第19話
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「ぎゃぁーーーー!」
マリー(ゴキブリ)の高速で羽ばたく羽が鼻先にヒットし、思わず叫んでしまう。更には叫ぶだけに留まらず、大きくのけ反りそのまま後ろにぶっ倒れるてしまう。
……しまったーーー。
マリーとした約束、それは1週間でゴキブリが怖いのを克服出来たら殺されないで済むというものだ。こんなに大袈裟にビビっちゃったらもう……。
「ち、違うんだこれは……」
バサバサバサバサ。
マリーは空中で未だホバリングしている。さっき俺の鼻に羽根をぶつけてきたその位置で微動だにせず安定して滞空しているのがまるで仁王のような圧を感じさせてくる。
「……残念ね、もう少しだったのに」
マリーの声は平坦で、その感情は読めない。
「アタシ、本当はアンタのこと、殺したくなんか無いわ」
そう言うマリーの身体の真ん中辺りに赤と黒の光が生まれる。
「ーーおい、ちょ、ちょっと待てよ」
しかし、光は収まるどころかどんどん大きくなり、轟音を発しながら回転し始める。
「夕方よりも暗い人、赤血球よりも赤い顔、時間の流れで忘れられがちなアタシの名前にかけて、今アタシはここで暗闇と約束する!」
そして、なんかよくわかんないことを話し始め、光はそれに呼応するように輝きをましていく。
「アタシ達の前に立ち塞がる全てのアホ共に、アタシのスーパーなパワーを使って、全員ズタボロにしてやる!」
光はもはや半径1m位までに膨れ上がり、空気がメッチャ熱くなって火傷しそう。
そしてマリーはそこで1拍置いたあと、
「ゴキ、ブレーーイブ!」
と言いながら手を突き出し、光は発射された。
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