第15話 告白

 俺自身の事を話すと決めてからもう10日経った。 ヘタレ! すみません……。


 この10日俺の様子が変だと両親も感じているようですが、何も言ってきません。それはありがたいのですが、その気遣いが余計に決心を実行に移す機会を遅らせている。まぁそれをいい訳にしてるんですが……。


「マーク、最近ちょっと元気がないみたいだけど、どこか調子悪い?」


 とうとう母ちゃんがしびれを切らして、聞いてきました。


「う~ん どこもわるくないよ、ただ……」


 本当に煮え切らない俺、情けない。


「ただな~に? 何か話したい事でもあるの?」


 わぁ~、ど! 直球の質問が来たよ。ここで曖昧な返事をしてしまうと、また話す機会が無くなるから覚悟を決めて。


「あのね。かーと、とーにはなしがあるの」


 良し! 言えた。これで後は話すだけだ。母ちゃんは夕食の後に話しを聞いてくれると言って、夕食の準備の為に炊事場に向かった。


 それから夕食まで俺は部屋でドキドキしながら話す内容の確認をして過ごした。


 夕食は何処に入ったのか分からない程、味がしなかった。そしていよいよ……。


「あのね、はなしというのは、ぼくのことなんだけど、しんじられないかもしれないけど、きいてくれる?」


「マーク、わしやモリーが息子のいう事を信じない訳がない、安心して話してみなさい」


「そうよ、私は誰が何と言おうとマークを信じるわよ」


 やっぱり俺は良い両親を持ったな、きっとこれも神様の配慮なんだろうな。


 前世の記憶に俺の親の事は無いんだけど、ただ親の事を思い出そうとすると、何も思い出せないのに、嫌な気持ちなるのは確かだから良い関係では無かった事だけは分かる。


「それじゃはなすね。ぼくにはこのせかいじゃないせかいで、いきていたきおくがあるんだ。ただなんさいぐらいまでいきたとか、そのときのなまえとか、かぞくのこととかは、ぜんぜんおぼえていないの。だけどそのせかいにあったもののつくりかたをおぼえてるものがあるの。このあいだのぽんぷがそう。だまっていてごめんなさい」


 そこまで話すと母ちゃんが俺を抱きしめて泣いていた。ただ何も言わずに……。


「マーク良く話してくれた、辛かったな」


 父ちゃんはそれだけ言って後は何も聞いて来なかった。


 暫く沈黙と共にその状態が続いたが、俺にはまだ話さなくていけない事がある。そう職業と魔法についてだ。


「それとね、ほかにもはなしはあるの、それはぼくのしょくぎょうとまほうについてなんだけど」


 そこまで話すと今度は両親はキョトンとした顔に成っていた。


「ぼくのしょくぎょうはかじだといったけど、ほんとうは、まいすたーなんだ。それとぼく、まほうはぜんぶのまほうがつかえるの」


 ここまで行くと両親は驚愕していた。


 それからも次々出てくる我が子の秘密、マイスターとはどんな職業だとか、魔法が全部という内容にこの世界で認知されていない魔法の属性も含まれる事、鑑定のスキルも持っていて、その鑑定も普通の物とは違っていること、とどめにアイテムボックスの事などを話した。



 流石に両親もここまで来ると理解の範囲を超えていたのだろう、何言ってるんだこいつはという感じの表情をしていた。


「マ! マークそれはどういう事? 母ちゃんは訳が分からないわ。エンターもそうよね」


 信じるとは言った物の、これは信じる以前の問題、理解できないのだ。


「わしも何が何だか分からん。ただマークが言ってるんだからそれが嘘では無い事だけは分かる」


 こうなるとどう説明したら良いのか、口で説明できる範囲を超えているんだよ。


 まだ職業のマイスターは何でも作れるで何となく理解できるだろうが、この世界に存在しない魔法だとか、鑑定の解析能力やアイテムボックスは見たことも聞いたことも無いから理解ができない。


 俺もこうなるような気がしていたから、その対応も決めていた。


「それじゃみせるからついてきて」


 俺が決めていたのは地下室とトンネルを見せる事。どのみち存在は話しておかないと心配を掛ける事に成るからね。


 俺の部屋に二人を連れて行き、床の板を外して地下室へ案内した。


 この時両親は呆れたというか、何を言ったら良いのか分からない表情をして、俺の後に付いて来た。


 そして地下室を見た二人は入り口に立ち尽くして、そのあまりの光景に呆然として一歩も動けなかった。


「ここがちかしつ、ここでいろいろなものをつくるんだ。そしてあっちがとんねる、もりまでつづいているよ」


「ゴン!」


 そこまで言った瞬間、母ちゃんは俺の頭にゲンコツを落とした。


「マーク! あんた何やってるの! 危ないことしたら駄目でしょ! あんたはまだ5歳なのよ!」


 母ちゃんに初めて本気で怒られた。殴られたのも初めて、俺をあんたなんて呼んだことも無い、それなのに、そうなるほど母ちゃんは怒っていた。


「ごめんなさい、でもねひつようなことなの」


 俺は何故母ちゃんが怒ったのか理解出来たから、トンネルを掘って森に行ってる理由を説明した。


「ゴン!」


 そしたら今度は父ちゃんにゲンコツを食らった。


「そんな事はわしらのすることだ。我が子を守るのは親の務めだ」


 俺の置かれる立場で俺が攫われたり、両親が脅迫されたりした時の為のレベル上げだったが、二人にしてみれば、自分達が信用されていないというように取れるから、父ちゃんは怒った。


 確かに俺が親だったら同じ事思うよな。それに父ちゃんも母ちゃんもそれなりに強いんだよね。


 闘っているとこなんて見たことも聞いたことも無いけど、二人のレベルを見ると戦闘の経験がある事は分かる。


 俺みたいに物作りでレベル何て普通の人は上がらないし、魔物を倒せばレベルが上がるけどその経験が無い人はレベルが上がらない。


 ただ年を重ねる事でHPやMPだけは一定量までは増える。但しレベルを上げない人はそこまででそれ以上は増えない。


 怒られたのは仕方が無いけど、ここで終わる訳には行かないので、俺の魔法を実際に見せる。


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