第187話 パワーレベリングの成果と我儘爺さん
皆はどういう訳かまだまだ不満のようだけど、取り敢えずスライムについての話は終わったし、昼食もなんとか済んだので、パワーレベリングの続きを始めることにした。
それから数時間……、
「とー、もうそろそろ良い頃合いかな? 皆のレベルもそこそこ上がったようだし」
「マーク、お前がそう思うのならそれで良いんじゃないか?」
「そうは言うけど、あれを見ても同じ事が言える」
「それはわしも思うが、そろそろ帰らんと護衛の冒険者たちの都合もあるからな」
まぁ帰りは来る時よりも早く帰れるから、そこまで急ぐことは無いんだけど、このままここでただレベルを上げているだけというのも勿体無い。どうせならこのダンジョンの一階層だけでも見て行って欲しい。そうしないと領主様に報告する時に上手く説明できないと思うからね。
『ソラ、次のボス戦の前に転送陣の行き先を変えてくれる』
『マスター、次は何処にするんですか?』
『そうだな~~、やっぱり一階層かな! 先ずは一階層にどんな物があるか知って貰いたいからね』
父ちゃんの言う事も分かるし、俺の思惑もあるから、ここは強制的に皆をこの場所から離れさせないと、俺の目的が果たせそうにない。だから、転送陣の行き先を皆には内緒でソラに変えて貰った。そして次のボス戦の後、転送陣に乗って着いた場所を皆が見た時の反応がこれ。
「「「…………」」」
「今回のレベル上げはこれで終了します。そして今からはこの一階層を探索します!」
「何故じゃ~~~!」
「そうじゃ! そうじゃ! 急に酷いぞマーク!」
あれ? 二人だけ? 意外に文句が出ないぞ。あれ程レベル上げを面白そうに皆やっていたのに……? まして文句を言っているのが、マルクス爺ちゃんとセガール爺ちゃんというおかしいな組み合わせ。いや、そうじゃないな。この二人に共通してるのは、この二人だけ職業が他の人と被っていない所だ。マルクス爺ちゃんは革職人、一方セガール爺ちゃんは木工職人だからな。でもだからと言って文句をいう理由にはならないし、ただ単なる共通点があるだけだ。
「マルクス爺ちゃんとセガール爺ちゃんは、どうしてそこまでレベル上げがしたいの? もう充分上がっていると思うけど?」
「わしはもっと上げたかったんじゃ。せめて娘のモリーぐらいにはな」
「わしはもう少しでMPが500を超えるからじゃ」
わぁ~~そんな事かよ! どう考えてもただの我儘じゃん! マルクス爺ちゃんは元々のレベルが低いし、戦闘なんて今までして来ていないんだから、母ちゃんに並ぼうなんて無謀。まして母ちゃんもこのレベル上げに参加してるんだから、追いつく筈がない。そしてもう一人の我儘爺さんは、魔力枯渇という自力で増やす方法があるのに、それをしたくないだけとしか取れないような発言。だって残りたったの20だよ。
こういう我儘爺さんは出たけどちなみに皆の今のステータスは、
名前 エンター(とー) 39歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 鍛冶師
レベル30
HP 1050/1050
MP 1010/1010
スキル 生活魔法 鍛冶 木工 付与魔法 錬金術
魔法 火魔法
称号 【技巧神の加護小】
名前 モリー(かー) 36歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 彫金師
レベル28
HP 830/830
MP 950/950
スキル 生活魔法 彫金 裁縫 料理 付与魔法
魔法 火魔法 闇魔法
称号 【技巧神の加護小】
名前 ルイス(爺ちゃん)69歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 商人
レベル32
HP 1100/1100
MP 620/620
スキル 生活魔法 計算 話術 鑑定
魔法 火魔法
称号 【商業神の加護小】
名前 マイカ(婆ちゃん、エンターの母) 67歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 彫金師
レベル26
HP 720/720
MP 650/650
スキル 生活魔法 彫金 料理 計算 付与魔法
魔法 火魔法 闇魔法
称号 【技巧神の加護小】
名前 マルクス(爺ちゃん、モリーの父)69歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 革職人
レベル18
HP 520/520
MP 375/375
スキル 生活魔法 皮加工
魔法 水魔法
称号 【技巧神の加護極小】
名前 マリアベル(婆ちゃん、モリーの母)67歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 彫金師
レベル16
HP 480/480
MP 370/370
スキル 生活魔法 彫金 計算
魔法 火魔法
称号 【技巧神の加護極小】
名前 ルベリ(曽爺ちゃん、ルイスの父)93歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 商人
レベル22
HP 620/620
MP 480/480
スキル 生活魔法 計算 話術 目利き
魔法 火魔法
称号 【商業神の加護極小】
名前 ロジー(曽婆ちゃん、ルイスの母)92歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 錬金術師
レベル19
HP 550/550
MP 520/520
スキル 生活魔法 錬金術 計算
魔法 水魔法
称号 【技巧神の加護極小】
名前 セガール(曽爺ちゃん、マイカの父)95歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 木工職人
レベル22
HP 650/650
MP 480/480
スキル 生活魔法 木加工
魔法 風魔法
称号 【技巧神の加護極小】
名前 サリー(曽婆ちゃん、マイカの母)92歳
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 彫金師
レベル18
HP 520/520
MP 400/400
スキル 生活魔法 彫金 計算
魔法 火魔法
称号 【技巧神の加護極小】
何だろう? このHP、MPの数値の上がり方の違いは? 何か違いがあるんだろうが、法則的な物が殆ど感じられない。ただ女性の方がMPの上りが大きいという所……、あ! そうか! これは魔法を日頃多く使っている人の方が上がり方が多いんだ。それとやっぱり戦闘力がある方がHPの上りが多い。
「マルクス爺ちゃん、それは絶対無理だからね。どうしても追いつきたいなら、かーがいない所で、頑張るしかないよ。それも出来れば近接戦闘でね。それからセガール爺ちゃんも我儘言わないで地道な魔力量増量法もやってね」
「……」
爺さん二人は流石に孫とひ孫の立場の俺からこんな言い方をされれば、これ以上の文句は言えないし、周りからも冷たい視線が注がれていれば黙るしかない。
「それじゃ、皆で一階層を探索してみようか!」
「マーク、楽しみじゃのう! あの時は殆ど何もなかった時じゃからな」
「そうだよね。僕も凄く楽しみ!」
一応はソラと話して改良も加えているが、基本はソラが作っているから、俺自身もダンジョンの階層ごとの細かい内容までは知らない。ましてこのダンジョンは特級だから、想像も出来ない。ただ、魔物だけは初級ダンジョン並みから始めるようになっているから、危険は殆どない筈だ。
『ちょ、ちょっと待て! ソラ、これはいったいどういう事かな?』
『何がですマスター?」
『このスライムの量はおかしいだろう?』
『そうですか? マスターがスライムの話をかなりしてたから、増やしたんですよ」
確かにスライムの話はしたし、これから色々作ったり、研究する予定だから、スライムゼリーは必要だよ。だけど幾ら何でもこの数はおかしいだろう! 何処を見てもスライムが居るぐらいうじゃうじゃいる。ましてダンジョンのスライムは攻撃してくるんだぞ。これじゃ探索の間中、気が休まる暇がないくらい討伐し続けないといけない。
ソラのコアが特級に成長してから真面になったと思っていたが、やっぱりそこはソラなんだな。加減を知らない……。
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