第3話 ヨチヨチ歩き
ぎゃん泣きして母ちゃんに心配を掛けたことを反省して、ベットで寝てる時も手足を動かして筋力トレーニングをしています。
そうは言っても1歳児ですから出来る事は限られていますが、やらないよりはましだと思って頑張っております。
掴まり立ちからの歩行は練習はしていますが、まだ出来ないのでもっぱらの移動は高速ハイハイ。
勿論、寝室の中だけですが。ある日その高速ハイハイで移動中部屋の隅に有るテーブルの上から風に舞ったのでしょうか? 一枚の紙が落ちてきました。
紙は白紙で何も書かれていませんでした。母ちゃんか父ちゃんが手紙でも書こうとしてたんですかね?
しかし俺には関係ありません。これはもう俺の物です。赤ちゃんからしたら遊び道具でしかないのです。
紙と言えば折り紙でしょう。でもこの紙は長方形だから使いにくい。まして1歳児の手では折る事も厳しい、どうしようかな?
ふむ! 俺には魔技がある。どうやって使うかはまだ解っていないが、やってみる価値はあるだろう。
魔は分かる魔力と魔法だ。では技は? 技の意味は色々ある。(手でする)仕事のじょうずさ、手なみ、うでまえ、わざ、げい、読み方なら「わざ」とも読める、日本語ならね。
実際のステータスは日本語じゃないんだよね。ただ俺がそう認識してるだけだけど、そう認識してると言う事は、意味的には間違っていないと思う。だって魔は魔って理解してるから。
手でする仕事? 魔を使って手でする……、もしかしてこんなこと出来るのかな?
俺は何時ものように魔力を練って、手のひらから魔力を大人の手のようにイメージしながら放出、形が固まったら、その手で紙を掴んで見る。
お~ 持てた。この魔力の腕? を使って紙飛行機を作ってみよう。
ゴリゴリと魔力を持って行かれるけど、何とか紙飛行機が折れている。
これで完成と思った時、意識が途絶えた。
目が覚めた。ベットの上にいる?
俺の目が覚めたのが分ったのか、父ちゃんと母ちゃんがベットで寝てる俺を心配そうに覗き込む。
父ちゃんの手には、俺が倒れるまで作っていた紙飛行機がある。
ここはまだしゃべれないんだから分からないふりをして赤ちゃんらしく。
「あう~ あう~」
と言いながら、紙飛行機を手で指さして俺の物だアピールをしてみる。
父ちゃんが俺の行動を理解したのか、紙飛行機を俺に渡して来た。
俺はここは知らぬ存ぜぬを決め込むことにして、紙飛行機を胸の前でしっかり両手で押さえて寝る事にする。
次に目を覚ました時、両親は居なかった。本当にどこを反省したんだか、またまた心配を掛けてしまった。
当分は大人しくしていよう。これ以上は流石に不味い、下手したら捨てられる可能性だってある。多分この両親はしないとは思うが用心はしないとな。前世のラノベとかでは良くあるパターンだから。
魔力の使い切りで昏倒したんだから、MPが増えているだろうとステータスを確認したら。
名前 マーク
種族 ドワーフ
状態 良好
職業 ー
レベル2
HP 30/30
MP 455/455
スキル (言語理解) 生活魔法 鑑定(解析) (アイテムボックス)
魔法 ー
(固有スキル) (魔技)
称号 (技巧神の加護)
レ! レベルが2 MPが450越え! HPも30……。
これってもしかして技巧神の加護の物作りをしたら、レベルが上がるっていうやつ?
まして魔技まで使ったからこの上がりよう?
確かに1歳児が普通作れない物を作った認識はあるよ、あるけどさ……。
レベルが上がってHPが30に成ったからか、手足の動きが前よりスムーズなんだよね。
ということで歩行が出来そうだと思い、歩行練習。
おう~~~~ 二度目の人生の初歩き、ヨチヨチだけど感動する。
一人で感動に耽っていると、何やら視線を感じその方向を見ると、両親が口に手を当てて声が出ないようにしてウルウルしてる姿があった。
こういう時はどうしたら良いんだ?
Vサインいや違うな、にっこり笑うこれも怖いな、ん~~~ 分らん、何もしないが一番か。
俺が考えてる隙に、母ちゃんが飛んできて抱っこして抱きしめてくれた。
さっきはごめんねの気持ちを込めて、母ちゃんに思いっきり抱き着き返した。
その時父ちゃんも傍まで来て母ちゃんも含めて、一緒に抱き着き環に成っていた。
その日の夜、目が覚めた時、両親が話してるのが聞こえたから、寝たふりをしていたら。
「ねぇエンター マークをどう思う?」
「どう思うとはどうことじゃ?」
「マークって殆ど泣かないじゃない。それでいてちょくちょく眠ってるのか気を失ってるのか分からない事があるじゃない。そして今日のあれでしょう。紙をどうやったのかあんな形にしてたし、最後には歩いて見せて、可愛いし嬉しいのよ。だけど何だか不安になる時があるのよ」
「そうじゃな、だからと言ってマークはマークじゃ俺達の大事な息子に変わりはない。時々心配することはあってもこれまでもちゃんと成長してきている。今日もわしらに歩いて見せてくれたじゃないか、俺達がマークを信じないでどうする」
「そうね、マークの無邪気な笑顔に嘘はないものね。私、気を張り過ぎていたのかな? もう少し余裕を持つようにするわ」
そんな両親の会話を聞いて、俺愛されてるな。捨てられるかも何て思った自分が恥ずかしい。
やんちゃでもいい、逞しく育って欲しいにはまだ早いよな。せめて少しでも話せるように成らないと気持ちも伝えられないからな。
明日からは発声練習もトレーニングに加えよう。言った先からトレーニングなんて言ってる自分に呆れながらも夜は更けていった。
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