、家族構成はこんな感じ。


【フォーデン公爵家】

デイヴィッド・フォーデン

年齢:26歳

体重:80kg

身長:186cm

公爵家当主にして俺の第2の父親。

身長が186cmと高く、常に堂々としており風格溢れる容姿を持つ。鋭く彫りが深く、オックスブラッド色のその瞳は深みがあり、髪はきちんと整えられ、風になびくことなく堅固にまとめられている。服装は豪華でありながらも控えめで、上品さと品位を感じさせる。威厳と気品に包まれており、まさに貴族の風格そのものだ。土地や財産の管理、行政や法律の執行、街の発展や経済の促進を図り、国家の代表者としての役割を果たしている。


セリア・ダルシー・フォーデン

年齢:25歳

体重:不明

身長:168cm

公爵夫人にして俺の第2の母親。

身長168cmと女性にしては高く、髪は繊細なシルクのようになめらかで、肌はマシュマロのような滑らかさを持ち、触れるたびに心地よさが広がる。

ベビーブルー色の澄んだ瞳は透明感があり、清らかな印象を持つ。普段は自分の夫であるデイヴィッドのサポートをし家族全体を支えている。公的な場への出席、社会的影響力の行使、公爵家の名誉とイメージの保守など、公爵夫人としての責務を全うしている。


ウィリアム・フォーデン

年齢:4歳

体重:16kg

身長:104cm

俺の兄であり、公爵家長男にして次期公爵家当主。身長104cm、端正な顔立ちは、まるで彫刻のような完璧さを持っている。コバルトグリーン色の瞳は男の俺から見ても見惚れてしまうほど綺麗な目をしている。女性が見ればイチコロだろう。天使のような輝きを持ち、まばゆいほどの麗しさがある。次期当主として長男として弟の俺に恥ずかしい姿を見せないよう、日々教養力を高めている。


レオノア・フォーデン

年齢:0歳

体重:3.9kg

身長:51cm

公爵家次男(俺)生後1ヶ月ちょっと

新生児なんで、できた容姿ではありません。今やってることは寝る食う飲む洗うそれだけです。


 3つ、この世界には魔法や魔物が存在するということ。


 なんとこの世界魔法だけじゃなく魔物まで存在するらしい。魔法が存在するのは母乳摂取時のメイドのおかげで知ってたけど、魔物が存在するのは知らなかったから、2メートル以上ある馬鹿でかい爪をうちの兵士が5人がかりで担いでるのを見た時はマジで目が飛び出るかと思ったよ。もうファンタジーですよほんとに。


 4つ、新生児は予想以上に何もできないということ。


 毎日毎日、母乳を飲んでは眠るを繰り返して過ごしてる状態なんよ。2~3時間の睡眠を繰り返して、1日に16~20時間も寝てるんよ。これが普通なんだろうけど、新生児のことを全く知らない俺からしたら恐怖でしかないですよ。いくら寝ても寝たりないんですから。あ、それと一つ不思議なことがあってですね、本来3ヶ月くらい経って出せるようになる筈の声がもう出せてるんですよね。


 なんで?って思ったけど考えたとこでわかんないから転生者補正ってことにしておく。うん。


「レオノア様、お体おふきしますね〜」


「あぅぁ」


 (早く魔法使いてぇ)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る